半熟クラムジー 鴨志田 レイラ。

猫野 尻尾

第1話:下校時のお稲荷様。

いきなり女子になっちゃった高校生男子「鴨志田 礼かもしだ れい


礼の家は5人姉妹で、彼は末っ子で唯一の男子の6人姉弟と来たもんだ。

だから小さい頃は姉たちのいいおもちゃにされたんだな。

取っ替え引っ替え着せ替え人形みたいな扱い。


セーラー服なんか着せられて、もともと礼は綺麗な顔立ちだったから他人から

は女の子と間違えられた。


姉妹に囲まれて育ったから普通なら「朱に交われば赤くなる」になる

ところなんだけど、礼は意に反して四面楚歌になった。

そんなだからか礼はオカルトや、伝承、昔話、妖怪、悪魔、ユーマ、

とにかく謎な世界に興味をそそられて行った。


姉たちを見て育ったからか、女と言う生き物の本質を知っている礼は

女が、って言うより姉たちが嫌いだった。


そんなこともあって礼に彼女はいない。

礼自体、一度も彼女が欲しいって思ったことはなかった。

家に帰るとガサツな姉たちがいるからね・・・だからこれ以上女の匂いは

嗅ぎたくなかったんだろう。


礼の性格はどっちかって言うと前向き、ポジティブ、ノ〜天気、あまり物事に

執着せず、イヤなことはすぐ忘れるタイプ。

そんなだから、案外太っ腹だったりする。

友達の悩み事も解決してやったりするお人良しなところもある。


だけどそのわりに痩せてる・・・体重も50キロを切っている。

母親からはもう少し太ったほうがいいよって言われてる。

だけど食っても食っても太らない体質でただの痩せの大食い。


でもってある日のこと下校時、礼はいつものようにいつものルートで

歩いて家に帰っていた。

そしてお稲荷さんの横の石段を降りていた時、妙な違和感を覚えた。

それはお稲荷さんの入り口に鎮座してる狐がこっちを睨んだ気がした

からだ。


「バカバカしい・・・狐が動くはずないし・・・気のせいだな」

「あれ?待てよ・・・この石段はそのままだけど・・・そこにお稲荷さん

なんかあったっけ?・・・普通の神社じゃなかったかな?」


いつも見てる風景なのに不確かな記憶。

その瞬間だったんだ・・・礼は自分の体がブレた気がした。


「いまのなに?・・・めまい?」


ブレたと思ったのはその時だけだった。

首をかしげながら違和感を感じながら礼はそのまま家に帰った。


その夜のこと、礼は風呂に入ろうと服を脱いで姿見の前に立って自分の

スタイルと痩せ具合を確かめていた。


で、体重計で体重を図ろうとしたら・・・。


そしたら、また自分の体が石段の時より大きくブレた気がした。


「えっ?・・・また?」


でも、次ははっきりブレた・・・ブンってブレたと思ったら一瞬だけ気を

失っていた。

ふっと気が付いて倒れないよう洗面台に手をついてもたれた。


「なにが起こったんだ?」


そう思いながら礼はなにかが変わった気がして、また姿見で自分を見た。


「おかしいな・・・なんか変だよな」


「・・・・・・・・」


「うそ!!?」


つづく。


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