この素晴らしいエリス様と祝福を! 女神様でも青春がしたい! 2


 「第2章 この真の仲間達とトレードを! 後編」


___俺が殺された数日前の事。


「ん?ごめん何て言った?」


 俺は不思議に思いながら静まり返るギルド内でその男に問い返した。


 先日、二度目の死を迎えた俺は、数日ほど休養を取って心のケアを図り。


 そして本日。


 まだ激しい運動運動を禁止されている俺は、簡単な荷物持ち等の仕事でも無いかと、ギルドの掲示板で探していたのだがーー


「何度だって言ってやるよ。荷物持ちの仕事だと?上級者が二人も居るptに居ながら、もう少しまともな仕事に挑戦出来ないのかよ?どうせ幹部を倒した時も、お前は何もしてなかったんだろ?最弱職さんよぉ?」


 言って、同じテーブルに居た他の仲間と笑い合う戦士風のチンピラ。


 これも隣の芝生は青く見えるか…。


 確かにあの二人は上級職だ、そして皆は知らないが女神様だってptに居る、もっと上手い立ち回りが出来れば、いい稼ぎも出来るだろう。


 それは確かに不甲斐ない俺のせいかも知れないな…。


___だが、無言でいる事を、俺が萎縮して何も言えないでいると勘違いしたらしい。


「おいおい、何か言い返せよ最弱職。ったく、いい女を3人も引き連れて、ハーレム気取りか?しかも上玉だ、さそがし毎日いい思いしてるんだろうなぁ?」


 それを受け、ギルド内に爆笑が………起こらなかった。


 俺の事を知ってる連中が殆どの仲、そんな俺に仕事を頼っている店長は嘸かしイライラしてるだろう、、ほらみろ、包丁を持ってお前を睨みつけてるぞ。


 俺はそんな皆に感動して泣きそうになる。俺はこんなにも涙脆かったのか……。


「へ!何だよお前ら……。あーあ、俺も上級職におんぶで抱っこして欲しいわ!」


「……なら一回俺のptとお前のpt、交換してみるか?」


「「「え?」」」


 おいおいチンピラさんよ、あんたは驚くなよ……。


「え、本当にいいのか?やっぱ無しとか駄目だぞ?」


「あぁ、別にいいよ、俺も他の人達はどんな感じでクエストしてるのか気になるしな。」


 そうして、絡んできたチンピラと同じテーブルに居た、そいつの仲間達に告げた。


「こんちは、俺の名前は佐藤和真、今日一日って話だが、どうぞよろしく!」


「「「は、はぁ……。」」」


 絡んできた男の3人の仲間は、若干戸惑い気味の返事をした。














 剣と盾を携えた男が、俺を値踏みする様に眺め回しながら言ってきた。


「俺はテイラー。片手剣が得物のクルセイダーだ。このptのリーダーみたいなもんさ。成り行きとは言え、今日一日は俺達のptメンバーになったんだ。リーダーの言う事は、ちゃんと聞いてもらうぞ?」


「それはありがたい、俺は何時も指示する側だったからな、よろしく頼むぞ」


 その言葉に、テイラーが驚いた表情を浮かべた。


「何?あのptで冒険者がリーダーをやってたって言うのか?」


「そうだよ」


 当たり前の様に頷く俺に、その3人は絶句した。


 続いて青いマントを羽織り、まだ何処か幼さを残した女の子。


「あたしはリーン(以下略)」


 その子が、俺を年下の後輩見たいに扱いながらにこりと笑った。


 多分俺の方が年上だと思うのだが、しかし、本職の魔法使いなら心強い。


 是非とも頼りにさせてもらおう。


「俺はキース(以下略)」


 言いながら笑いかける、弓を背負った軽薄そうな男。


「よし、確かカズマは荷物持ちの仕事を探していたんだろう?カズマは俺達の荷物持ちでもやっといてくれ。ゴブリン討伐くらい3人でどうとでもなる。心配すんな、ちゃんとクエスト報酬は四等分してやるよ。」


