4章
第47話 学校
明けて月曜の昼休み。
(ごちそうさまでした)
今日も
手を合わせて弁当箱をカバンにしまう。
(さてと)
制服のポケットからスマホを取り出すと、Teentubeのアプリを開く。
日曜日はダンジョンに潜らない唯一の日で。
授業の予習したり、一週間分の買い出しに行ったりしていろいろ忙しかったから。
昨日はアーカイブ見る余裕がなかったんだよね。
(そうだ)
自分のチャンネルに飛んでふと気づく。
そういえば、一昨日は陽子さんとコラボ配信したんだっけ。
上がってたりするのかな?
ふだんはほかの配信者さんの動画はほとんど見ないんだけど。
登録済みのアイコンをタップして、陽子さんのチャンネルへ。
(おっ。アップされてるじゃん)
しかも驚くことに。
コラボ配信のアーカイブは、すでに50万回以上再生されてた。
すごいっ。
まだ驚くのは早い。
コメントも200件近くついてる。
:アップありがとう!
:これが噂のw
:なかなかえぐい内容だったw
:ワデアちゃーーん♪
:やっぱワデア嬢やな
:開幕早々飛ばしすぎww
:やるね。このエデンってヤツ。
コメントは僕についてのものもチラホラあって。
いかに反響が大きかったかが伝わってくる。
実際に僕のチャンネル登録者数も。
数日前とは比べものにならない勢いで爆増して。
現在はなんと2538人。
1000人は軽く超えてしまってて。
こうしてる今も伸び続けてるような状況だったりする。
ほんと陽子さんさまさまだ。
そんな風に感謝を抱きながら、スマホに目を落としてると。
「国崎ぃ!」
ハッとして振り返ると。
そこには笑顔でピースする金髪ギャルの女の子。
「ほ、星宮さん?」
「よっ☆」
クラスの人気者のはずなのに。
毎回、僕なんかに声をかけてくれる天使みたいな子で。
「なに見てんのぉ~?」
「えっ? いや・・・」
べつにやましいものを見てるわけじゃないけど。
なんとなく言い淀んでしまう。
けど。
星宮さん相手にはあまり意味なかったみたい。
「あっー!
あっさり見抜かれてしまう。
ん?
というか星宮さん知ってるんだ。
「ウチもたまに見るよ☆ ダンチューバーの中じゃめっちゃ有名だよね♪ なになに~? 国崎、まさかガチ恋してたりする感じー?」
からかうように星宮さんが肩を寄せてくる。
その距離はかなり近いっ。
てか、なんか当たってるんですけど!?
「いえっ。実はちょっと気になってまして。チャンネル登録はしてたんですけど、動画を見るのはこれがはじめてなんです」
「べつにごまかさなくたっていいってー。そりゃ思春期の男子じゃん? 推しの女の子のひとりやふたりいるっしょ~☆」
Sっぽさ全開でぐいぐい押してくる星宮さん。
なんか僕をからかって嬉しそう。
「ウチも推しの配信よく見てるから♪ 気持ちわかるんだよ〜」
「そうだったんですね」
「ちょっと変わったダンチューバーでさ。FPVカメラ使って配信してたりで。容姿とか背丈とか、ぜんぜんわかんないんだけど。男子ってのはわかるんだよね。でもそれだけ。なんかそれが逆に気になるっていうかー。えへへ☆ ちょっと変だよね、ウチ」
そう語る星宮さんの表情は。
どこか憧れが入り混じってるように見えて。
(星宮さんもこんな顔するんだ)
なんかちょっと羨ましいかも。
星宮さんに推されてるそのダンチューバーさん。
(僕以外にもメガネカメラ使って配信してる人っているんだな)
紫月によると。
僕みたいな配信者はめちゃくちゃ珍しいって話だったから。
「それで・・・あの、星宮さん。なんか僕に用事でしょうか?」
「あーそうそう! 担任の前川センセに国崎呼んでくるようにって言われてたんだった! 言うの遅くなってごめんね。昼休みの間に職員室来てほしいんだって♪」
「前川先生が。わざわざありがとうございます」
「ううん。どーいたしまして♪ じゃあね~☆」
僕のそばから離れると。
星宮さんは手を振って去ってく。
(本当に優しいな)
せっかく声かけてくれたんだ。
職員室へ急ごう。
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