第2話 過去は変えられるか
続きを書くかわからない、なんて言っておきながら、早速翌日に!! 前話の続きを書いてみます。
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バスでの出来事は、紛れもなく過去の話だけど、思い出していたのは今の私。過去のことだけど、今のことでもある。
その記憶を想起するきっかけがあって、私はそのきっかけが刺激となって、また同じような気持ちを感じて、あのバスの出来事とその出来事に纏わる感情を思い出した。
あの時の私は、罪悪感ときちんと向き合うことができていなかった。誰にも話すこともしてこなかったし、無かったことにしたくて、未解決な感情のまま記憶の底に沈めていた。
今ならその感情を受け止めて完了できるだろう。だから、想起する出来事が起きて、私は今あの出来事を思い出した。
しかし、ちゃんと向き合って解消できなければ、この先何度も同じパターンの出来事と感情を繰り返してしまうことになる。
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人の記憶って不思議だ。思い出すたびに、毎回上書きされるそうだ。これは脳科学で言われている。思い出すたびにオリジナルの記憶は失われていく。データの上書き保存と似ている。
過去のことを色々美化して記憶していたり、必要以上に嫌な記憶にしていたりすることもある。このように、何度も思い返して上書き保存することで、元データとは似ても似つかないものになっている可能性もあるということ。
人は自分の見たいことしか見ないようなところもある。これを『確証バイアス』という。自分の信念や固定観念などにより、見たい情報や取り入れたい情報だけ無意識に選んで取り入れている。高性能のノイズキャウンセラ機能が働いているみたいだ。そんな偏った認知から記憶は作られている。だから記憶とはとてもあやふやなものなのかもしれない。
また、同じ出来事に対しても、見る人によって違う記憶として保存されているだろう。
こう考えると、記憶って実はかなり自由度が高いのかもしれない。楽観的な認知で、都合よく記憶しているほうがセルフイメージも上がるし、幸せに生きていけそうな気がする。
一方で、思い出さなかった記憶は、そのまま冷凍保存されているように、無意識に残っている。全ての記憶は無意識に残っている。思い出せないからといって決して消えて無くなることはない。
そして、この未解決な記憶は、今回の私みたいに数年の時を経てふっと浮上したりする。
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私の記憶もこうして振り返り、新しい認識が加わることで、また少し違ったものに変わっているのだろう。
一つ一つ葬った過去を紐解いていく。封印されていた過去の自分を解放する。そうすることで、余計に消費して、無駄遣いしていたエネルギーを【今】に取り戻すことができる。
この作業は無理にしなくてもよくて、たぶん丁度いいときに丁度いいことが起こって、その時に向き合えばいいのだと思う。
意識には時間の概念がないそうだ。過去の出来事は変えられないけど、今ここに存在しながら過去にも未来にも行けて、見方だけは変えていけるのだろう。
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このような話は色んな人が言っていて、私もなるほどと思って聞いていた。それを自分の経験に当てはめてみました。
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