第62話 4thダンジョン XII

「召喚必殺――邪豪率いる躍渊の絶技ラストウォープノヴァ!」


 両手に巨大な球を作り出すと。


「ィィィォォォォオオオン!!」


 僕の動きとシンクロしたランドイーターが暗黒の波動を思いっきり投げ込む。


 これで終わりだ!


 その攻撃がぶち当たった瞬間。

 敵の悲鳴が聞えてくる。


「キュイィフゥウウウウッ~~!?」


 続けざま。

 ものすごい爆音がダンジョン内に響き渡った。




 ドカッドカッドカアァーーーァァァン!!




 大爆発に巻き込まれる形で。

 砕星さいせい王蟲おうむエリュトロンは完全に姿を消滅させる。


:やった!

:倒した!?

:すげえええええ!!

:一撃!?

:さすがエデン

:ほとんど瞬殺やんw

:かっこよw

:強すぎる

:徘徊種をワンパンww

:伝説確定!


 エネミーが完全に消滅したのを確認すると。


 スッ―――。


 ランドイーターは静かに姿を消した。


(ふぅ。なんとかなった)


 振り返れば。

 通路の壁からちょこんと顔を覗かせる総長さんの姿が。


「あ、すみませんでした。僕の位置と勝手に入れ替えたりしちゃって」


「ア゛、ァ、ァッ・・・」


「?」


 よくよく見れば、総長さんの顔は真っ青だ。

 さっきよりも震えがひどいみたい。


 入れ替える時にどこか怪我させちゃったとか?


「あの、大丈夫ですか?」


「ヒィィッ!? ゴ、ゴ、ゴメンナサイィィィッッ~~~!!」


 僕が声をかけると。

 ものすごい悲鳴を上げながら、総長さんは一目散にどこかへ行ってしまう。


:敗走芸www

:ざまあああああああああ

:失禁してるやんw

:キレキレwww

:おもろすぎるww

:清々したわ

:ざまぁww

:さすがエンターテイナーw

:因果応報www

:これはエデンGJ

:いいもん見たw

:少しは反省しろ

:キレキレ泣いてたなw

:飯がうまいww


(いいのかな? 警察へ連れていくとか言ってたはずなんだけど)


 でも。

 あれだけ走れたら、どこか怪我したってわけじゃなさそう。


 その点は一安心かな。


「さてと」


 時刻は17時半を過ぎてる。

 粘れてあと30分ってところだ。


 今日中に地下25階到達を目指すなら、ここからはちょっと巻きで行かないと。


(やっぱ透明状態の方がエネミーにも見つからないし楽だよね)


 徘徊種メガロエネミーを倒して、一応見せ場も作れたわけだし。


 リスナーさんには申し訳ないけど。

 ここから先は、暗殺者アサシンで進むことにしよう。




 ◇◇◇




 というわけで。


 ドローンに向けて断りの挨拶を入れると。

 スタイルチェンジしてから、ふたたびダンジョン探索を開始。


 もちろん、いつもよりもだいぶ急ぎ目で。




 そのあとは。

 とくになにか大きな問題が起こるわけでもなく。


 無事、『赤羽ダンジョン』の地下25階へと到達する。

 最下層の様子をひととおり配信することができて満足だ。


 最終的に記録した同接数は4467人。

 

 好評のうちに本日の配信は終了となった。

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