第17話 2ndダンジョン Ⅰ

 放課後。

 帰宅して支度を済ませると、僕はいつものようにダンジョンに潜った。


 本日のダンジョンは『練馬ダンジョン』。

 今月は都内のダンジョンを中心にまわろうと決めている。


 現在地は地下10階。

 ちょうど中層階へと降りたところだ。


 今日も昨日と同じように、ここまで問題なく進めてた。


 でも。


 『練馬ダンジョン』は地下17階まであるみたいで。


(昨日よりちょっと急ぐ必要があるかな)


 17時10分か。

 

 紫月しづきのためにも門限を設けていて。

 どんなに遅くとも18時までには家に戻っておきたいんだよね。


(ここからさらに気合い入れていこう)


 今日も多くのリスナーさんが配信を見に来てくれてた。


 ボディコンソールに表示された同接数は336人。

 先週までの僕からしたら、あり得ない人数だ。


:もうB10かよw

:あいかわらず鬼速いw

:配信主って東京の人?

:ここからが本番やで

:初見ですー。面白い配信ですね。

:なんでエネミーと戦わないん?

:奥になんかあるぞ

:行けエデン!


「奥に・・・ああ。あれは罠ですね」


 リスナーさんが指摘するように奥に光るものが見える。

 トラップだ。


 睡眠を誘発したり、毒針が飛び出してきたり。

 爆発したり、エネミーを呼び寄せたり、トラバサミで動きを封じ込めるなんて罠もある。


 けど。

 暗殺者アサシンのスタイルなら関係ない。


「それじゃまた先へ進みます」


 そのまま草原タイプの通路を進んでいく。

 もちろん罠の上を普通に歩いて。


:出たww

:卑怯すぎるww

:そりゃそう

:さすが

:透明ぱねぇw

:トラップ涙目ww

:知ってたw


 あらかじめ位置を確認してた青魔法陣を踏んで。

 いざ地下11階へ。




 ヴゥーーン!


(さてと。この階はどうかな)


 実は。

 今回は途中で便利な遺物キューブを拾ってて。


 ============================


 【定式幕マッピング


 自分がいる階層の地図を確認することができる。


 [レアリティ] ★

 [種類] 道具アイテム

 [タイプ] 永続

 [重量] 0


 ============================


 ラッキーだったな。 

 これを持ってると持ってないとでは、クリアタイムがかなり変わってくる。


 中層階からはダンジョンがある程度複雑になってくるし。


 だから。

 どうやって最短距離を進むかが大事になるんだよね。


 一度、亜空間からホルダーを呼び出すと。

 ジェムを1個取り出す。


 キューブから排出されたこのジェムを使用することで。

 アイテムの効果が発動されるわけだ。


「幽玄なる源泉よ。煌めく智慧を呼び覚まし、我が意志に応じて具現化せよ――ユーティライズ」

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