少子化対策政策

本間和国

セックスしたら幸せになれた

うっ、どうしよう。

バスト105

ウエスト98

ヒップ120

全裸で体重計にのる。

デジタルヘルスメーターの数字を見て、間違いじゃないかと、何度も目を開いたり、細めたりしてみるが・・・

間違いではない。

あたしの体重は、ついに90kgを超えていた。

息を吐いても、なるべく足に重心がかからないように、体を前かがみにしても、やっぱり変わらない。

あたしはゆっくりヘルスメーターから降りた。

人間、50歳を過ぎたら何もかも諦める事ができる。そう信じてた。

児玉珠子こだまたまこ51歳。

独身。

恋愛経験無し。

処女。


「はぁ。」


絶望だ。終わった。何もかも。

そりゃそうだ。あたしはかなりの無精だ。

美容院も年に一度しか行かないし、化粧もしない。近所の商業施設にもスリッパで行けちゃうし、掃除機は3週間に一度しかかけない。

そんな無精なあたしが、食事管理なんてできるわけもなく、食べたい物を食べ続けた結果、こうなった。

ゆっくりバカでかいブラをし、バカでかいパンティを履く。

はあ。

死ぬまでに一度でいいから、セックスしてみたかった・・・

この年齢としまで一度も経験が無いんだから、この先は絶対無い。

全裸になったついでに動画を見て、1人で頑張る生活。

虚しすぎる・・・

今日もいつものように終りを告げた瞬間、

パァアッツアツと周りが光り輝いた。

眩しさの中、頑張って目を開けると、あたしの開いた股の間に、白いスーツを着た25.6歳くらいの超イケメンが立ってた。


「ふうん。おばさん楽しい?1人でして。」


はああああ

驚きと恥ずかしさで慌てて股を閉じる。


「あ、あんた誰!?」

「ぼく?ぼくは・・・何だろう。妖精?」

「よ、妖精!?」

「うん。そんな感じ。」


妖精と名乗るそのイケメンは、がっとあたしの股を開いた。


「ふうん・・・」


そいつは、あたしの股を真剣に見つめ、考えている。

なんなんだ、一体!!


「おばさん、処女でしょ。」

「な、わかるの?」

「もちろん。顔のわりに下は奇麗だから。」


なんと、失礼なのか、褒めてるのか、わからん表現だ。


「で?おばさんは、やりたいの?やりたくないの?」

「そんな事、女性に聞かないでくれる!?」

「失礼。やりたいんだね。」


そう言うと妖精は、白い壁紙に、指先で映像を映した。

なんと!!

これは夢か現実か!?

壁紙には色んな男性が映し出される。


「好みの男が出たら言ってね。」


妖精は表情を変えずに言う。

あたしは全裸のまま、映しだされる男の画像を吟味した。


「ストップ!!」


とりあえず細マッチョなイケオジで止めた。


「了解。」


妖精はパチン!と指を鳴らした。

そしたら、どうだろう。壁紙のイケオジが現実の姿となって現れた。


「おばさん、これでいい?」

「え?ええ?」

「じゃ、楽しんでね。ぼくは部屋から出てるから、終わったら呼んでね。」


妖精は部屋から出ていき、あたしはイケオジと人生初を経験できた。


「妖精ー!終わったよー!」


妖精は部屋に戻った。


「どうだった?満足できた?」

「うん。良かったけど、別の人とはできないの?」

「いいよ。」


妖精は再び壁紙に男の画像を映しだした。


「ストップ!!」


今度は年下子犬系イケメンにしてみた。


「ふうん。こういうのも好きなんだね。」


パチン!!


壁紙がら、年下子犬系イケメンが現れる。

もちろん相手も全裸。

あたしは目の前のイケメンから少し目を反らす。


「じゃあ頑張ってね。」


そのイケメンとも終り、どうしようかと思ったけど、もう1人頼む事にした。


「おばさん頑張るね。そんなに良かった?

まあ良いんだけど。

だけど言い忘れたけど、おばさん、まだ生理ある?妊娠する可能性あるからね。」

「え?」

「ぼくはね、少子化対策として作られた妖精なの。今の科学の力ってすごいよね。

こうやって男性経験の無い女性の元に現れて男性を紹介してるんだよ。

おばさん微妙だったけど、とりあえず来てみた。」


驚いたが、あたしはとりあえず、もう1人と楽しんだ。


10ケ月後、あたしは3人の顔が違う男の3子を出産した。

出産、育児のおかげで90kg台だった体重も自然と痩せて、体も軽くなり、身なりも気にして、無精生活を脱出できた。

あの時の妖精と、子供達に感謝の幸せな日々を送っている。



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少子化対策政策 本間和国 @kunuakitubu

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