第4話 一日の始まりは朝の儀式から

 チクリンダンジョンでくたくたになった俺は、ナイヤチ村の宿屋で食事をとると倒れるように寝た。朝起きてから水浴びを終えると、朝の儀式(モミモミ)をして現在のステータスを確認をする。


 ――――――――――――――――――――


名前∶ルイ=コンノー

性別∶女

年齢∶15歳

職業∶モンク 

レベル∶12

  

HP∶239/239

MP∶30/30


力  ∶61

体力 ∶69

素早さ∶51

器用 ∶36

知性 ∶12

精神 ∶13

運  ∶24



スキル∶チャクラ


所持金∶4010シグ 

  

 ――――――――――――――――――――


 だいぶ脳筋っぽいステータスになってきたな。この後は知性と体力の差は大きくなる一方だ。なんせ5倍だからな。脳筋道のうきんどうを極めると決めたのだから、それでいいのだ。


 中途半端にステータスポイントを振ったりはしない。フリーのポイントは運に全振りだ。因みに『運のタケノコ』は一人で全部食べたりはしていない。二度と手に入らないレアアイテムなので、まだ見ぬ仲間の為にインベントリ内に残しておくのだ。


 というか、俺はちゃんと仲間を作ることができるのかな。できれば魔法系ジョブの仲間が欲しいけど、この『ファンサ5』の世界には『ルイ○ダの酒場』的なものは存在しないので、ゲームがリアルになった今は、ずっとぼっちだったりして······


『チャクラ』はモンクレベル10で覚える事ができる。自分や仲間のHPやMPを割合で回復し、同時に時間経過で自然回復する状態異常も確率で治してくれる優秀なスキルだ。


 『チャイナリボン』無しの通常プレイだと、モンクが真っ先に状態異常にかかってしまうことが多いので死にスキルになってしまう事が多いが、状態異常無効を得て、運も育てれば優秀な回復役にもなれるおすすめスキルとなる。

  

 特に序盤にはMPを回復させる手段が他に無いので、大変ありがたいスキルだ。


 ちなみにモンクのスキルはチャクラのみMPを5消費するが、他のスキルは1しか消費しない。その為モンクには特別なMP管理が必要無いのだ。脳みそなんか使わなくていいから、殴れよという制作者のメッセージだと思う。


 仲間の事は成り行きまかせにする以外にないし、まずはチャモ爺さんの連続クエストを最後までコンプリートしよう。という事でチャモ爺さんちにレッツゴー!


 カン、カン、カン!

「こんにちは〜! ルイです! お爺さんいますか〜?」


「おお、ルイさんか、よくきたのぉ。入りなさい」


「お邪魔します。昨日の今日ですけど、何かお手伝いする事はありませんか?」


「困っているわけではないが、昨日お墓参りに行ったら婆さんが喜んでくれておるような気がしてのぉ。次は儂も婆さんも見たことがない、幻の青いチャイナローズを墓参りに持って行きたいのぉ」


「青いチャイナローズですね。わかりました! 少し時間がかかりますけど、必ず探してきますので、楽しみに待っていてください!」


「いつでもよいので、気を付けて行ってくるのじゃぞ」


 気のせいかもしれないけど、ゲームの時よりチャモ爺さんが優しい気がする。きっと美少女特典だな。青いチャイナローズの入手場所はもちろん知っている。第二の街ホウツイの郊外に有るのだ。


 次のイベントの為に、お金を貯めないといけないな。最低でも10万シグはないとチャモ爺さんがバットエンドコースに逝ってしまうからなぁ。シグ稼ぎの狩場は、青い花と反対方向だから準備を終えたら、レベル上げを兼ねて先に狩場に行くか。




 ナイヤチ村の北西に有る毒の沼地は女モンクにとっては格好の狩り場だ。ここに出没する毒ガエルは、この辺りでは破格のシグになる。通常ドロップは『毒カエルのツノ』それに加えてレアドロップで『ガマグチ』を落としてくれるのだ。


 ガマグチは、金額はランダムだが最低でも5000シグ多い時は一万シグ入っていることもあるお得な落とし物だ。モンスターのドロップアイテムを自分のモノにすることはネコババではないので気にする必要はない。


 という事で、やって来ました毒の沼地!


 早速、沼に入ってみると足を取られて動きにくい。所々にある陸地で毒ガエルが来るのを待っていた方が良いな。


 きた! 毒ガエルだ! うぉ! いきなり舌に絡め取られてのみ込まれてしまった! ゲームでもあった『まるのみ』攻撃か!?


 やばい! 予想外の展開! ここでもレベル差が大きいからカエルの舌に反応できなかった! 毒は効かねえぜって、なめプしようと思って来たのに!!


 やばい! 早く吐き出せ!


 殴る! 殴る!


 おえぇ! 毒カエルの腹の中めっちゃ臭い!


 やばい、それどころじゃない!


 殴る! 殴る!


 息苦しくなってきた!

 し、死ぬ!?


「チャクラ!」


 出せオラァ!


 殴る!!


 カシャーン!


 光のエフェクトと共に毒ガエルが消えた。


 やっと倒せたな。

 おっ!? やったぜ『ガマグチ』を拾った!

 ラッキ······シュバッ!!


 げっ! また『まるのみ』された!


 毒ガエルの舌の動きが速すぎる!


 くそぉう! 殴る! 殴る!


 とにかく殴る!


 ひたすら殴る!


 カシャーン!


 よし、やった! 急いでレベルの確認だ!

 

 あれ? また『ガマグチ』を拾ってる。レアドロップのはずなのに、おかし······って、またのみこまれた!


 だが、今度は舌の動きが見えたぞ! こっちのレベルが上がったからな!


 さっき覚えたばかりの、これでもくらえ!


「オーラパンチ!」


 ズガンッ!


 よし! かなりいいダメージを与えた!

 

 オーラパンチは物体でない魔法生命体やスライムのような不定形の敵にも大ダメージを与えることのできる攻撃スキルだ。もちろん普通の敵にも効く。


 もう一発、「オーラパンチ!」


 よし、倒したぞ。最初からレベル差の割にダメージがよく通るなと思っていたけど、ひょっとして腹の中は弱点なのかな。ありえそうだ。そしてまたガマグチを拾った。そしてまた······シュバッ! シュバッ!


 1回目の舌は避けられたけど、2回目の舌でのみ込まれてしまった。だがもうあせらないぞ、腹の中から殴ればいいだけだからな。


 殴る! チャクラ!


 殴る! オーラパンチ!


 殴る!



 


 何度ものみ込まれている間に、いつの間にか毒ガエルの巣に連れ込まれていたみたいだ。最後の一匹になるまで襲いかかってきた。


 途中、毒ガエルと俺とのレベルが逆転してからは、のみ込まれずに倒すことができるようになった。だが、まるのみされた時の方が倒すのが楽だったし、明らかにガマグチを落としてくれる率が高かったので、あえて腹の中から殴りまくった。


 おかげで全身ヌルヌルのベトベトだ。おまけに臭い。服もあっちこっち破れて穴が空いている。穴のあき方が破廉恥はれんちだ。だれとくだよ。


 ふぅうぅ、ヤレヤレだぜ。

 

 残された卵を念の為破壊してまわると『かえるのうた』『おたまのしっぽ』『むしめがね』を手に入れた。初めて見るアイテムだ。ゲームではこんな展開無かったけど、リアルになったからこそだろうな。


 


 


 


  


 


 


 


  

 

 


 

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