初任務 5
変異体ネレイス?軍学校ではなにも教えられていない、何者だ?だが今はここから逃げたほうがいいのだろう、広場の中心まで行った3人が焦った顔をして戻ってきたのだから余程のことなのだろう、一度安全な場所まで移動して話を聞こう。
「事情は分からないがとりあえず移動しよう、安全な場所でなにが合ったのか話してくれ。周囲のウォーカーが少ない場所はあるかヨミ?」
「この広場から少し離れた場所に昔の軍が利用していた駐屯地があるのでそこだと比較的安全かと思います、少尉急ぎましょう!広場から離れて行っていたウォーカー達がまた集まってきている反応があります」
ニルが広場の中心をしきりに確認し、アインが寝ているネムを肩に担いだら俺達は移動を開始した
「少尉!もっと速く走って!このままだと囲まれます!どんどんウォーカーが集まって来ています!!!少尉!進行方向にウォーカーが10体います!足を止めたら集まって来ているウォーカー達も相手にすることになります!」
はぁはぁくそ限界まで足を動かしているのだがなぁ、10体のウォーカーだと?強行突破できるか?悩む時間はない、みんなを信じよう!やっぱり昨日ちゃんとメンバー全員の能力を確認して準備をしっかりするべきだった!俺本当にお荷物だわ、無駄なことを考えず指示を出さないと
「強行突破する、誰かなんとか出来るか?倒さなくてもいいなんとか通り抜けたい」
我ながら他力本願すぎる、こんな姿見せたらニフルが馬鹿にしてくるなと思っているとアインが私がやると言ってネムをヨミに預け先頭を走り始めた。前方にヨミが言ったウォーカー達が見えてきた!戦車程のサイズの蟻が10体こちらに気づき地響きを鳴らしながら突進してきている、怖すぎるだがこちらも足を止める事は出来ない。
あと50メートル程で衝突するというところまでアインは動かなかった、先頭を走るアインの身体から蒼い魔力が身体を包んでいるのに気づいた、なんだ?空気が冷たい?どんどん空気が冷えてのが分かった、寒い息まで凍りつきそうだと感じているとアインが纏っていた魔力が強く輝き周囲へと解き放たれた
「振動停滞魔法「バラス」発動」
アインが発動させた魔法は眼の前に迫るウォーカーと廃墟を美しい氷の世界へと閉じ込めた、前方は氷柱が至る所に乱立し、全てが凍りついているその中をウォーカーの間を通り抜けながら走り続ける、氷漬けになったウォーカーを見るとどうやらまだ生きているようだ眼光がまだ失われていないこの氷が解けたらまたすぐに動き始めるだろう
10体のウォーカーを通り抜けしばらく走り続けているとようやく目的の駐屯地が見えてきた、後少しだと思い足を早める
「少尉もう大丈夫です!アインが使用した魔法の影響なのかウォーカー達の追跡を振り切りました。駐屯地の中にもウォーカーの反応はありません、少し休憩しましょう」
「分かった、だがとりあえず駐屯地に到着してから休憩しよう、みんな急ごう」
ようやく駐屯地に到着したが無事な建物はほとんどなかった、雨風がしのげる比較的損傷の少ない建物に入り、床に座り込むしばらくすると念のため周囲の安全を確認に出ていたニルが戻ってきた、どうやら問題はなかったようだ安心しメンバー全員に休憩を取らせる。もう日も大分薄暗くなってきている今日はここで休もう
夜になりミーティングを行うため全員に集まってもらった、昼間あの広場でなにが合ったのか報告してもらわないといけない
「休息を取っていたところ悪いな、広場でなにがあったんだ?俺は遠目から見ていただけだからよく分からなかったんだが」
アインとニルとヨミの顔を1人ずつ見ながら報告を促すと代表してヨミが話をしてくれた、ネム?ネムは幸せそうにマイまくらで寝てます。ちゃんと布団を床にしいて寝てます!ちゃんと俺達の分も彼女の兵器庫にあるそうです!
