第9話 いじめの社会的正統性

小中における不登校児童生徒数は約30万人。約923万人のうち、割合で見れば少ないだろう。たったの3%だ。ごく一部であり意図的に除外できる程度のものだ。外れ値だ。大したことではない。


***


感染し蔓延した空気が漂う組織の中で

トモダチになれなかった人が

ナカマ外れにされました。

いじめが孤独による精神的苦痛であるなら

イタタマレナサであるなら

いじめをなくすことは

孤独をなくすことである。

逃げればいい、別の組織に入ればいい!


「不満があるなら、辞めればいい」


いじめの壮絶さは、結果ではなくプロセスにある。


「これはコミュニケーションの一つだ」

「あいつはトモダチではない」「あいつはワタシタチではない」

「あいつがどうなろうと、知ったことではない」

こうして人はサンドバック化され身動きが取れなくなる。

「あいつがいると、空気が悪くなるんだ」

それなら、仕方がないね。


穏便な脅し「こっち来ないでくれる?」

穏便な排除「あいつさぁ、ほんとうざいよね」

学級という組織を守るために上司である担任は何をするか。

彼らはテストの点数により劣等感を感じた加害者が憂さ晴らしをしている可能性を考慮しない。

彼らはみんな違ってみんないいとだけ教わったため事態が収まればどうでもいい。

彼らはそもそも多忙で身も心もズタズタであるため混乱状態にある。

彼らは宿題を出し続けて親から宿題したのかと言わせ続け家庭で生徒にプレッシャーを与えている可能性を考慮しない。

彼らは知らない。

彼らは想像しない。

彼らは探求しない。

彼らは自分たちが加害者の一人である自覚がない。

彼らは自分たちが加害者に加担している自覚がない。

「ワタシタチも同じ空気で育ってきた。だから、被害者よ、強くなれ」

今日も何処かで誰かが淘汰される。

壮絶なプロセスに、彼らは関与しないばかりか、プロセスをより壮絶にする。


「嫌なら、やめたら?」


大人になった彼らは穏便に、ウゼェ奴をいじめる。

大人になった彼らは自分が病気であることを知らない。

感染が広がる。感染が続く。

今日もどこかで新入社員が会社を辞めた。

甘えなのだろうか。逃げだろうか。堪え性のなさだろうか。


「嫌なら、やめたら?」


指南

孤立した人が生きる道は?小学5年生で精神的成長が止まってしまった大人たちにいじめられずに生きるためには?

加害者のコミュニケーションに混ざりトモダチになりましょう。

同じ趣味を持つ、同じ格好をする、同じ考え方をする、同調圧力に屈しましょう。

ピエロを演じることに疲れないように!

下手をするとサンドバックにされるよ!

何も喋らない、考えない、主張しないのが一番だよ!

トモダチと同じ行動をしようね!

「別に」「普通」「どっちでも」と言って自分が判断しないようにね!

ウザイといちゃもんをつけられる理由を与えてはいけないよ!

なんだって正当化できるように言葉は作られているんだから、正義なんてものはない!力こそが正義だ!だから論理は使わない!絶対、ダメ!

彼らの中で影響力を持ちましょう。

役に立つ。存在感を示す。トップの人間に遜って、可愛がってもらいましょう。

あなたが組織にとって必要な人材であることを証明しましょう。ごまをすりましょう。

ただただ、自分のために、上司の機嫌をとるためなら同僚を蹴落としても構いません。


つまり、いじめをみぬふりし、いじめに加担し、いじめの加害者になることです。


「嫌なら、やめたら?」


ウゼェ

ムカツク

フユカイ

ハブる空気の完成です。

システムが起動します。


ワタシタチは異質性を排除したくて仕方ありません。

ワタシタチはイライラを誰かに感染させたくて仕方ありません。

ワタシタチは穏便に何事もなかったかのように幸せを守りたい一心です。


ワタシタチは言葉を知りません。

ただの愚痴が悪者を作り上げてしまうこともあります。

言葉を知らないために、勝手に勘違いしてしまうことがあります。

上司に愚痴を言ったつもりが、次の日、その子はいませんでした。

なんてこともあります。


「嫌なら、やめたら?」


彼らは自分がしていることがいじめだとは思いません。

なぜなら組織的な空気によって決定されたものであるからです。

組織を守るという正義のために、いじめるのです!

