チームビューアーで覗き見?

天川裕司

チームビューアーで覗き見?

タイトル:(仮)チームビューアーで覗き見?


▼登場人物

●余和美 有子(よわみ ゆうこ):女性。27歳。OL。

●春日(かすが)ノゾミ:女性。27歳。有子の同僚。

●掛川由美子(かけがわ ゆみこ):26歳。有子やノゾミの同僚。

●横島高志(よこしま たかし):30歳。有子達の先輩。朗らかでイケメン。

●小倉人志(おぐら ひとし):50歳。有子の部署の部長。


▼場所設定

●会社:有子達が働いている。一般的なIT企業のイメージで。リモートワークがメインで、週4日は在宅ワーク。残りの日は出社日。

●有子の自宅:都内にある一般的なアパートのイメージで。少し大きめのクローゼットあり。


NAは余和美 有子でよろしくお願いいたします。

(イントロ+メインシナリオ+解説:ト書き・記号含む=3700字)



イントロ〜


皆さんこんにちは。

皆さんは普段、よくパソコンを使いますか?


パソコンってとても便利なものですけど、

壊れたりして新しいものを買い換える時、

設定が厄介だったりしますよねー。


今回は、

そんなパソコンを絡めた意味怖のお話。

信じられない結末が待っていました。



メインシナリオ〜


私の名前は余和美 有子。

今年、27歳になる独身OL。


(在宅ワーク)


私が働いている会社はいわゆるIT企業。

でもこの会社はリモートワークがメイン。

週4日は在宅で仕事ができるんだ。


有子「あれ?んもー、まぁたパソコンの調子おかしくなっちゃった〜」


でも最近、どうもパソコンの調子がおかしい。


有子「っかしィなぁ〜」


買い換えたばかりのパソコンなのにもう故障。

その前のパソコンも、3年ほど使って故障した。


自分の扱い方が悪いのか?

なんて事も思ったが、そんなふうでもない様子。


私はIT企業に勤めていながら、

パソコン管理には少し疎い。


「ピカルイオ」を使っている私は、

その会社に電話して、

手っ取り早く設定をして貰う事にした。


「ピカルイオ」の社員は、

遠隔でさっさと設定してってくれた。


有子「ふぅ。やーっと完了♪」


時間はそれほど掛からないが、

連絡のやり取りは少し大変だ。


確認作業なんかの意思疎通が、

やはり遠隔操作では少し難しい。

ちょっと緊張もしちゃうし。


ト書き〈数日後〉


数日後。


有子「おはようございまーす」


この日は出社日。

いつものように来ると…


有子「ん?どうしたの?」


ノゾミ「なんかさー、由美子いまストーカーに遭ってるみたいなのよ」


有子「えぇ?!ストーカー??」


ノゾミ「そーなの。自宅前をうろちょろしてる男が居たんだって。それに通勤中もどっかから急にやってきて、後ろを付いて来る事もあるみたいなのよ」


有子「えーこっわ!なにそれ!」


由美子「はぁ…ホントもう嫌んなっちゃうわ…」


同僚の由美子がストーカーに遭ってると言う。

その男はフードをかぶり、人相が判らない。


高志「どーしたの?みんな集まって?」


彼は先輩の横嶋高志さん。

仕事がテキパキ出来て人柄も良く、

女子社員の憧れのような存在だ。


ノゾミ「あ、高志君!ちょっと聞いてよー」


ノゾミは高志さんと仲が良い。

悩み事があればすぐ彼に相談。


高志「えー?!ストーカー??」


ノゾミ「そうなのよ、由美子、今それで悩んじゃってて」


高志「うーん、酷くなるようなら、警察に言ったほうがいいんじゃない?」


小倉「おいこんなトコで何やってる?ここは遊び場じゃないんだぞ。さっさと仕事しろ仕事!」


皆「あ、はーい!」


そこへ部長の小倉さんがやってきた。

とりあえず皆、仕事に取り掛かる。


ト書き〈数日後〉


それから数日後。


(アパートの窓から覗く形で)


有子「え…あの人、何してんの…」


いつものように窓から外を見てみると、

私の部屋をずっと見上げてるヤツがいた。


フードをかぶり、どんな顔してるのか全く判らない。


有子「ヤ…ヤダ、もしかして私にもストーカーが…?」


私の部屋だけを凝視している。

明らかに普通の人の行動じゃない。


警察に通報しようとしたが、

その男はすぐ居なくなった。


有子「何なのよアイツ…」


ト書き〈数日後〉


ノゾミ「えー?アンタんトコにも現れたの??」


有子「そーなのよぉ〜、ホント気味悪かった〜」


私はノゾミに早速その事を話した。


最近、出始めたストーカー被害。


でもそれ以上の目立った被害は無い。

この段階で警察に言ったって…

大した事はしてくれないだろう。


「とにかく自分達で身の周りを守るしかない!」


そう考えた私達は、とりあえず1人で居る時…

「頻繁に連絡を取り合おう」

と決めた。


高志「え?またストーカー出たの??」


ノゾミ「そうなのよー、今度は有子の所に現れたんだって!あそーだ、高志君も私達のオンライン仲間に入ってくれない?男の人が居た方が心強いし!何かあった時でもすぐ相談できるからね。ね?いいわよね有子?」


有子「そうね!確かにその方がいいかも」


こうして私達は、

プライベートでも連絡を取り合えるLINEサークルを作った。


小倉「なんだなんだ?LINEサークル作ってんのか?いいなぁ、俺も入れてくれよ〜」


ノゾミ「ダメですよー♪これは私たち仲間内だけのサークルなんだから〜♪」


小倉「ちぇ〜、俺は仲間じゃないのかよぉ〜」(残念がる感じで)