 テイラーがからかう様に言ってくるが、そんな事はどうでもいい。


 どうせ次期に3億エリス入るんだそんな事でケチ何て付けない。


 と、その時。クエストが貼り出された掲示板の方から聞き慣れた声が聞こえた。


「てなわけで、今日一日だけ俺がこのptのリーダーだ。指示には従えよ?」


「嫌だ」


「嫌ですよ」


「嫌に決まってるだろう」


「え!?」


 そんな声は無視して、俺達新生ptはクエストに出発したのだった…。














 ゴブリン、それは俺の世界はおろか、この異世界でも知らない物はいないメジャーモンスター。


 こいつらはゲームに出てくる雑魚キャラではなく、民間人には意外と危険視されている相手らしい。普通は森などに住むらしいが、今回はなぜか山道に住み着いたとの事。


「しっかし、なんでこんな所に住み着くかなゴブリンは。まぁお陰でゴブリン討伐なんて滅多にない、美味しいクエストが出てきた訳だけどざ!」


 ゴブリン一匹で二万エリス。


 ゴブリンがどの程度の強さなのかは知らないが、リーンが美味しいと言う仕事と言うからにはそうなのだろう。


 テイラーが足を止め、地図を広げる。


「ゴブリンが目撃されたのはこの山道を天辺まで登り、やがてちょっと下った所らしい。山道の脇にゴブリンが住みやすそうな洞窟でもあるかも知れない。ここからはちょっと気を引き締めてくれ。」


 5.6人ほど横に並んで歩ける広さの道だが、道の片方には壁の様な岩肌が立ちはだかり、反対側は崖となっている。そのまま無言で山道を登っていると、俺はふと気づいた。


「何か山道をこっちに向かって来てるぞ……初心者殺しじゃないか?」


 その言葉にビク!となった3人。


「本当かカズマ!?畜生こんな所で遭遇するとは……どうする!?」


Q.どうしてカズマは初心者殺しの存在を知っているの?

A.ギルドの同僚と雑談中に教えてもらってる。


「俺潜伏スキル持ってるから俺に触れとけ、ほらとっとと茂みに隠れるぞ。」


 俺の言葉に、3人は更に驚きながらも茂みに隠れた。


 流石に場数を踏んだ冒険者ptだ、動きが早い。


 そして実際初心者殺しはどんな姿なのかと考えていた……するとそれは来た。


 一言で言えばネコ科の猛獣、ドラクエ5のボロンゴだ。


 虎やライオンをも超える大きなそいつは、全身が黒い体毛で覆われ、サーベルタイガー見たいな大きな2本の牙を生やしていた。


 そいつはさっきまで俺達が居た山道の地面を、クンクンと神経質に嗅いでいる。


___そいつは暫く辺りを嗅ぐと、やがて俺達が登ってきた街へと向かう道へ消えていった。


「……ぶはーっ!ここここ、怖かったぁっ!」


 リーンが涙目で言ってる所を見ると、相当強いらしい。


「し、心臓が止まるかと思った!た、助かった……。あれだゴブリンがこんな街の近くに引っ越してきたのは、初心者殺しに追われてたからだぜ。」


「と、取り敢えず、ゴブリン討伐を済ませるか?初心者殺しは、普段は冒険者をおびき寄せるエサとなる、ゴブリン達を外敵から守るモンスターだ。ゴブリンを討伐して山道の茂みに隠れていれば、俺達が倒したゴブリンの血の臭いを嗅ぎつけて、さっきみたいに俺達を通り過ぎてそっちに向かってくれるかもしれないしな。」


