山底のブランカ

高間 哀和

エピローグ

ボロボロのフード付きマントを被った少年がおぼつかない足取りでこちらへ歩いてくる。髪は無駄に長く、腰まで伸びっぱなしだ。自分はここでコーヒー店のバイトをしていたのだが店主が死に、今は新たな店を営んでいる。


この店に来る客はとにかく普通ではない、だが今までの誰よりその少年は普通では無いように感じた。窓から眺めていると彼はふらっとその場に倒れ込んだ。


それを見て店の扉を開け、その場までゆっくりと歩いた。少年をどうにか抱えて店のソファーに寝かせる、フードを脱がせてやると端正な顔が表れた。あまりの顔の良さに2・3歩後ずさってしまいそうになったが、私はその顔をどこかで見たことがある気がして目をは離せずにいた。




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痛みに耐える絶叫、治療という名の地獄への片道切符、その地獄の名は戦場だった


大気が震え、音が消えた、瞬きをして目を開けた頃には歪んだ大地と少し前まで兵士だった死体達のみがそこに広がっていた


惚けていると遠くの方で何かが動く影が見えた、もう助からないのは分かっていた、でも、私はどうしても助けたかった、急いで駆け寄ろうとした。


だが私の体は激痛が走るだけで、体を起こす事すら出来ない。




ここから先、私の記憶は途切れている





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飛び散る鮮血、刈り取った命がまた僕の体を重くする、そこは戦場だった


大地が震え、音が消えた、瞬発的に空間操作能力を展開させたが遅かった、瞬きをして目を開けた時には何も無かった。大地も、仲間も敵も、全てが平等に、そして静かに終わりを告げていた。


瓦礫をかけ分け起き上がったが、あるのは死体と崩れた大地のみ。



少し遠くで強い力を感じた、それは軽く十数メートル範囲にクレーターを作る程度のものだったのだろう。それを僕が空間操作能力の限界距離まで“拡散“させた。


王都までの距離は無いものの、何の罪もないこの周辺集落の人間と、この戦場の全員、敵味方関係なしに殺してしまった

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