高校生クイズプレイヤーの僕がクイズ王になるまでのお話

未月キュウ

新歓例会を制するまでのお話

プロローグ 夢叶うまでの軌跡

BasiQベーシック 20th 優勝は、県立西高等学校2年、速水はやみまこと! この大会という物語は、真実という名のエンディングで締めくくられました!』


 3月某日、あまりにも大きすぎるホールの中、あまりにも盛大な歓声を僕は一身に受けていた。

 瞳に入り込むすべての光が、網膜で茫然と乱反射していた。


 僕は、学生クイズ界最大の大会とされるBasiQで、最高の栄誉を手にしたのだ。


「真先輩! おめでとうございます!」

「おめでとう真……。凄いよ……!」


 セコンドとして呼んでいた可愛い後輩は勿論のこと、いつもは落ち着き払っている幼馴染も興奮して僕の体に飛び込んできた。二人の表情を見て、僕はより一層感慨に耽るのである。


『それでは優勝された速水さんにインタビューをしていきましょう……』


 その興奮も冷めやらぬうちに、司会者は段取り通り進行を進めていく。

 僕もまだ平静を取り戻せてはなかったものの、とりあえず彼女たちを宥めて、椅子に座り、マイクに向かう。


『優勝おめでとうございます』

「ありがとうございます」


 するとまた、もう一度客席から拍手が湧き上がる。


『それでは、今の率直な感想をお聞かせください』

「そうですね……。凄く、嬉しいです」


 ひとまず答えを思案してみたものの、あまりうまいこと考えられなかったし、多分、考えたところでこの答えは変わらないことだろう。


 そんな拙い答えに対しても、どこからか拍手が湧く。


『決勝でお二人と戦ってみた感想をお聞かせください』

「はい。二人とも凄く強くて、何度も心が折れそうになったんですけど、セコンドの二人に支えられて、何とか勝てたといった感じです……」


 僕の勝利は、僕一人の力ではありえなかった。

 かけがえのない友とこの世界に飛び込んでから、僕のことを慕ってくれる後輩にも出会い、皆で色々なことを経験して、ようやくここまで辿り着けたのだ。


 僕は、ぼんやりとその軌跡を頭の中でなぞってみるのであった。

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