偶然の恐怖

天川裕司

偶然の恐怖

タイトル:(仮)偶然の恐怖



▼登場人物

●河北 登(かわきた のぼる):男性。20歳。大学生。

●辻村(つじむら)エリカ:女性。20歳。登と同じ大学に通う。登の彼女。本編では「エリカ」と記載。

●小野田裕美(おのだ ゆみ):女性。20歳。登の事好き。登と同じ大学に通う。サイコパス。本編では「裕美」と記載。

●村川宏樹(むらかわ ひろき):男性。20歳。登と同じ大学に通う。登の友達。本編では「宏樹」と記載。


▼場所設定

●登の自宅:一般的な都内にあるアパートのイメージで。

●大学:一般的な私立大学のイメージでお願いします。

●街中:こちらは必要ならで一般的なイメージでOKです。


NAは河北 登でよろしくお願いいたします。

(イントロ+メインシナリオ+解説:ト書き・記号含む=2529字)



イントロ〜


皆さんこんにちは。

今回は、偶然が偶然を呼んだ意味怖のエピソード。

でも、どの辺りが偶然で必然なのか?

その辺りの事も少し追求しながら見て頂くと

面白いかもしれませんね。



メインシナリオ〜


ト書き〈大学〉


俺の名前は河北 登。

今年20歳になる大学生だ。


俺には今、付き合ってる彼女がいる。

名前はエリカ。


エリカ「今度またドライブに連れてってねー」


登「ああ♪」


俺とエリカは付き合って2年目で、

今でもずっと仲睦まじいカップルだ。


でも俺には1つ悩みがあった。

それは…


裕美「ねえ登!私と付き合ってくれるんじゃなかったの!?なんであの女といつまでもずっと付き合ってんのよ!」


この裕美という女の存在。


登「い、いや、俺別にお前と付き合うなんて一言も言ってねーだろ?」


裕美「ウソ!言ったじゃない!私といつまでも永遠に付き合ってくれるって!」


本当に何をどう勘違いしたのか知らないが、

これまで確かに友達付き合いはしてきたが

その間でいつの間にか彼女の中では

そう言う事になっており、

裕美はずっと俺に付きまとっていたのだ。


登「もう頼むからやめてくれよ!俺が本気で好きで付き合ってるのはエリカだけなんだよ!今まで何度も言ってきたろ!」


裕美「そんなの信じない!許さない!」


こんな調子、てんで話に成らない。


すけこまし野郎なら2人一緒に付き合ったりするんだろうが

俺はそんな男じゃない。


どちらかと言うと恋愛にはかなり純粋で、

俺はもうこの時密かにエリカとの将来の約束、

つまり結婚の事なんかも夢見ていたのだ。


だから裕美の存在は邪魔と言うか、

俺とエリカ2人にとって大きな障壁…

もしかするとこれが理由でよからぬ事に

発展するんじゃなかろうか…


そんな恐怖のようなものまで密かに感じていた。


ト書き〈噂〉


宏樹「よぉ、お前まだあの女に付きまとわれてんのか?」


こいつは俺の友達で宏樹。

宏樹は俺とエリカの共通の友達で、

また裕美の存在も知っていた。


登「ああ、そうなんだよ。最近特にひどくてな」


宏樹「気をつけた方がいいぜあの女。やっぱりあいつ普通じゃねーよ」


登「え?」


そのとき宏樹は裕美にまつわる噂を俺に教えた。

それは…


宏樹「あいつなんかストレス溜まったりするとさぁ、近くにいる野良猫とか野良犬とか捕まえてきて、八つ裂きにしてるらしいぜ。偶々俺のダチでよ、あいつが野良猫とか拾って来てんの、偶然、見てた奴がいるらしいんだ」


