姫路からの風〜翔太の軌跡

第11話 展示会の朝

展示会の日がついにやってきた。朝早くに目を覚ました翔太は、緊張と興奮が入り混じった気持ちで準備を始めた。今日は、彼の作品が多くの人々に見てもらえる大切な日だ。朝食を済ませ、心を落ち着けるために少し散歩に出かけることにした。

姫路城の近くを歩きながら、翔太は自分のデザインがどのように評価されるのか、期待と不安が入り混じる気持ちを整理していた。鳥のさえずりと城の静けさが、彼の心を少しずつ落ち着かせてくれた。

「今日が良い日でありますように」と心の中でつぶやきながら、翔太は事業所へ向かった。

事業所に到着すると、すでに多くの利用者たちが集まっていた。展示会の準備は整い、会場はにぎやかな雰囲気に包まれていた。田中さんが入り口で迎えた。

「おはよう、翔太くん。今日はいよいよ展示会だね。準備はできてるかな？」

「おはようございます、田中さん。はい、ちょっと緊張していますが、楽しみです」と翔太は答えた。

「大丈夫、君の作品は素晴らしいから。きっとたくさんの人が楽しんでくれるよ」と田中さんは励ました。

会場内では、翔太のアクリルスタンドやタオル、彩子の手芸品が美しく展示されていた。翔太は自分の作品を確認し、最後の調整を行った。

「翔太くん、頑張ってね」と彩子が声をかけた。

「ありがとう、彩子さん。お互いに頑張ろう」と翔太は微笑んだ。

展示会が始まると、次々と来場者が訪れ、会場は賑わいを見せた。翔太は自分の作品を説明し、来場者と交流することで、自分の作品がどのように受け取られているのかを知ることができた。

「このアクリルスタンド、すごく綺麗ですね。デザインがとても繊細で素敵です」とある来場者が言った。

「ありがとうございます。これは姫路城からインスピレーションを得てデザインしました」と翔太は答えた。

「姫路城が本当に美しく表現されていますね。このタオルも素晴らしいです」と別の来場者が言った。

「ありがとうございます。こちらも同じく姫路の風景をモチーフにしています」と翔太は感謝の気持ちを伝えた。

展示会の中で、翔太は多くの人々と出会い、彼らからのフィードバックを受けることで、自分の作品に対する自信を深めていった。彩子もまた、多くの来場者から称賛を受け、彼女の手芸品が高く評価されている様子を見て、翔太は嬉しくなった。

午後になると、田中さんがマイクを持って展示会の総評を行った。「今日は皆さんの素晴らしい作品を見て、多くの人が感動しました。利用者の皆さん、そしてスタッフの皆さん、本当にお疲れ様でした。これからも一緒に成長し、素晴らしい作品を作り続けましょう。」

会場は拍手に包まれ、翔太もその中に立っていた。彼の心には、充実感と新たな挑戦への意欲が満ちていた。

「翔太くん、今日は本当にお疲れ様。君の作品は多くの人に喜ばれていたね」と田中さんが言った。

「ありがとうございます。今日の経験を糧に、もっと素晴らしい作品を作りたいと思います」と翔太は答えた。

夕方、展示会が終了し、会場の片付けが始まった。翔太は疲れた体を感じながらも、心は満たされていた。彩子と一緒に片付けを終えると、二人は帰り道を共に歩いた。

「今日は本当に楽しかったね、彩子さん。お互いに頑張ってきた成果が見られて嬉しかったよ」と翔太は言った。

「うん、本当に。これからも一緒に頑張ろうね」と彩子は微笑んだ。

姫路の風が、新たな挑戦と成長の機会を運んでくれる。翔太の物語は、これからも続いていく。日々の小さな一歩が、大きな成長へとつながるのだ。