僕は立派な超能力者になる

シュン・ニジオカ

第1話 イケメン級長ジョウと副級長キキ

「僕は立派な超能力者になります!」

 裕福でイケメンの級長、矢藤丈のきっぱりとした宣言に五年二組がざわついた。

 しかし、一番動揺したのは僕だ。その夢は誰にも明かさない僕の大切な夢だから。


「矢藤様、さすがでございますね」

(ジョウの奴、またホラ言っているわ)

「この前も学芸会で見事に矢藤様、念力で空中浮揚を成功されましたし」      (あれはお金かけたマジックだよ)

(キキが手伝ったらしいよ)

クラスメートたちは既に本音と建て前をわきまえてしまっている。五年生だから当然か。

「ところで、〝ちょーのーりょく〟って何?」

「念力、透視、予知、それとテレパシーとか、催眠術とか読心術とかそういうやつ」

 


「はいみんな静かに。矢藤君、確かに『将来の夢を教えてください』と言ったけどそういう夢で無くて、もっと実現可能なことを教えてください。科学者になるとか、プログラマーになるとか。五年生なんだから」

「はい、僕の将来の夢は立派な超能力者になることです」

 一歩も引かないジョウに困った山本先生に、副級長のキキさんが明るく助け舟を出した。

「先生! 私の将来の夢は矢藤君のお嫁さんになることでーす!」

 五年二組がさらにざわついた。

(やっぱりか? あの二人付き合っているらしいし)

 困り果てた先生を終業のチャイムが救った。

「はい。ではこれで今日のホームルームはおしまい」

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