第12話 新たな対立

香織がオフィスに到着すると、信用金庫の雰囲気が普段とは違っていた。瀬戸専務理事の逮捕によって、内部は混乱していたが、その一方で改革派としての立場を強化するチャンスでもあった。だが、すぐに新たな障害が立ちはだかる。


オフィスのドアが閉まると同時に、涼介と健一が駆け寄ってきた。


涼介: 「香織、大変なことになった。大嶋理事が緊急理事会を召集するようだ。」


香織: 「緊急理事会?何が狙いなの?」


健一: 「どうやら、彼が理事長の座を狙っているようだ。それに、改革派の動きを阻止しようとしている。」


香織の心の声: 「これは大きな挑戦だ。瀬戸が逮捕されても、問題はまだ終わっていない。私たちが本当に望む改革を実現するために、大嶋理事との戦いが避けられない。」


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その日の午後、理事会のメンバーが集まった会議室には、緊張感が漂っていた。大嶋理事は、まるで全てが自分の計画通りに進んでいるかのように、余裕の表情を浮かべていた。


大嶋理事: 「皆さん、瀬戸専務理事の逮捕により、信用金庫の信頼が大きく揺らいでいる。このままでは我々の存続に関わる。そこで、私は緊急改革案を提案したい。」


香織: 「大嶋理事、その案とは何ですか?」


大嶋理事: 「簡単なことだ。内部監査の強化と、新たな経営体制の導入だ。そして、それを実現するためには、私が理事長として指揮を取る必要がある。」


香織の心の声: 「彼の本当の目的は何だろう?彼が理事長になれば、改革はますます困難になる。」


奥田常務理事: 「大嶋理事、確かに信用金庫の信頼回復は急務ですが、あなたの提案には疑問があります。具体的な内容とその裏付けは?」


小田切理事: 「それに、改革派が進めている透明性の向上と内部監査の強化はすでに進行中です。なぜ今、急に変更する必要があるのか?」


大嶋理事は一瞬たじろぐが、すぐに冷静さを取り戻した。


大嶋理事: 「私の提案は、これ以上の混乱を防ぐためだ。信用金庫の安定と成長を第一に考えてのことだ。」


香織の心の声: 「彼の言葉には裏がある。私たちはもっと深く探らなければならない。」


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理事会が終了した後、香織、涼介、健一はオフィスに戻り、今後の対応を協議した。


涼介: 「大嶋理事の言動には何か隠されている。彼の目的を暴くためには、彼の過去の行動や発言を調べる必要がある。」


健一: 「それに加えて、我々の改革案をしっかりと理事会で支持してもらうための準備も必要だ。」


香織: 「そうね。大嶋理事の真意を突き止めると同時に、私たちのビジョンをしっかりと伝える準備を進めましょう。」


香織たちは、信用金庫の未来を守るため、新たな戦いの準備を始めた。大嶋理事との対決は避けられないが、彼らには信念と仲間がいた。


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その夜、香織たちはオフィスで新たな証拠を探すために再び集まっていた。その時、香織の携帯電話が鳴った。画面には「匿名」の表示があった。彼女はためらいながらも電話を取った。


香織: 「もしもし、どちら様ですか?」


声: 「三田村さん、あなたの動きは全て監視されています。明日、理事会で全てが明らかになるでしょう。あなたの正義が試される時が来たのです。」


香織はその言葉に衝撃を受け、電話が切れる音を聞いた。


香織の心の声: 「これは一体どういうこと?明日の理事会で何が起こるというの?」

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