第22話 海の家

皆さんは海の家と言ったらどんな家を思い浮かべるだろうか。


おそらく大勢の人は砂浜にある食べ物…特に焼きそばとかを売っている場所を思い浮かべるだろう。


ただ、もしも海の近くに別荘を持っていて夏休みにそこに行くみたいなシチュエーションだったらその別荘も『海の家』と読べるかもしれない。


…まあ、何が言いたいのかと言うと、今回俺が作ろうとしている海の家は大勢が思い浮かべているやつじゃなくて、別荘みたいなオシャレな『海の家』を作ろうって話だ。



「と言っても、どうやって作ろうか…。

流石に丸太をそのまま使うのはないよな。」


俺は自分が初めて建てた家を思い浮かべながら言う。


「あれは森の中にあるからギリギリ許されてるだけだからな。

て言うか、海の近くに別荘を建てるならめっちゃオシャレなやつ建てたいよな…海の上にベランダ作ったりとかしたい。」


俺がそんなことを考えていると、海の近くにある森に着いた。


今、〈アイテムボックス〉の中にある木材だけじゃ家を建てれないので、俺は適当な木を選んで斧と使い一刀両断にしていく。


その作業と並行して頭の中で家の設計図を思い浮かべるが、そもそも建築のなんたるかを全く知らない俺では全く考えがまとまらない。


「………まあ、今は細かいことは考えずに建築に使う木を切りまくるか。」



そうして俺は100本近くの木を黙々と切り続けた。




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木を切って砂浜に運んできた俺は持ってきた丸太に腰をかけて〈建築〉のスキルパネルを見ていた。


ちなみに〈建築〉のレベルはもう500を超えており、ポイントも230はある。


「ほんと、ルナとゴレさんの二人でどんくらい木彫り細工作ったんだよ。


まあ、レベル100を超えた辺りから必要な経験値が変わらなくなったからここまで上がった訳だけど……まあそろそろ使うか。」


俺はそう呟くと〈建築〉スキルのパネルを解放していく。


まずは〈建築〉の効果範囲を広げて、俺がおぼろげながらに妄想している『海の家』が建てれるような範囲にする……つもりが現時点で広げれる最大の範囲まで広げてしまった。


…まあそれは気にせずに、次に建築の道具を解放していく。


木を切る時に使うノコギリや木に穴を開けたり、削ったりすることができる鑿《のみ》、木により小さな穴を開ける時に使うきりなどの木工に使う道具をあらかた解放する。


ちなみに俺がこれらの道具の使い道を知ってるのはスキルをとった瞬間に頭の中にながれてきたからだ。


そして、俺は最後に残っているゴレさんを強化する〈巨大化〉〈分身〉〈怪力〉の3つのスキルを解放して、今解放できる〈建築〉のスキルパネルを全て解放した。


「ポイントは70くらい余ったけど…これで全部なのか?

……いや、石とかを手に入れたら新しいパネルが出現するかもしれないか。」


俺は全て埋まったパネルを見ながらそんなことを呟く。


そして俺は埋まっているパネルの横にある少し大きい【?】のパネルを見る。


このパネルは設計図をもらえるパネルだ。


俺は前にこの機能で設計図をもらおうとしたのだが、当時はルナと出会う前で〈建築〉の効果範囲も狭く、使える道具もヤスリだけで手に入れることができた設計図が遊牧民族の家みたいなやつで全然いらないやつだったんだよな。


「…ただ、今はいろんなスキルを解放した。

これなら俺が思い描いている『海の家』の設計図もあるかもしれない。」


そんなことを思いながら俺は【?】のパネルをタップしてどんな設計図があるか確認する。


そこには前回俺が見た時とは文字通り桁違いのいろいろな木工建築の設計図があり、その中に俺が『イメージ』していた『海の家』とほぼ同じな設計図があった。


よくあるコテージって感じの家だが、こういうのでいいんだよ…こういうので。


その設計図はポイント64で手に入るのだが、今あるスキルポイントは71なのでほとんど無くなってしまうがそれでも俺はこの設計図を手に入れた。


設計図を詳しく見ると、俺がこれを建てる時はオートでやってくれるみたいで、完成までにかかる時間は5日みたいだ。


「いや、オートで建築ってなんだよ。


……まあ時間もないしやってみるか。」


そうして俺は家を建てる大体の位置を決めて家を建て始めた。



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太陽が夕日に変わった頃、ルナとベリルが凍っている魚を何匹か持って海の中から戻ってきた。


「お宝見つからなかったね。」


「まあ1日で見つけれるほど簡単ではないってことよ。」


「でも水の中にずっと入れるのは楽しかった!」


「………そう。」


ベリルはルナの言葉に少しバツの悪そうな顔をして呟き、前を見る。


そこには倒れて少し痙攣している男がいた。


「…………実、あんた何やってるの?」


「まずは心配してくれても良くない?」


「みのる〜あそこにあるまな板と包丁つかうね。」


「ああ、いいぞ。」


ルナは俺の返事を聞くと、魚を解体するためにまな板と包丁のある方へ魚を引っ張りながら歩いていく。


「んで、あんたは何やってるの?」


「いや…ちょっと筋肉痛で…。」


「あんたどんなことをしてたのよ。

あそこにある作りかけの家を建ててたんじゃないの?」


「いや…まあ…いろいろあったんだよ。」


「???」


いやもうホントにね、まさかオートでしてくれるってのが俺の肉体の限界まで強制的体を動かして作業することとは思わなかったよ。


でもあと4日だ、あと4日これを耐えればいいんだからまだ我慢できる。


「っとそんなことより、お前たちは宝を見つけたのか?」


「見つけてたらこんなところでのんびりしてる訳ないでしょ。」


それは確かに。


「でも、ルナがすぐに魔法使えたみたいでよかったな。人手増えたし。」


「………そうね。」


俺がそう聞くとベリルは再びバツの悪そうな顔をする


「?なんかお前、様子おかしくね?

なんか問題でもあったのか?」


「問題…いや問題は何もないのよ。

ただ一つだけ言わせて欲しい。


1


「ああ…ルナのせいで自信喪失しちゃったわけか。」


「別に自信喪失なんてしてないわ。

ただちょっと世の中ことを考えただけよ。」


こいついきなり何言ってんだ?俺がそんなことを思っているとルナが戻ってきて、俺の背中を叩きながら喋る。


「ねえみのる、魚切ったからこれ早く焼いて!わたしお腹減った。」


「わかった、わかったからとりあえず俺の体に触らないでくれ、死にそうになるから。」


俺が涙目になりながらルナに訴えると叩くのをやめてくれたが、ベリルが俺のえりを掴んで無理やり立たせようとしてきた。


「いってええええええええええ。」


「はいはいさっさと立ってご飯つくるよ。」


「わかった、わかったから襟掴むのやめろ。」


こうして俺たちの宝探しは順調?に始まった。



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作者 いつか海の近くのコテージみたいな別荘欲しいな。

女神 1億回くらい生まれ変わったら一回くらい手に入るんじゃないですか?

作者 それ、俺が別荘を手に入れる確率が1億分の1の確率でしか手に入らんってことか?

女神 いや、それだけ人生を繰り返せば宝くじに当たるでしょ?

作者 バカにしてんのか?

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