フラットゾーンは、どこに続くのか?

エリー.ファー

フラットゾーンは、どこに続くのか?

 落ち込んでいる時間が、僕を慰めてくれる。

 しかし、それがダメなのかもしれない。


 落ち込んだことがない。

 というか、転んだことがない。

 不思議とずっと走っている。

 というか、常にホバー状態。

 これは、何なのか。

 

 テンションは全く高くない。

 どちらかというと、あくびが出るくらいに眠い。

 リラックスしていると言っても良い。

 パキッていない。


 何がフラットゾーンなのだろう。

 でも。

 好きな言葉ではある。

 フラット。

 何を持って平なのか。

 ゾーン。

 どこからどこまでなのか。

 重ねられた疑問によってでしか、僕は僕を埋めることができない。

 外に出たら殺される。

 いや。

 殺してしまいかもしれない。

 脳味噌に釘を刺して歩き始める。

 それが散歩の始まりだろう。

 吐き出してこそ、すべてではないか。

 芸術はどこに向かうのか。

 ピーナッツを食べたい。

 そのまま。

 ずっと。

 ここで。

 眠っていたい。


 僕に家族はいない。

 母親にも父親にも愛されていない。

 ドラムの音を聞きたい。

 心の中に自分の影を見た気がした。

 さようなら。

 どうか、皆さん。

 お元気で。


 光の中に居続けたいのです。

 あなたにとっても、そうでしょう。

 笛の音が聞こえてきました。


 嫌になるほどテンションを上げるしかないのでしょうか。

 画面の中に、自分を見つけてしまうと、少しずつ自分を失っていくような気がします。

 そう。

 客観視が上手くなりすぎて、自分の主観が塗り潰されていくのです。本当の自分がどこにいるのかなんて一切分かりません。ペットボトルに映った自分の顔が、光の中で踊っていることが分かると水辺にいることに気づけなくなります。

 そう。

 下品。

 酷く下品。

 嫌われたくなります。

 何が良くて、何が悪いかなんて、意味もない。

 踊ってみなければ、自分が何者かなんて分からないですし、ステージの光の具合を確かめずに、誰も自分の成功した姿を想像することはできないのです。

 静かに帰るなんて、もってのほかです。

 大騒ぎをしたいのです。

 皆が、顔をしかめて、おかしくなって、殺し合って、嫌いあって、憎しみあって、何もかもないまぜになる瞬間が欲しいのです。

 何が知りたいの。

 何もかも知りたいの。

 不可知論が最高だって話を、昨日の夜に喉が焼き切れるほどに、続けたというのに。

「また、始まった」

 何が。

「意味の分からない言葉の羅列」

「シビアでしょう」

「シビアって言葉を使いたいだけでしょ」

「叫びたいんです」

「カラオケに行けばいいじゃん」

「サンバ」

「は」

「サンバ、最高じゃないですか」

「なんで」

「だって、全部捨てることができるから」

「ほら、終わる」


 このまま踊る。

 一つになって死ぬ。

 踊って狂う。

 狂うから踊る。

 花火の中に自分の姿を見つめながら踊る。

 僕は、生きています。

 まだ、生きています。

 死ぬまで生きています。

 そして。

 生き残りたい、という意思とは無関係に、生き残ってしまうでしょう。

 残念ながら、僕の人生とはそういうものなのです。


 何がグローバルだ、バカ。

 死ね。

 クソが。


 喋り散らしてぇ。

 マジで、やりたい放題してぇ。

 うわぁ。

 どうしようもないくらい喋りたい。

 いや。

 かなり喋り過ぎてる感じもあるけどさ。

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