第5章 監察官

033 監察官(1)新たなる旅立ち

ルナ 月夜つきよ

「みんな、おはよう! 【ルナ】だよ。

 またの名を、月の夜と書いて、【月夜つきよ】と言います。


 神様に【異世界アイデア】を買ってもらって、この異世界で【万能ばんのう最強さいきょう】しています。


 初めての方に、ボクの仲間を紹介するよ。


 3人ともうつくしい女性なんだけれど、外では男装だんそうしてべつの名前を名乗なのっているんだ。」



 ボクは、剣の手入れをしている【紅姫べにひめ】を見た。


ルナ 月夜つきよ

「【紅姫べにひめ】が持っているカタナは、【妖刀斬ようとうざん 紅丸べにまる】という妖刀を斬ることができる意思があるカタナだよ。


 【紅姫べにひめ】は、「理性を無くして人に危害を加える妖刀」を斬る使命を果たすために生きているんだ。


 外では、【紅丸べにまる】と名乗っているよ。」



 ボクは、医術書を読んでいる【黄花おうか】を見た。


ルナ 月夜つきよ

「【黄花おうか】は、お医者さんで、「ひとりでも多くの患者を治したいという本願ほんがん」のために頑張がんばっているよ。


 外では、【黄庵おうあん】と名乗っているよ。」



 ボクは、算盤そろばんをはじいて計算をしている【青紫あおむらさき】を見た。


ルナ 月夜つきよ

「【青紫あおむらさき】は、商才にあふれた商人なんだ。


 この間も、大儲おおもうけけしていた。

 しかも、その結果、多くのひとたちが幸せな生活を手に入れたよ。


 外では、【青兵衛あおべえ】と名乗っているよ。」




 お昼ごはんの後の食休み時間。


ルナ 月夜つきよ

「ねえ、みんな。 聞いてほしいことがあるんだ。」


紅姫べにひめ

「はい、ルナ様」


黄花おうか

「はい、ルナさん」


青紫あおむらさき

「はい、ルナ」


ルナ 月夜つきよ

「僕と一緒いっしょらしてくれるみんなとも出会えたことだし、この世界を楽しむための冒険ぼうけんたびに出ようと思うんだ。 みんなもってくれるかい。」


紅姫べにひめ

おおせのままに、ルナ様」


黄花おうか

「もちろんです、ルナさん」


青紫あおむらさき

「付き合うわ、ルナ」


ルナ 月夜つきよ

「じゃあ、モンテマニー公爵様こうしゃくさま挨拶あいさつしてから行こうと思う。」



 ボクたちは、モンテマニー公爵様と公爵様の執事しつじと話をしている。


モンテマニー公爵

「ふむ。 旅立つ前に 私のもとおとずれてくれるとは。 友達ともだちができたようでうれしいぞ。


 友達が多いメクバールには分からない感情かもしれないがな。」


メクバール執事

旦那様だんなさま対等たいとうの存在など滅多めった存在そんざいしません。

 よって、友達がいないのは当然とうぜんでございます。」


モンテマニー公爵

「そういう意味ではないのだ、メクバール。


 私のことを損得勘定そんとくかんじょうきで好きになってくれるかどうかという意味で、友達と言っているのだ。


 多くの者たちは私からもらうものをもらったら、もう近づいてこないからな。」


メクバール執事

「私は、そんなことありません。」


モンテマニー公爵

「じゃあ、明日からお給料きゅうりょうしで働いてくれるか?」


メクバール執事

「そ、それはその、なんともうしましょうか 」


モンテマニー公爵

「すまぬ、いじわるを言ってしまった。

 忠誠ちゅうせいというものは金銭きんせんを土台にして、購入こうにゅうするものということ分かっている。


 メクバールのことは、本当にたよりにしている。


 ただ、友達関係というものはいつかこわれるものと思っている。

 だから、ビジネスパートナーとして、少しでも長い間、私の味方でいてほしい。


 スタートというか入り口が雇用なのか? 無償なのか? というちがいだけだ。」


メクバール執事

「もったいないお言葉でございます。 ありがとうございます。」


モンテマニー公爵

「それで、ルナ殿。

 旅の目的地もくてきちは決まっているのかな?」


ルナ

「いいえ、決めていません。

町の出口に行ったら、つえを倒して、つえが倒れた方向に行こうと考えています。」


モンテマニー公爵

「ふむ、それならば、ルナたちに行って欲しい町がある。


 ここにわたし執事しつじであるメクバールは、目配めくばりができる人物でな。

 メクバール、例の話をルナ殿たちにしてくれるか?」


メクバール執事

「公爵様は、この町と周囲にある7つの町、合わせて8つの町をおさめておられます。

あるひとつの町で 不正ふせいがある ということがわかりました。


しかし、ずるがしこい相手でなかなか尻尾しっぽを見せてくれません。

不正の証拠しょうこつかりに行ってくれるものが欲しいと考えているところです。


ただ、その・・・」


モンテマニー公爵

「たとえ証拠を掴んだとしても、相手は逆上して武力行使に出てくることもある。  その時に生きて帰れるという保証が欲しい。


 大変無礼たいへんぶれいなことをうが、紅丸べにまる殿、そなたの力を見せて欲しい。」


紅丸

「ルナ様。」


ルナ

「どのようにすれば、よろしいのですか?」


モンテマニー公爵

「このやかた警備員けいびいん5人を呼ぶから、戦ってみてほしい。

 もちろん真剣しんけんではなく竹刀しないを使って、防具ぼうぐも着けて、模擬戦をしてもらうだけで良い。

 これなら生きて帰ってくれる!と、安心させてほしい。


 私の警備員たちはかおが割れているから送るわけにはいかないのだ。」


ルナ

「それは、紅丸べにまる1人で警備員けいびいん5人に勝てという意味ですか?」


モンテマニー公爵

「そのとおりだ。

 本番では、30人くらいにかこまれる危険を想定そうていしている。

 5人程度におそれをなしているようでは、安心できない。」


ルナ

「おことわりします。」

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