話によると宏樹の友達は、

そんな場面を偶々手に持っていたスマホの動画に撮り、

それを宏樹に見せたらしい。


宏樹「そんでそのすぐ後にさ、あいつの家の周りで野良猫・野良犬の死体が見つかったんだって」


そのとき動画に撮った犬や猫の

体表の模様や特徴が一致した事から、

おそらく裕美の仕業に違いない…


宏樹とその友達はそう思ったらしい。


登「ま、まじかよ…」


もしその通りなら裕美はサイコパス。


そんな女に言い寄られてる…

いや狙われているとなると、

やはり気が気じゃなくなってくる。


ト書き〈別日〉


そして…


登「もういい加減にしろ!俺の前に二度と現れんなこの馬鹿野郎!」


俺はついに裕美に向かってそう言った。

確かに妙な恐怖もあったが、それより先に怒りが沸いた。


まぁこんな状況ながら、そうなるのも当然の事。

でも裕美はその時…


裕美「ひどい…」


そう言って1度泣いた後…


裕美「グス…ごめんね…私が間違ってたんだよね。好きな人にこんなに迷惑かけてたなんて。わかった。もうしないから」


そう言ってしおらしく謝ってきた後、

それから数日し、彼女は大学を辞めた。


ト書き〈恐怖〉


彼女が大学を辞めて数週間後。


登「うう〜トイレトイレ!」


俺は大学帰り。

思いきり尿意を催し、アパートまで速攻で走って帰っていた。


今日はうちにエリカが来て、

手料理を食わせてくれる日だ。


エリカには俺のアパートの合鍵を渡してあるから、

いつでも俺の部屋に入る事ができる。


エリカはこの日、午前中の授業で終わっていたので、

途中で買い物へ行き、

一足早く俺のアパートに着いている予定だった。


(部屋に飛び込む)


登「トイレトイレ!おっ、やっぱりあいつ来てんな♪」


ドアを開けると玄関にエリカの靴があった。

もうキッチンで料理を作ってくれている。


女の声「おかえりー♪」


登「おう!」


キッチンから声がするのを横耳に聞き、

俺は猛烈な勢いでトイレに駆け込む。


玄関を入ってすぐの所にトイレがあり、

キッチンはその奥の部屋。


(トイレ)


登「ふうーー!」


こんな時、

トイレに間に合った時の快感は言葉で表現できない。


落ち着いた時、携帯が鳴った。


(電話)

エリカ「ごめんねーちょっと遅くなっちゃったぁ♪今日グラタンにしようと思ったんだけど、キノコとエビとどっちがいい?」



解説〜


はい、いかがでしたか?

それでは簡単に解説します。


もうラストを見ればすぐに解るでしょう。


エリカは登の為に手料理を作る為、

一足早く登のアパートに着いている筈でした。


玄関を開けた時、エリカの靴があったので

登は「おっ来てるな♪」とエリカが既に

部屋の中にいると思いました。


でも確認はしていません。

そう、それはエリカじゃなかったのです。


そのとき部屋の中にいた彼女こそ、あの裕美でした。

ピッキングでもして侵入したのでしょうか。


裕美は、根っからのサイコパス気質を秘めたストーカー。

犬や猫をストレス発散の為に

平気で殺すと言うあの噂は本当でした。


「おかえりー」と言った声も登はトイレに急いでいた為、

はっきりとエリカと裕美の声の識別が付いていません。

まぁ靴が同じだったので、

登はエリカだと思い込んでいたのでしょう。


この「靴が同じ」と言うのは偶然でした。

でも、そのとき裕美が部屋の中にいた

と言うのは必然でした。


裕美はそれまでに登に対し謝罪しながら…


「わかった。もうしないから」


と言っていました。


でもこれはそれまでとは同じ行動をしないと言う意味で、

次のステップへ行動を移した

裕美の決意の表れだったのです。


その次の行動と言うのが、

それまでより強引に登とエリカの間に割って入り、

本気で登を自分のモノにするという荒業(あらわざ)の事。


もちろんトイレの中で登が受けたエリカからの電話で、

エリカがそのとき部屋にいなかったのはすぐに解ります。


そのとき部屋に居たのはサイコパスの裕美。

さて、この後どうなったのでしょうね。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=QaahgTFTdG8&t=72s

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