霧の中の囁き

追求者

第1話 霧の町

 深夜、濃密な霧が霧雨市の街を静かに覆い隠す。街灯の黄色い光は霧の中でぼんやりと揺れ、その光は不確かな影を作り出す。人々の姿はどこにも見えず、ただ静寂だけがこの場所を支配している。


 そんな幻想的な光景の中、一人の女性が静かに足を踏み入れた。彼女の名前は美月。黒いコートに身を包み、手には古びた革の手帳を持っている。この街に伝わる古い伝説を調べるために来たのだ。彼女の目的は、何世紀にもわたって語り継がれてきた、霧にまつわる謎を解き明かすことにあった。


 美月は霧の中を進む。足元には落ち葉が積もり、その音が静かな夜に響く。彼女はこの街の伝説について調べてきた。


 伝説によると、この街には霧の夜にだけ現れるという古い家があるという。その家には、何百年もの間、住人が見たことのない秘密が隠されていると言われている。


 好奇心か探求心か、動機は定かではないが、美月はその秘密を解き明かすため、そして自身の研究のために、その家を探し出すことを決意していた。

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