005 月夜と書いてルナ誕生 (5)愛と美の女神と友達になる

 ショートカット金髪で青い目の美しい女神の登場に、ボクは不安になった。


 こういう美しい女性は、ちやほやされるから精神的せいしんてきにキツいひとが多い。

 所属しょぞくする集団しゅうだんにいる男性をすべてとりこにするという目標もくひょう達成たっせいする邪魔じゃまになるボクに言い掛かりをつけてくる。

 しかも、「やつを、いじめたら、仲良くしてあげる!」という言葉を信じた男性の多くが、ボクへのいじめに参加してくるからイヤになる。


シクペリア 神々を作った創造神そうぞうしん

「イウラ。

 彼は、わたしが試行中しこうちゅうの星で魔法まほうを使う予定のルナ、別名 月夜つきよだ。

 イウラが割り当てを担当しているにある【100人にひとりの美しい容姿ようし】を割り当てて欲しい。」


愛と美の女神 イウラ・ノータ

「くじ引きをしないで、ですか?」


シクペリア

「そうだ。

 よろしく頼む。」


イウラ

公平性こうへいせいくので、お断りしたいです。」


シクペリア

「わたしの実験の協力者であり、必要なアイデアを提供ていきょうしてくれた御礼おれいとして、

   【100人にひとりの美しい容姿ようし】を

割り当てたいという気持ちを分かってくれないか?


 イウラが管理する美しい容姿ようし以外では対価たいかとして、つり合いが取れないんだ。」


イウラ

「分かりました。

 特別ですよ。

 ほかの神々には言わないでくださいね。

 特例とくれいは作りたくありませんから。」


シクペリア

「ありがとう。 わかってくれてうれしい。


 それと、イウラにもう1つたのみたいことがある。

 ルナの案内役ガイドとして、異世界転移いせかいてんい序盤じょばん支援サポートして欲しい。」


イウラ

「わたしは忙しくて、プライベートの時間が取れなくて、余裕がないからやさしくできませんよ。」


シクペリア

「イウラなら、なんとかするさ。

 その点は信頼しんらいしている。

 もしも、イウラが引き受けてくれないなら、2番目に信用しているイウラではなくて、一番に信用している神に頼むしかないのだが、彼もいそがしくてね。」


イウラ

「わたしは、ほかの神よりもヒマだと言いたいのですか?

 あんまりです。」


シクペリア

「ヒマとは言っていないぞ。

 イウラと同じように忙しいと思ってくれたら助かる。」


イウラ

「断ったら、どうしますか?」


シクペリア

「そのときは、その神に頼むしかないな。

 彼はかなり気難きむずかしいから、説得せっとくに時間が掛かるだろう。

 その時間については、イウラとの時間をらすことで帳尻合ちょうじりあわせしようと考えている。」


イウラ

「今でさえ、ほとんど、わたしとの時間が取れないじゃないですか?

