第18話 2ndダンジョン Ⅱ

:はじまったw

:いちいち確認すんなよ

:今回はどう?

:賢いじゃん

:いやマップ見た方が早いだろ

:RTAでもしてるのかってくらい使うww


 えっと。


(この階の青魔法陣は・・・げっ。めちゃくちゃ行きづらいじゃん)

 

 運の悪いことに。

 地下11階は迷路構造になってて。

 

 かなり遠回りしないとたどり着けなくなっていた。


 天井の高さもそうだけど。

 中層階からはダンジョンもさらに広くなる。


 最短ルートを選んでも時間がかかりそう。 


(あまりここで余計な時間を使いたくないんだよね)


 まだ先は長い。

 この階はさくっとクリアしておきたいところ。


(うーん。どうしよう?)


 ボディコンソールに表示されたマップが改めて目に入る。

 

 通路の壁に邪魔されてるけど。

 位置的には、今いる場所と青魔法陣はけっこう近いな。


 よし。

 ショートカットしよう。


「すみません、時間が惜しいんで。ここはすり抜けをしたいと思います」


:は?

:ん?

:えっ?

:すり抜け?

:なんだって?w

:ええええええ

:おいww

:うそやろw

:当たり前のように言うw

:そんなことできんの?

:草ァァ


「人によっては、映像見て気持ち悪くなっちゃうかもなんで。そういう場合は配信閉じちゃってください」


:謎の優しさw

:怖っ

:なになになに!?

:急にどした

:こういうエデン好き

:そっ閉じ推奨すんなw

:ホラーかな?

:地獄の始まりww




 リスナーさんのために少しだけ時間を置いたあと。


「それでは。すり抜けたいと思います」


 通路の壁に手を当てると。


 ダッ!

 

 ダッ! ダッ!


 ダッ! ダッ! ダッ!


 どんどんと通路をすり抜けていく。


:うおおおおおおお!!

:なんじゃこらぁwww

:壁すり抜けてる?

:めっちゃ速いなw

:気持ち悪りぃぃwww

:ええええええ!?

:なにしとんw

:つか画面www


 ダダダッ!


 ダダダッ! ダダダッ! ダダダッ!

 

 すり抜けるって宣言しておいてなんだけど。


(けっこう苦手なんだよね、これ)


 最後の壁をすり抜けると。

 なんとか青魔法陣のあるフロアに足を踏み入れた。


「ふぅ」


 ひと息ついて一度伸びをする。

 

 なんにせよ。

 これで時間はかなり節約できたはず。


:なにが起きた!?

:すごかったなぁー(棒

:クソ効率厨ww

:これぞチートや!

:すごいもん見たわ

:透明ってこんな使い方できるんですね

:すり抜けとか卑怯すぎん?ww

:これは応援するしかないw


 コメントを見る限り。

 気持ち悪くなったって人はそこまでいなかったみたい。


 よかった。


「皆さん、ご協力いただきありがとうございました。引き続きダンジョンを進んでいきたいと思います」

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