第34話 3rdダンジョン Ⅵ

(おっ)


 幸先よく遺物キューブを見つける。

 地下1階で拾えるなんてかなりツイてるぞ。

 

「ブルーキューブですわね。カテゴリーはなんですの?」


武器ウェポンの[槍]みたいですね」


「あらそうですの。残念」


 魔術士マジシャン重騎士クラッシャーの僕とワデアさんじゃ、槍のウェポンは扱えない。


「とりあえず、解放してみたいと思います」


「よろしくお願いしますわ」


「虚無の奥底より響く幾何学の鎖を解き放ち、真実の輝きを我に宿せ――レリーズ」


 ブアッ!


【反魔の三叉槍さんさそうを入手しました。】


 そんな文言とともにボディコンソールにデータが表示される。


 ============================


 【反魔の三叉槍】

 

 凶悪な殺気を放つ槍。

 冥界の干渉を受けて変形しており、死者の魂を沈める効果があると言われている。


 [武器効果]

 敵の弱点を突いた場合、敵の防御力を50%無視

 必殺技を発動した後、次の与ダメージ-12%


 [レアリティ] ★

 [種類] 武器

 [系列] 槍

 [攻撃力] 240

 [重量] 3

 [必殺技] 空圧衝くうあつしょう


 ============================


:どんまいw

:使えないんだよなぁ

:元気だせよw

:星1のゴミやな

:これからこれから

:ですよねー

:またキューブ拾えるよ




「あっーー!」


 そこでワデアさんがなにかに気づく。


 ぴょん、ぴょん。


 突き当りの通路にエネミーの姿が数体見えた。

 

(スライムかな)


:ワデア嬢の好物キターーー!

:スラ専の出番や

:出たぞワデア

:かわいい

:ザコの宿命w


「うぅぅ~~。悔しいですわっ。せっかくわたくしでも倒せそうなエネミーが出現しましたのにぃ~~」


 めちゃくちゃ悔しそうなワデアさん。


 相手はまだこっちに気づいてない。

 武器さえあれば、簡単に倒せる敵なんだけど。


(うん。このあたりで使ってもらおうかな)


 深層階までふたりで降りるってなると。

 僕だけレベル上げればいいってわけにもいかないし。


 ちなみに。


 エネミーを倒せば経験値が入って、レベルが上がるわけだけど。

 ダンジョンの外に出るとレベルはリセットされる。


 毎回、LV1の状態からスタートっていうのが探索者の宿命だ。


 その都度レベルを上げる必要がある。


 だからこそ。

 序盤での戦闘が重要になってくるんだよね。


(まあ、ここがダンジョン攻略の面白いポイントでもあるんだけど)


 一度、反魔の三叉槍を手にする。

 あとはイメージするだけ。


「我が手に託されしは叡智の神儀。星辰せいしんの輝きを超越する軌跡で、再構築の糸を紡ぎ与えん――リライト」


 ぽんっ!


 詠唱文を読み上げると。

 煌びやかな光とともにウェポンが変化する。


 ============================


 【ボルテックスエアゲイザー】


 伝説の鍛冶職人が百年打ち込んで完成させたという斧。

 非常に重く巨大であるため、腕に自信のある者以外は力を存分に発揮するのが難しい。


 [武器効果]

 必殺技を発動した時、会心ダメージ+30%

 残りHPが50%以下の場合、攻撃速度+20%、与ダメージ+30%

 

 [レアリティ] ★★★

 [種類] 武器

 [系列] 両手斧

 [攻撃力] 610

 [重量] 8

 [命中率] -15%  

 [必殺技] ヘルオンウィール


 ============================

 

 リライトの力はかなり万能で。

 武器のカテゴリーも書き換えることができるんだよね。


「はいどうぞ」


「ちょっ・・・エデンさま!? いったいなにをっ?」


「槍を斧にしました。重いので気をつけてください」


「はいぃぃ~~!?」

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