そこの道、右へ曲がって!

天川裕司

そこの道、右へ曲がって!

タイトル:(仮)そこの道、右へ曲がって!


▼登場人物

●寺益(てらます)レミ:女性。18歳。大学生。旅行好き。SNS好き。

●横嶋直哉(よこしま なおや):男性。21歳。フリーター。ストーカー。

●ジャック:男性。30代。ネットでの粘着野郎。


▼場所設定

●レミの自宅:一般的な戸建て住宅のイメージで。長野県に住んでいる。

●直哉の自宅:都内のマンションのイメージで。東京に住んでいる。

●ストリートビューで映る景色:一般的な街中のイメージでOKです。

●坂道:レミの自宅へ続く一本道。その途中に右折できる道がある。


・ゴーグルマップ→Googleマップを想定しています。

・フイッター→ツイッターを想定しています。

・「スタイルブック」→フェイスブックをイメージしてます。

それっぽく編集頂けると嬉しいです。


NAは寺益レミでよろしくお願いいたします。

(イントロ+メインシナリオ+解説:ト書き・記号含む=3760字)



イントロ〜


皆さんこんにちは。


今回は遠距離恋愛の意味怖です。

まだ会った事もない2人が純愛路線に傾いていく…


そんな甘酸っぱい幸せを満喫しようとした時…

恐怖が訪れました。



メインシナリオ〜


ト書き〈自己紹介のイメージ〉


私の名前は寺益レミ。

今年、18歳になる大学生だ。


私の趣味は今やってるこのゴーグルマップ。

自分の部屋からいろんな所へ旅行に行ける。

旅行好きの私には至福の時間♪


また他にも趣味がある。

それはブログやフイッター、Q&Aコーナー等のSNS♪


昔からこんな共有広場が大好きだ。


レミ「あ、またコメント沢山来てくれてるな♪うれしいなぁ」


2〜3日前に投稿したブログに、

もう20件くらいのコメントが付いていた。

1人でも充実した時間を愉しめる♪


ト書き〈恋人が出来る〉


そんな或る日の事だった。


私がやってるSNS「スタイルブック」に、

気になる男性からメッセージが届いてた。


(直哉からのメッセージ内容:セリフの感じで)


直哉「俺、直哉って言います。出来たらこれからも仲良くして下さい♪あ、もし迷惑だったらこのままスルーしてくれても全然大丈夫です^ ^」


レミ「めちゃくちゃイケメン…♪」


相手は横嶋直哉君と言うらしい。


アイコンにはおそらく彼自身の顔が設定されている。


私はとりあえず返信してみた。

すると少し時間をおいて、彼も返信してきた。


この「スタイルブック」には、

本格的な出会いを求める人達も結構集まる。


だからか「スタイルブック」開始時のアカウントには、

自分の本名や住所をそのまま記載する人も多いらしい。

実は私もそうしていた。


ト書き〈交流開始〉


その後も私と直哉君との交流は続いていった。


直哉君は話の流れで、

最近撮った自分の顔写真を送ってきてくれた。


実は私がそんなふうに、ちょっと仕向けた所もある。


私達はビデオ電話もし始めた。


レミ「あ、直哉君の後ろ髪って茶色いんだね?」


前から見ると黒髪だったが、

ビデオ越しにふと横を向いた時、

後ろ髪が少し茶髪になっていたのが分かった。


直哉「あ、これ?そうなんだよ♪この前ちょっと失敗しちゃってさ。1回茶髪にして黒に戻そうとしたんだけど、後ろの毛が上手く染められなくてさ♪」


レミ「ウフ♪そうだったんだ」


それから暫く喋った後、

直哉君は少し真面目になった。


直哉「ねぇレミちゃん。もしよかったらなんだけど、今度会ってみない?お互い家が遠いからさ、どっかで待ち合わせする…なんて形でさ」


そう、私と彼の家は随分離れている。

私が住んでいるのは長野県。

彼が住んでいるのは東京だ。


会おうと思ってもすぐには会えない。


それにまだ、私の中に少しだけ不安があった。


まだ出会ってからそんなに日も経っていない。

なのに「いきなり会う」のはちょっと…。

女ながらの保守的な思いが湧いてきたのだ。


レミ「うーん、もう少しここで喋ったりしてからでいいかな?ごめんなさい」


すると彼は…


直哉「うんわかった。いいよそれで♪ごめんね。驚かすようなこと言って」


そう言って笑顔で納得してくれた。


ト書き〈トラブル〉


そんな時、トラブルが舞い込んだ。


(パソコンに向かいながら)


レミ「もう何なのよこの人!」


最近、私のブログやSNSに、

誹謗中傷を連投してくる男がいた。


ハンドルネームは「ジャック」。


直哉「え?マジで??」


レミ「そうなのよ。最近はもう気持ち悪いコメントばっかなの」


(ジャックのコメント内容:セリフの感じで)


