幼なじみが眠りにつく時 幼なじみ 春日 蔦
自分の幼なじみ
だが、惚れた者が皆
永遠眠り続けてしまう事も知っている。
「ねぇ、キスしたいって思ったことはないの?」
僕らは付き合ってはいないのに
彼女は僕に問う。
その度に棘のある
パッと見では毒があるとすら思いもしないような鈴蘭のようだと心から思う。
「僕が永眠するくらいなら君を殺してようやく
僕は君にキスがしたいと思うよ。」
僕は僕に正直だから素直に心のまま答えた。
でも、彼女は人食ったような笑みを僕に向ける。
これでは本当に彼女が彼らを食べたのか。
それとも、彼らが彼女に命を捧げたのか。
分かりたくもないが、分からなくなる。
しとしと降る雨とジトジトした湿度が
彼女の匂いを僕の鼻腔に届けて嫌気が刺す。
イライラしながら本だけ借りて、図書委員の彼女を置いて図書室を後にした。
彼女は気にしていないのだ。
クラスメイトにすら不気味がられる
死の口付けの呪いを持っている事を
僕は心から彼女をなんて酷い人だろうと思う。
彼女に口付けをした何人が救急車に送られ、
何人が墓の中で眠ることになったことか。
世界一美しく残酷な毒があるとすれば、
それは
彼女だと僕は思う。
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