 テイラーの提案に俺達は茂みから出る。


 ……と、リーンが俺が背負っている荷物の一部を取ると………。


「もし初心者殺しに会ったら、皆で逃げる時、カズマも身軽な方がいいからね、あたしも持つよ。そ、その代わり、潜伏と敵感知スキル、頼りにしてるよ?」


 リーンは自分の荷物を背負いながら、おどおどと言ってきた。


 そのリーンの言葉にテイラーとキースも、慌てた様に俺の背中から荷物を取る。


「「べ、別に、俺達はカズマに頼り切ってる訳じゃないからな?」」


 おっと、ツンデレ頂きました。


ーーここからは原作通りなので少しカットーー


 冒険者ギルドの前に着いた頃には、時刻はすでに夜半を回っていた。


 討伐の報酬を受け取る以外にも初心者殺しが出た事を報告しないといけない。


 だがテイラー言わく、ゴブリンの群れを全滅させたので、初心者殺しは新しいゴブリンの群れを探して、人里から離れるだろうとの事だ。


「つ、着いたあぁぁぁぁぁあっ!今日は何か大冒険した気分だよ!」


 リーンの声を聞きながら、俺達は笑いながらギルドのドアを開け___


 ボロボロの状態で土下座しているチンピラを見て、そっとドアを閉めた。


「カズマ、気持ちは分かるけど早く帰ってきて……。」


 閉められたドアを開け、少し怒った様子のクリス。そりゃそうだ、急にptのリーダーが変わって、自分達の意見も聞かずにクエストに行ったのだから…。


「はぁ、それにしても何故お前はこんな事になってるんだ?」


「……実はな、めぐみんとか言う奴が、急に爆裂魔法をぶっ放したと思ったら、そこに初心者殺しが来たんだ、ここは皆で逃げるしか!と思った矢先、この三人が居なかったんだよ…。そこで俺一人で対峙して、ボロボロになりながら逃げた所にこいつら三人が居たんだ…。俺の指示を聞かないってのは本当だったようだ……。」


 えぇ、こいつらそんな事したのかよ……。チンピラが少し可愛そうだ……。


 そんな感じで、結局ptは元に戻し、俺らもそろそろ宿に戻った後、クリスが俺の部屋に来た……。


「カズマ?起きてる?」


「ん、?起きてるぞ〜。」


 どうしたのだろう、こんな時間に、まさか夜這い!?……


「いやぁ〜、今日は随分と楽しそうだった見たいだねぇ?」ニコニコ


 ……様子がおかしい、まるで浮気現場を見てそれを夫に問い詰める彼女見たいだ……。


「い、いやぁ今日はすまんかった……。だ、だが俺はやっぱりお前らとじゃないとあんまり上手く立ち回れないわ!いや〜やっぱり俺のptはお前達だけだよ!」


「……ふ〜ん、、んじゃぁさ、何でこんなに他の女の匂いが君に付いてるのかなぁ?しかもかなり近距離に居たみたいだねぇ…。」スンスン


 と、俺の首周りを匂うクリス…。あ、もしかしてリーンか?いやあれはそんな邪な考えの元行われた行為ではなく、ちゃんとした大義名分があったのだ仕方がない。


「………カズマ、今日は一緒に寝よっか。」


「え!?」


 な、お、落ち着け俺、多分そんな意図は無い筈だ…。


 ただ、そう!友人と一緒にお家に寝泊まりする行為と一緒の意図だ!! 


「お、おう勿論いいぞ!?、、」


 ふ〜危ない、動揺はこれで隠せれただろう、もし俺じゃなかったら勘違いしていた所だ…。


「ん、ありがとう。んじゃ、はい」


 そういい、手を広げるクリス……。これはハグ待ち!?本当にどうしたんだ今日のクリスは…。


 しかし俺は女性の好意を無下にするような男では無いので…。


「お、お邪魔しまーす」小声


 お互いに抱き合いながら布団に入った。


 これは、、そうなのか?俺はついに大人の階段を登る事になるのか!?


 そんな心臓をバクバクしながら、クリスをチラっと見ると……。


「……スー…スー……。」


 あぁ、しってた…。


 そんな事を思いながら、俺は睡りにつくのだった……。




 「第3章 この幽霊と女神の対面を!」




 あの後満足したのか、クリスは朝起きた時にはもう居なかった。


 ダクネスは用事があるらしく、実家に戻っていた。


 そんなこんなで、今日はめぐみんとクリスとで買い物に行くつもりだ。


「てことでさ、何かマジック店をこの前見つけたんだが、見に行ってみないか?」


 そう、少し前にウィズマジック店と言う店を見つけて居て、少し気になっていたのだ。


「マジック店ですか、もしかしたらマナタイトがあるかも知れないので、是非逝ってみたいですね!」


「うーん、私も特に用事は無いし、私も付いて行くよ!」


 そうして二人を案内していると、クリスが急に止まったかと思うと……。


 エリス様の姿になり、その店に特攻したのだった!


