君と私の青写真

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プロローグ

 私は所謂『ライター』というもので、雑誌のネタ探しにとある個展へ足を運んだ。

『色彩』そう題名の付けられた絵が、額縁に入れられている。海をバックにした水彩画で、とても色が淡い。絶対的なセンスを感じるわけでもないのに、中心で笑う少女の儚さがよく映えている。

 同じ作者の作品を観ると、全てにその少女が写っている。あるときはエッフェル塔の前だったり、またあるときは自由の女神像の前で同じポーズを取っていたりと様々だ。

 なぜこんなにも同じ少女を描いているのか不思議に思った私は、個展のホームページから本人へ電話をした。


 「真白さんですか?」

珍しく鳴った電話に出る。話を聞くと、私の個展を見に来てくれた人のようだ。自己紹介のときにライターと言っていたので、雑誌のネタにするのだろう。

 「絵の中の少女は、真白さんにとってどのような存在なのですか?」

咄嗟に答えることはできなかったが、確実に分かることはあった。

「私に、色をくれた人です。」

そうして私は、彼女との思い出を話した。


 話を聞き終わったとき、なぜあの少女があまりにも儚く描かれていたのかが分かった。そしてそれが、私の手を加えていいものではないことも。

 彼女は、芯のある声でこう締めくくる。

「だから私は、彼女を描き続けます」

 と。

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