第16話 ベリル・セレスト

 畑泥棒に入られて2日、その畑泥棒が目を覚ました。


「おおおおい、ここから出せええ。」


 ……朝っぱらからうるさすぎて目が覚めた。


 まだ辺りは暗く俺自身眠気を感じているが、このまま叫ばれるのも面倒だし、俺は畑泥棒を寝かせた空き家に歩いていく。



 空き家に入ると例の畑泥棒は俺が簡易的に作った木のおりを揺らしながらまだ叫んでいた。


「おおおおい、ここかr…」


「おい、うるせえんだけど?」


「!もしかして、あんたが私をここに閉じ込めたのか?この監禁犯め。」


「いや、畑泥棒してたやつが何言ってんだよ!

 てめえの方が犯罪者だろうが!」


「なによ、数日間なにも食べてないんだから別にいいでしょ?」


「よくねえわ。

 せめて金払え。」


「こんな人のいない森に入る時に金なんて荷物がかさばるもの持ってくるわけないでしょ。」


 そう言うとこの畑泥棒は全くない胸を張る。


 もうすでに話すのめんどくさくなってきたな。


「ああ、もういいよとりあえず。

 んで、お前、名前は?」


「人に名前を尋ねるときはまずそっちから名乗るべきじゃない?」


 ……こいつ、俺の畑で無銭飲食したの忘れてるのか?


「もう一回聞くぞ、名前は?」


 俺は〈アイテムボックス〉にしまっていたいちごを出しながらもう一度聞く。


「私の名前はベリル・セレストです。」


 ……こいつにはプライドとかないのか?…まあこっちからしたら好都合か。


「んじゃあ次、ここに何をしにきたんだ?」


「え、それを食べさせてくれるんじゃないの?私、お腹と背中がもうくっついてるって位お腹減ってるんだけど?」


「……んじゃあとりあえずこれ食っていいいよ。」


 俺はそう言いながらさっき出したいちごを一個渡す。


「…やっぱり美味しいね、ここの野菜。」


「……そんなこと言っても待遇上げりしないからな?

 んで、お前は何でここに来たんだ?」


「私にはベリルっていう名前があるんだけど……。

 まあ、私がここに来たのは…あっ、そう調査、この森の調査をしn…」


「先に言っとくけど、嘘とかついたらご飯、持ってこないぞ?」


「すいません、この森には『トレジャーハント』に来ました。」


 コイツ、この状況で嘘つこうとしてたのかよ。


 にしても『トレジャーハント』、ってことはこの森に何か宝でもあるのか?


「それじゃあ、どこに『宝』があるんだ?」


「あ、えっと、私が持ってた荷物の中に地図があるはずなんだけど…」


「ん?地図なんてあったか?無駄に黄ばんだなにも書かれてない紙ならあったけど…」


「ああ、それそれ、地図は私にしか見えないようになってるから。」


「ふーん」


 俺は〈アイテムボックス〉から出した地図が書かれてあるらしい紙をペラペラする。


「まあ、目的はわかった…けど、お前どうやってそこにいくつもりなんだ?」


「え、普通に歩いて行けばいいでしょ。」


「ああ、言い方悪かったな。

 お前は俺の畑で無銭飲食した件、どうやって落とし前つけるんだ?」


「……お金払うとか?」


「今金持ってないってさっき言ってただろ。

 て言うか、こんな森の中に住んでる俺が金なんていると思うか?」


「…まあ、たしかに」


 っと言っても、俺も『宝』については興味あるんだよな。


 なんかすごいのがあるなら見てみたい。


「……一応聞くけど、お前ガチの犯罪書とかじゃないよな?」


「そんなわけないでしょ!私これでも〈金級ゴールド〉の冒険者なんだけど?」


「いや、知らねーよ。」


「ほらこれ見てよこれ。」


 そう言うと畑泥棒ことベリルの手が光って、何かのカードみたいなのが出てきた。


 そこには運転免許証のような顔写真とで〈金級ゴールド冒険者 職業・海賊〉という文字が書かれていた。


「え、いや…え?」


「フフン、まあ、私ほどの美少女が強いなんて信じられないのもわかるけどね。」


「ちげーよ、まな板。」


「誰がまな板だ!」


 いや、もう男かって位の量しかないじゃん。


「今失礼なことを考えてた気がする…」


 まあ今は日本語のことは置いておくとして、これが身分証みたいな扱いならコイツは安全だよな?

 職業・海賊なのが気になるけど…まあ、最悪どうとでもなるか。


「…そんなことより提案がある。

 お前はこれから『宝探し』に戻るつもりなんだろ?」


「まあ、あなたがここから出してくれるならね。」


「その途中の食料どうするつもりなんだ?」


「え、そこらへんの植物や動物を食べればいいじゃん。」


 ………コイツ、マジかよ。


 まあ好都合。


「じゃあこうしよう。

 お前は数週間後にする畑の収穫を手伝ってくれ。

 そうしたら俺たちはお前の宝探しに協力しよう。(食料とか動物の索敵とかな)」


「……なんで私が土いじりをしなきゃいけないのよ。」


「お前の畑泥棒の件をこれでチャラにして、トレジャーハントの時でもこの美味しい料理を食えるようになるっていう提案だったんだけど?」


 そう言いながら俺は〈アイテムボックス〉から昨日の晩御飯の残りを出す。


「やります、畑仕事やるのでそのご飯をください。」


「じゃあ契約成立ってことで…まあ、出てきていいぞ。

 この皿そのおりに入れれないし。」


「いや、出れないんだけど?」


「?金級の冒険者はこんなおりも壊せないのか?」


「壊せるわけないでしょ!

 この森の木が原料のおりなんて私にどうこうできるわけないでしょ!」


 え、この木ってそんなにすごい木なのか?


「はあ、しょうがねえな。」


 俺は斧を出して木の檻を切る。


「……え、なにすました顔で切っちゃってんの?

 もしかして、あんたゴリラの生まれ変わりか何か?」


「脳天かち割るぞ貧乳泥棒。」


「黙れ、キングコング。」


 そんなこんなでこの場所に新しい住人?が一時的だが住むことになった。


 ただ、コイツ牢屋出た後に昨日の晩御飯の残りを食ったくせに朝食3人分食いやがったんだよな。


 ……なんかムカついたので朝食を食べているときに増やし畑を半日かけてたがやせた。


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作者 新キャラ登場!貧乳の女海賊だな。

女神 なんで貧乳?

作者 自分の中の女海賊のイメージから。

女神 ……むしろ逆な気がするんですけど。

作者 気にするな!

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