傍観者に加害者の意識がありません。

なせなら傍観者はただ自分の命を守っていると思っているからです。

いじめはシステムであり、従うものだからです。


「嫌なら、やめたら?」


なぜ?悪いのはワタシなの?

ワタシはこんなにもフユカイなのに?

なぜ?悪いのはワタシなの?

ワタシは空気に従って生き延びようとしただけなのに?


クラスメートでも同僚でも同じです。

担任でも上司でも同じです。

被害者が引きこもるならよし。

被害者を解雇するならよし。

そもそも、誰も知らないのです。なぜならいじめは、当たり前のことだから。


スラム化。


「嫌なら、やめたら?」


ワタシタチの迷惑になることをしてはいけません。

いじめをなかったことにするにはどうしたらいいか?

加害者を退学にはできない。なぜならワタシタチが加害者だから。

被害者に引きこもってもらうしかない。

被害者にやめてもらうしかない。

いじめ社会で傍観者が加害者となれば社会総倒れ。

いじめ抜くしかない。ワタシタチは生き残りたい。

重大事態になる前に、不登校になってほしいな!転校してほしいな!


「嫌なら、やめたら?」


感染者は学習の回路を閉ざされ、知ろうとも思えない。

行き着く先はわかっている。答えは出ている。

「嫌なら、やめたら?」


ワタシはどうやって、暮らしていこう。

そうだ!穏便に、暮らしていこう。

ワタシタチの平和を乱すものには、罰を与えよう。


「早くいなくなれよ」


***


もしいじめがあったクラス全員を加害者としたらどうなるだろう。1クラス30人とすれば約900万人がいじめっ子。反論があるようなので陰でいじめられていた場合をカウントしないでみよう。そのうち教師にも相談できなかった、ノートで相談しても花丸がついて帰ってきたとしよう。カウンセラーをたらい回しにされただけだとしよう。転校、不登校になるまでの時間稼ぎのために調査中だと言われて何もされなかったとしよう。愚痴だと思われてただ話を聞かれただけだとしよう。この場合は教師全員が加害者。これは概算でしかない。もしかしたら、病気で不登校になったのかもしれない。これはデータに出ていて、小中で多めに見積もり8万人だ。容易に、想像ができるのではないだろうか。全国民総いじめ社会。議会、学校、家庭、会社、地域。パンデミックが収まる気配がない。収める気がない。どこまで行ったら、逃げられるのだろう。どこに行けば。


***


「嫌なら、やめたら?」

いじめの壮絶さは、結果ではなく、プロセスにある。

「早くいなくなれよ」



石丸市長の“どう喝”裁判で安芸高田市が敗訴 市民団体が石丸市長辞任求める要求書提出 広島

https://www.home-tv.co.jp/news/content/?news_id=20240110236056


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https://www.sankei.com/article/20221119-FKMA3YCDORJYPFDEICSBIREQGI/


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https://diamond.jp/articles/-/308550?page=2


いじめ訴える日記に「花丸」つけ返却、児童の父親が学校側を提訴

https://www.yomiuri.co.jp/national/20240510-OYT1T50019/


日本の教育がダメな理由がわかりました。〇〇な人が少ない事が原因です•••。文科省に〇〇な人が増えれば日本の教育は良くなります。【ひろゆき 切り抜き 教育 日本の闇】

https://www.youtube.com/watch?v=D7VmSep6Jlg


統計一口メモ 第12話 「外れ値をかってに外してはいけないって言われるけど」

https://tanigaku.jp/wp/?p=3158


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