第18話 聖都セイダード

『聖王の墳墓』の聖域化と結界の再設置を施した司祭のお爺さんが改めて感謝の言葉を述べてきた。


「ルイ殿、エリー殿、この度のご協力、誠に感謝致します。謝礼をお渡ししたいですし、貴方がたの力を見込んで別にお願いしたいこともございます。この後も引き続き、聖都セイダードまでご一緒願えませんかな?」


 予定通りの連続クエストだ。


 もちろん俺の返事は決まっている。

 

「私達もちょうど聖都に向かうところだったので、構いませんよ。ご同行させていただきましょう」


「ところで、聖王の墳墓の中で聞かせてもらいましたが、エリー殿の歌声は素晴らしいですね。慈愛に満ちた歌声に感じ入りました。エリー殿を見込んで是非受け継いでいただきたい歌があるのですが、受け取っていただけませんか?」


 ガバッ! っと俺はエリーの方を振り向いた。


 エリー、答えはわかっているな!?


 はい、か、イエス、だぞ!?


「私でよろしければ、是非とも受け継がせていただきます」


 良く出来ました! エリーはやれる子! えらい!


「それではこちらに来てください。まずは私が歌いますので復唱してください」


 ら〜ら〜ら〜♪


 ら〜ら〜ら〜♪


 ラ〜ラ〜ラ〜♪


 ラ〜ラ〜ラ〜♪


  


 エリーが『レクイエム』を覚えた!


 やった!!


 対アンデッドの攻撃手段の中で、最高の呼び声も高い『レクイエム』だ! いらいらマックスな護衛クエストをやり遂げた甲斐があったぜ!


「こんなに早く習得できるとはさすがですね。エリー殿、あなたは今日より、この大司教シェンヒムの弟子です。何か困った事があったら、いつでも私を頼りなさい」


「だ、大司教様だったんですか!? ご無礼をお許しください」


「だいしきょーサマだったんだぁー、うわーしらなかったあー」


 一応俺も驚いたフリをしておく。ゲームで知ってましたよ、なんて言えないしな。

 

「貴方はもう私の弟子なのですから、そうかしこまらなくても大丈夫ですよ」


 一時期の死にたがりを脱したお爺さんは、フレンドリーなお爺さんへと変化したようだ。


「さて、それでは聖都へと参りましょう。道すがら別件のお願いもお話致します」


 大司教様御一行は、ひらけた街道に馬車を停めており、そこまで進んでからは馬車に乗っての聖都への移動だった。


 大司教のお願いを要約すると、先程の聖王の墳墓は歴代の同様のものが国内各地に五つあり、それらが作用し合って破邪の五芒星を描き出し、巨大な結界を作りだしていたそうだ。その結界が一つ破られたために全てが効力を失っていたのが先程までの状態だった。


 そして結界が破られたために、結界の中心地である聖都セイダードの大聖堂地下に強力な死霊が入り込み、ダンジョン化しているそうだ。今は死霊が溢れ出ないように外から封印することで抑え込んでいる状態なのだとか。


 死霊系だけならまだ教会側でなんとか対処出来たそうなのだが、同時に硬い外殻を持つ昆虫系のモンスターも徘徊しているそうで、教会としてはお手上げの状況だったということだ。


「そういうわけでして、先程の聖王の墳墓でのお二人の活躍ぶりならは、なんとかしていただけるのではないかと期待しておりますが、いかがでしょうか?」


「わかりました。神聖な大聖堂の地下を死霊に占拠されているとはさぞかし御心を痛めておいでなのでしょう。連携の問題もありますので達のパーティーのみで討伐に向かっていいのであれば、その依頼お引き受けいたします」

  

「おお、引き受けていただけますか! ありがとうございます! 最大限のバックアップは致しますし、別件ですので、報酬はもちろん別でお支払い致します。どうかよろしくお願い致します」 

 

「おまかせください」


『レクイエム』のお礼になんだって聞き届けてあげますよ。それにその大聖堂地下ダンジョンで手に入れたいモノも有るしね。ふふふ、楽しみだ!





 聖都への旅は馬車で8日かけて進んだ。大司教様がいるので、日程の都合でどうしても街に立ち寄れなかった一日を除いて、夜は街や村の宿に泊まった。

 

 途中出てきた野良モンスターは危うげなく俺とエリーで排除できたし チョコザで疾走して野営していた俺達からすれば、かなりのんびりとしたペースなので、旅は快適だった。





 聖都セイダードに到着した後は、早速地下ダンジョンにアタックすることになった。大司教が透明なまん丸の水晶玉のような物を取り出してきて、手渡してきた。


「モンスターを全て排除した後に、この聖玉を最奥の間の祭壇に安置していただきたいのです。そうすれば聖なる結界が完全に再起動し、聖都の護りは再び盤石になります。頼みましたよ、我が弟子エリー、そしてルイ殿」





 いよいよ大聖堂地下ダンジョンに突入だ。

 

 この中は狭い通路も有るので、残念ながらチョコザはお留守番だ。いい子で待っててね。大司教に二頭のお世話も頼んでおいた。


 ここの勝利条件は全てのモンスターの駆逐だからな。端から端まで徹底的に調査してモンスターの取りこぼしがないようにしなければいけない。もっとも生者にむらがる習性があるからアンデッドは放っておいても少しずつおびき出されてくるのだが。


 目的のアイテムも忘れずに回収しないとな。


 おっと、第一死人発見。

 しかも団体様だ。


 エリーさん出番ですよ! まずは声かけしてね!


「エリー! レクイエムを頼む!」


 吟遊詩人のスキル『レクイエム』

 言わずとしれた、アンデッド特攻の全体攻撃だ。


 MP消費はわずか2しか無いのに、通常攻撃の八倍のダメージをアンデッドの敵全員に遠距離で叩き込める素敵スキルだ! 

  

 一回のスキルの使用で、アンデッドは全滅、一匹混ざっていた虫型モンスターが残ったが、俺がタイマンでボコしてやった。


 うーん!


 快適!


 出しゃばる人のお守りがないバトルの快適さったらないな!


 思った通り、レクイエムも絶好調みたいだし、さくさく行こう!


 



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