「お前、調子乗ってんなよ」

「下着姿とか見せろよ♪もっと訪問者増えるぜ」

「て言うかもう脱げ!脱げ!」

「なぁ〜レミちゃあん、結婚しようよぉー」


直哉「ひどいなこれは…」


私はそのコメント内容をコピペして、

メッセージ送信して直哉君に見せた。


レミ「私、ブログとかもうやめようかなぁなんて思っちゃってるの」


直哉「いや、やめる事なんてないよ。こんな事する奴の方が悪いんだから」


直哉君は精一杯、励ましてくれた。

とっても嬉しい。


そしてこの日、

私は自分の携帯番号を教えた。

そのうち本当に合おうかなぁなんて思ったからだ。


ト書き〈数日後〉


そして数日後。


私は2〜3日家を空けていた。

大学の女友達と温泉旅行に行ったのだ。


そして夕方に帰宅後、私はまたパソコンに向かう。

今日は朝から両親も旅行に行っており、私は家に1人。


レミ「楽しかったなぁー。また温泉行きたいなぁ」


その旅行の余韻に浸りながら私は又、

ゴーグルマップでいろんな場所を探索していた。


レミ「おっと、もうこんな時間」


旅行してると時間が経つのも早い。

時計はもう夜10時を指している。


私は1人でご飯を食べてお風呂に入り、

やる事をやってまた2階へ上がる。


そして寝る前、

もう少しだけゴーグルマップを楽しんだ。


そこで地元の風景を見て楽しんでいた時…


レミ「あ、撮影日が更新されてる♪」


ゴーグルマップの右下には、

その景色を写した撮影日時が記載されている。


見ると2021年3月。

今日は3月15日。

今月に撮られたものだ。


レミ「ウフ♪やっぱり新しいほうがいいよねー」


浮かれながら楽しんでいた時…


レミ「あ、直哉君からだ♪」


今日はビデオ電話じゃなく、

この前教えた携帯番号にかけてくれた。

いつもの明るい声が聞こえてくる♪


直哉「やぁ♪いま大丈夫?ちょっと遅くなっちゃったけど」


レミ「うん平気よん♪今ストリートビューしてたところ♪」


直哉「へぇ〜、俺も昔よくやってたなぁ〜♪」


レミ「ね、ね、楽しいよね??私も大好きなの♪もともと旅行好きだし♪」


直哉「俺も一緒」


レミ「だよねー♪今ね、私の自宅周りを散策してるの♪」


直哉「ハハ♪ほんと楽しそうだなぁ♪」


そんな感じで私は電話しながら、

自宅周りをストリートビューで進んで行き、

私の家の前を通る一本道に差し掛かった。


そこは坂道で、

その坂をずっと上って行けば私の家に辿り着く。


この坂道には1本だけ右に折れる道がある。

その道を行けば私の家から離れて行き、

ひとけの無い公園や三叉路に出てしまう。


私は直哉君と喋りながら、

その坂道を登って行った。


その時だった…


直哉「そこの道、右に曲がって!」


レミ「え?」


直哉君はそう言ったが間に合わず、

私はストリートビューで自宅前に来てしまった。


すると私の家の前に、

後ろ髪だけが茶髪の青年が1人立っていた。



解説〜


はい、ここまでのお話でしたが、意味怖には気づきましたか?

それでは簡単に解説します。


レミと直哉はSNSで知り合い、

それから遠距離恋愛へと発展します。


でも知り合ってからまだ日が浅いという事もあり、

2人は会っていません。


つまり2人は、

お互いの家がどこにあるのか正確には知らない状態でした。


そしてラストの場面。


レミはいつものようにゴーグルマップの

ストリートビューを楽しんでいました。


その時、レミの携帯に直哉から電話がかかります。


レミは電話で喋りながらストリートビューを楽しみ、

その中で自宅へ続く坂道を上って行くところでした。

そのとき直哉は…


「そこの道、右に曲がって!」


と大きな声で言います。


坂道には右に折れる道が1つあり、

そこを行くと公園や三叉路に出ます。


つまりレミの自宅から離れるという事。


でも直哉の声は間に合わず、

レミは自宅前の道をストリートビューで見てしまいます。


そこには後ろ髪だけが茶髪の、

1人の青年が立っていました。


そう、その青年は直哉でした。


もうお分かりでしょうか?


直哉は、

レミの自宅前を映したストリートビューに

自分が写ってるのを思い出し、咄嗟にそう言ったのです。

レミに自分の姿を見られたくなかった為。


つまり直哉は既に、レミの自宅を突き止めていました。


突き止められた理由は、

スタイルブックに保存されたレミのアカウント。


直哉はネットにかなり精通したハッカーでした。

更には「スタイルブック」の常連で、

そこでいろんな女性に声をかけていました。


理由はもちろん女遊び。

いや…これと決めた女性ならとことん粘着して行く、

ストーカー行為を働く為です。


つまり今回は、レミがその標的になったと言う事。


レミのブログやSNSに嫌がらせコメントを送っていたのはただの難癖男。

ストーカーはしていません。

ネットの闇は深いもの。

その相手がどんな性格の持ち主なのか、判らないものですね。


更にもう1つの恐怖があります。


そもそも直哉は何故レミが、

「ストリートビューで自宅へ続く坂道を上っていた事」

を知っていたのでしょう?


レミは直哉に…

「今ね、私の自宅周りを散策してるの♪」

としか伝えていません。


しかもそのとき2人はビデオ電話ではなく、

携帯電話で普通に話していました。

いわゆる音声通話。

相手の様子が分からないのに、

ストリートビューの内容が分かる筈もありません。


つまりその時、レミの部屋に直哉も一緒に居たという事。


ゴーグルカーは3月に、レミの自宅周辺を撮影していました。

そのとき偶然直哉も写った訳です。


そして直哉はその後、

近くのホテルにでも滞在して居たのでしょう。


レミの両親はその日、朝から旅行に出かけていました。

そしてレミが温泉旅行から帰ってきたのはその日の夕方。


そのタイミングを見計らい、

直哉はピッキングか何かの方法でレミの家に侵入し、

レミの部屋に隠れてずっと待っていたのです。


そしてレミが帰って来てストリートビューを楽しんでいた時、

レミの部屋の押し入れの中から電話をかけた。

ビデオ電話ではなく、携帯に電話していたのはこの為です。


さてこのあと、レミは一体どうなるのでしょう。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=m-nOZGBVUCI&t=73s

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そこの道、右へ曲がって! 天川裕司 @tenkawayuji

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