ト書き〈数週間後〉


それから数週間後。


有子「…よし、居ないわね…」


あのストーカー男は、最近ずっと来ない。


このアパートは小さいながら、

それなりにセキュリティーもしっかりしてるし、

きっとあの男も諦めたんだろう。

そう思い、安心していた。


有子「あ、今日、ゴミ出しの日だ」


今日は燃えないゴミの日。


(ゴミ出し中)


有子「うんせ!うんせ!…よいしょっと!!あーしんど!この共同ゴミ置き場、アパートからちょっと離れてるのが欠点なのよねぇ〜」


それから私は部屋に戻り、

今日の仕事に取り掛かる。


今日は在宅ワーク。

コーヒーを淹れながら優雅に過ごしていた。


ト書き〈翌日〉


翌日。

今日は出社日。


有子「あら?今日、高志さん来てないんだ?」


ノゾミ「うん。なんだか親戚との用事で来れなかったみたいよ。今日はお休みみたい」


有子「ふーん。あれ?部長も今日は休み?」


ノゾミ「あー部長は今日、出張なんだって」


出社日にはいつも1番乗りで来てる高志さんと部長が、

今日はお休みだった。


ト書き〈翌日〉


有子「…よし、今日も居ないわ!」


今日もあのストーカーの男は居ない。

あれからもう数週間その男を見ていない。


「もう大丈夫だろう」

そう安心していた矢先…


有子「あれ?またパソコンフリーズしてるぅ〜?!」


パソコンが動かなくなっちゃった。

何をどうやっても動いてくれない。


有子「はぁ〜ウソでしょぉ〜…」


そんな時、

LINEサークルのグループチャットで、

高志さんから連絡が来た。


(メールですが喋る感じでお願いします)


高志「よっほー♪今日も自宅ワークは順調?昨日休んじゃってごめんね〜、ちょっと実家に戻らなきゃいけない用事が出来ちゃってさー」


いつもの明るい調子♪


連絡が来たついでに、

私はパソコンの事を高志さんに話した。


高志「え?また壊れちゃったの?」


有子「そうなんですよぉ〜。買い換えたばかりなのに…。私の使い方が良くないのかしら?」


有子「あっ、動いた…!」


パソコンをカタカタやってたら、急に画面が動き出した。

でもまだ故障の原因がよく解らない。


有子「高志さんってパソコンにかなり詳しかったですよね??私のパソコンの故障原因とかって分かりますかね?」


高志「まぁ見てみないと解らないけど…。あ、俺、パソコンにチームビューワーのアプリ入れてるから、それで見てあげよっか?」


有子「え??ホントですか!じゃぁお願いします!」


それから早速チームビューワーで、

私のパソコンの故障原因を調べて貰った。


画面上のカーソルがパッパッと動き始める。


有子「わー、やっぱり凄いなぁ、早いなぁ」


LINEの文章では手間がかかるから、

それからは電話でやり取りしていた。


高志「別に故障してないよ。多分ちょっとバグってただけじゃないかなぁ」


有子「あ、そーですか??」


高志「なんだったらエクスプローラーのこのファイルに、ウイルスバスター用のアプリでも入れときゃいいよ♪」


高志さんはチームビューワーで、

私のパソコンのエクスプローラーを開き、

新しいファイルを作ってくれた。


高志「あ、一応、念の為にこのファイル、メモリーカードにも保存しとく?その鉛筆削りの横にあるメモリーカードにさ♪」


有子「はい!そうしときます♪」


私はテーブルの上にあったメモリーカードをパソコンに差し込み、

早速、高志さんが作ってくれたファイルをカードに保存した。



解説〜


はい、ここまでのお話でしたが、意味怖の内容は解りましたか?


それでは簡単に解説していきます。


今回はラストの場面に注目するとすぐに解ったでしょうか。


高志はチームビューワーを使って遠隔操作をし、

有子のパソコンの故障原因を調べていました。


でもこの時、遠隔操作で作成したファイルを、

「メモリーカードにも保存しとけばいい」

と高志は言います。


更に…

「その鉛筆削りの横にあるメモリーカードにさ♪」

と付け加えました。


この展開が明らかに変ですよね?


チームビューワーでは、

パソコンの画面上しか見る事は出来ません。


つまり、机の上にメモリーカードがある事など、

その場に居ない高志が見つけられる筈がないのです。


つまり高志はこの時、

有子の部屋に侵入していたと言う事…。


クローゼットの中にでもパソコンを持ち込んで居たのでしょう。

そこから有子の様子を覗き見つつ、

メモリーカードが机にある事を知ったのです。


高志が有子の部屋に侵入したのは、

有子がゴミ出しをしていたその間。


部屋を開けた隙に、

高志は有子の部屋に侵入しました。


だからその翌日、高志は会社に来ていなかったのです。

部長の小倉も休んでましたが、これは本当に出張の為。


そう、高志は正真正銘のストーカー。

由美子をストーカーしていたのも高志でした。


まさか朗らかで、

自分達が信頼しきっていた男性社員が…

こんな異常性を秘めたストーカーだったとは。


もしこの事にノゾミや由美子そして有子が気づけば、

猛烈な怒り…いや、恐怖に駆られた事でしょうね。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=qQuRBWv3pxM&t=70s

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チームビューアーで覗き見? 天川裕司 @tenkawayuji

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