 さらにらすつもりですか?」


シクペリア

「そうならないためにも、イウラにルナの案内役ガイドを頼んでいるのだが。

 引き受けてはもらえないだろうか?」


イウラ

「分かりました。

 引き受けます。」


シクペリア

自発的じはつてきな協力に感謝かんしゃする。


 では、ルナ。

 あとは、イウラが引きいでくれるから安心してくれていい。


 イウラ、ルナの異世界での様子を見てあげてくれ。

 そして、わたしに、あらすじを知らせて欲しい。


 次の用事があるから失礼するよ。


 ルナ、新しい人生にかがやきがあることをいのるよ。


 イウラ、ルナの異世界転移に必要なもの一式いっしき

 【100人にひとりの美しい容姿ルックス】の

提供ていきょうを、よろしく頼む。」


 シクペリアはっていった。





イウラ

「もう、シクペリア様ったら、ひどいわ。

 わたしのことを2番目に信用しているなんて、1番目の神に頼めばいいじゃない。」


ルナ

「あのう、イウラ様、発言はつげんしてもよろしいですか?」


イウラ

「なによ。 つまんなかったら、おこるわよ。」


ルナ

「1番目の神は、シクペリア様ご自身のことです。」


イウラ

「なに? それ? ギャグなの?」


ルナ

「シクペリア様も、波太郎なみたろうのマンガを気に入っておられるのです。」


イウラ

「それで?」


ルナ

「そのマンガのワンシーンに、こんな会話があるのです。


 波太郎

 「わかった。 ボクが最も信頼する人物を現地げんち派遣はけんしよう。」


 次のページでは、波太郎がテクテクと歩いている場面がえがかれている。


という内容です。」


イウラ

「えっ? そのマンガをちょっと見せてよ。」


 イウラは、ルナのひたいに右手をあてて、ルナの記憶きおくを読み取った。


イウラ

「本当のようね。

 ということは、シクペリア様が一番信頼している神はわたしってことなのよね。

 ね、ルナ?」


ルナ

「そうですね。

 シクペリア様は、イウラ様のことは頼りにされているようですね。

 イウラ様は、特別な存在なのですね。」


イウラ

「ルナさん、わたしたち友達になりましょう。


 あなたの来世は私の仲間の神様のひとりになっている気がするわ。

 そのときは、【100人にひとりの容姿ルックス】を特別に割り当てるわ。

 だから、頑張ってね。

 こころから、応援するわ。」


 イウラ様は、ごきげんのようだ。


ルナ

「ええ、どうぞ、よろしくお願いいたします。」


イウラ

「よそよそしいわね。

 ルウナ?


 イウラって呼んでね。」


ルナ

「ええーっと、イウラ?」


イウラ

「はーい、ルウナ。

 あなたの旅が終わって戻ってくる日を待っているわ。


 じゃあ、異世界転移先へ送る前の最終確認さいしゅうかくにんをしますね。


 1.シクペリア様から6つのスキルを受け取る。

 2.わたしからは、【100人にひとりの容姿ルックス】を提供する。

 3.わたしがルウナのガイドをつとめる。

 4.住居は、ルウナが住んでいたワンルームをそのまま。

   しかも、電気ガス水道を完備。

   食料などは1か月分を入れておくわね。

   早めに現地の食事にれてね。

   医療品も少しは入れておくわ。

 5.インターネット回線は検索できても、書き込みは不可だからね。

   メールを受信できても、送信はできないわよ。

 6.ルウナの仲間になる3人の居場所は室内のお知らせ板に書いておくわ。

 7.それと、仲間の3人にも同じレベルの部屋を用意するわ。

   家主はルウナにしておくから、言うこと聞かないようなら、追い出せばいいわ。


 こんなものかしら?」


ルナ

「イウラ様に相談したいときは、どうすれば連絡できますか?」


イウラ

「そうね。 ルウナと私専用の掲示板を用意しておくわ。

 それについては、例外的れいがいてきに書き込みできるようにしますね。」


ルナ

「ということは、イウラに連絡して、相談できるタイミングは限られますね。


 わたしたちの掲示板への報告は、たまに少なめが良いですか?

 あまり長く書き込んだり、書き込み頻度ひんどが多いと、イウラ様がそのたびにシクペリア様に報告することになって、ご迷惑めいわくですよね。 お忙しいようですし。」


イウラ

「ルウナ。 かしこいわね。

 短くても良いから、毎日、報告ほうこくをくれないかしら?

 そうすれば、毎日、シクペリア様に話しかけに行く口実こうじつができて助かるわ。」


ルナ

「そうですか?

 うれしいです。

 まるで、イウラ様とわたしの交換日記こうかんにっきみたいですね。

 楽しみです。」


イウラ

「ルウナ、わたしたちは親友しんゆうよね。

 交換日記を楽しみにしているわ。


 それと、イウラ様ではなくて、イウラって呼んでね。」


ルナ

「はい、イウラ。」


イウラ

「そうよ。 ルウナ。

 ルナと呼ぶよりも、私と同じ3文字になるように、ルウナって呼ぶから、よろしくね。」


ルナ

「はい、イウラ。」


イウラ

「でも、他の人には、ルナって呼ばれても良いからね。

 ルナをルウナって呼ぶのは私だけの特別にしたいわ。」


ルナ

「わかったわ、イウラ。

 ありがとう、うれしいわ。」


 イウラはルナを抱きしめてハグをした。


イウラ

「じゃあ、行ってらっしゃい。」


ルナ

「行ってきます。」


 ボクの異世界転移が実行された。

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