「私達が広場の中心へと到着すると今回の目的である、量産型レイブンの遺体がバラバラにされ積み重なっていました。ですが、レイブンの反応がそのバラバラに積み重なった場所にあったので生存している者がいると思い私達は遺体を掻き分け始めました」
俺が瓦礫だと思っていたのは全部レイブンの遺体だったのか、あの時の暴風で俺の側に落ちてきた彼女達はそういう事だったんだな、一瞬頭部だけになった彼女達の瞳と眼が合った事がフラッシュバックしやるせない気持ちになった
「掻き分けているとそこに1人のレイブンが寝ていました、それはもう幸せそうな寝顔でした今のネムみたいに」
ちらりと全員でネムの寝顔を見る、死体に囲まれてこんなに幸せそうに頬を緩ませて寝ていた?そいつには嫌悪感しか感じないそいつはなんなんだ?
「そのレイブンはそこから立ち上がりくしゃみをしました、そしたらビルが断ち切られ周囲の木々も全て切られていました。アーティファクトも魔法も何一つ使用せずにです。私達は全滅すると思い撤退を判断しました。そして少尉の元へ戻ったのです」
くしゃみ?なんだ俺をからかっているのか?と思ったがヨミの顔は真剣そのものだった、なんだ?なにか引っかかるそういえばあの時ニルが言っていたな
「変異体ネレイスとは?俺は軍学校でもウォーカー以外聞いたことないのだが?」
俺がその言葉を発するとニル、アイン、ヨミの顔が苦虫を踏み潰したような表情をした。特にニルの顔が一番険しいくどことなく悲しそうだ
「変異体ネレイスはレイブンです、詳しい事は私達もよく分かっていないのですが方舟から離反したレイブンだと思って下さい。私達も何回か今までの任務で遭遇していますが戦闘を避けています、奴等は強い、少尉は量産型レイブンが魔法を使用できないのを知っていますか?」
たしか魔法の素養がないと量産型になるんだったかそしてアーティファクトも無いはずだ
「ああ知っているレイブンになる際魔法の適正がないと量産型として作られるのだろう?アーティファクトも無いと聞いている」
ヨミはコクリと頷く
「そうです、彼女たちは魔法の適正がありません。ですが方舟を離反し遭遇した量産型のレイブンは魔法を使用してくるのです。それも非常に殺傷能力が高い魔法です、確認されたのは、火、風、雷が確認されていますが他の属性も使用してくるかもしれません。幸いアーティファクトはまだ一度も使用したという確認はありません」
「私達は過去の任務でこの量産型を倒しました、魔法だけならウォーカーとまだ大差ありません、こちらはアーティファクトを使用できるのですから。ですが今回遭遇したレイブンは量産型ではなくおそらく私達と同じレイブンでしょう、アーティファクトも使用してくることが予想できます。ただ私達でもアーティファクトを使用せずくしゃみだけで巨大なビルを断ち切ることは出来ません。あれは正真正銘の化け物です」
方舟を離反したレイブンが変異体ネレイスと呼ばれているのか、だがなぜ離反する?そして魔法が使用できない量産型がなぜ魔法を使用できるようになる?なぜ同じレイブンを殺す?駄目だ情報が足りなすぎる、クロト司令に任務報告の際尋ねようと考えていると、どこからか足音が鳴り響いた
「化け物だなんて酷いなぁ〜僕はこんなにも美しいお姉さんなのに」
声がした方に振り返る前に俺の首に腕が絡ませられた、ヨミ、アイン、ニルの顔が顔面蒼白になっているのが見える、俺も現れたやつを見ようと顔を隣へと向けると全身に鳥肌が立つのが分かった、たしかに美しいのだろう綺麗な黒髪を伸ばし、顔も綺麗に整っている、どこかノア様と同じような神秘的な雰囲気がある、だがなんだろう?そう一言で表すなら死神に出会ったような錯覚を覚える
彼女は酷く歪んだ笑顔しながら俺達を舐め回すように見ていた
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