姫路からの風〜翔太の軌跡

みっちゃん87

プロローグ

姫路の街にそよぐ風は、古き良き時代と現代が交錯する独特の風情を醸し出している。歴史と共に歩んできたこの街の中心には、白鷺城の異名を持つ姫路城がそびえ立ち、その美しさは季節を問わず訪れる人々を魅了してやまない。


24歳の青年、翔太は今日もその城を眺めながら、自宅近くのカフェへと足を運んでいた。彼の歩みはゆっくりと、しかし確かに未来へと続いている。軽度の発達障害を抱えながらも、彼は日々の生活を大切にし、自分のペースで一歩ずつ前進していた。


翔太が通う就労継続支援B型事業所は、午後からの勤務が基本だ。部品の組み立てや袋詰め、箱の組み立て、チラシの封入、ポップの作成といった様々な作業を、自分のペースでこなしている。最近では、彼の絵の才能を活かしたオリジナルのアクリルスタンド制作にも携わるようになった。


カフェに着いた翔太は、お気に入りの窓際の席に座り、スケッチブックを取り出す。カフェの温かい雰囲気と、姫路城を背景に広がる景色は、彼の創作意欲を刺激する。カフェのスタッフとも顔なじみで、挨拶を交わすと、彼は静かに絵を描き始めた。


翔太の日常は、特別なものではないかもしれない。しかし、一つ一つの瞬間が彼にとっては大切であり、輝いている。姫路の風情が彼の背中を押し、日々の生活に彩りを与えていた。


翔太の物語は、ここから始まる。彼の成長と日常の軌跡が、姫路の風に乗ってゆっくりと紡がれていく。その道程には、喜びも苦しみもあるだろう。しかし、彼は確かに一歩一歩前進し続けるのだ。


そして、その先に広がる未来へ向けて、翔太は今日もまた新たな一歩を踏み出す。

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