「ちょ、ちょっとエリス!何してんだよ!!」


 そういい、エリスを追い掛ける俺とめぐみん。


「……。何でこんな所にリッチーが居るの?」


 そう言い放ち、店長らしき女に問い掛けたエリス………、てかリッチー!?


「な、何でこんな所に女神様が……。そ、それよりも、み、見逃して下さい!私はいままで誰も殺してませんし、悪さもしていません!」


 焦った表情で言う店長らしき女、しかしこれがリッチーか……。


「だからなに?悪魔がここに存在して良い理由にはならないでしょ?」


 そうして演唱を唱え始めたエリス、俺はそれを慌てて止める様に!


「お、おいエリス!まずはこいつの話を聞いたほうがいいんじゃないか!?」


「どうして?リッチーだよ?早めに駆除しておいて何も問題はないよね?……それともまさか、カズマの友人とでも言う訳?」


「っ!そ、そうだよ!そいつは俺の友達だ!だから話だけでも聞いてくれないか?」


「………カズマが居て良かったねリッチー、次は無いよ……。」


 そういい、瞬く間にクリスに変身するエリス、相変わらずどうやっているのか……。


「た、助けて頂き、ありがとうございます…。私の名前はウィズ、一応リッチーをやらせめ貰っていますが、先程も言いました通り、人に危害は加えていません!」


「あぁ、ご丁寧にどうも…。ここは魔道具店だと思うんだが、何か良いものはないか?」


「そ、それでしたらこちらの商品などどうでしょう!!」




 ……一言で言えば、ガラクタばかりだった…。どれも使えない物ばかり、なるほど、だからこんな時間でも客が一人も居ないのか……。


「とまぁこんな感じですけど、どうでしょ?何か欲しい物でもありましたか?」


「い、いやぁ、今回は遠慮しておくよ……。」


「そ、そうですか…。」


 何故かめぐみんがその魔道具達を凝視しているが、まさか欲しいなんて言わないだろうな?流石に買わないぞ…?


「カズマ、何も買わないんだってらそろそろギルド行こ?そろそろ限界。」


「あ、と、というわけで俺らはもう行きます!今度は俺一人でくるんで!」


 そういい、クリスといまだ魔道具を凝視しているめぐみんを引っ張って、俺らはギルドに向かうのだった……。


 そうしてギルドに着いた俺達、すると何故かざわざわしていた、何なんだ?


 そう思いつつ、俺達はギルドに入ると…。


「あ、カズマさん!賞金が届きましたよ!」


 おぉ!やっとか!しかし時間が掛かり過ぎではなかろうか?


「やっとですか…。しかし、どうしてここまで時間が掛かったんですか?」


「そ、それが、領主のアルダープ様が、払うのを渋ったそうで……。」


 ???ますます意味が分からない。


 長年成し遂げられなかった幹部を討伐してくれた冒険者に対しての賞金を渋る?…。


 そいつは何を考えてたんだ……。


「それでは、カズマさんにはこちら、3億エリスを贈呈差し上げます!!」


「「「おぉぉぉぉぉお!!」」」


 冒険者達が盛り上がるなか、俺は何故かルナさんと死闘を繰り広げていた。


「………ルナさん、手を離して頂けますか?」


「……もう少しだけ、このお金の感覚に浸からして下さい…。」


 そんな事は無視して奪いとる俺、何故被害者面出来るルナさんよ……。


 しかし3億か、寄付するとしても2億、余裕で皆で住む家が買えるな!!


 そんな事を考えながら、俺達はギルドで祭りをし、寄付をし、残った1億と9000万エリスで、物件を見に行くのだった………。

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