初任務・・・4

 アインから驚く事実を聞かされてまだ少し動揺しているがレイブンの反応が合った場所へと向かっていると先程のネムの姿が頭によぎった


「なぁネムさっきの着ぐるみなんの動物なんだ?あれアーティファクトか?」


 大分睡魔に襲われているのだろう、ネムの瞳が半眼になっている今にも眠りそうだそんなネムが質問に答えてくれた


「うーんアーティファクトだよ〜、指揮棒もアーティファクトだよ、バクちゃんなんだ〜可愛いでしょ〜ネムね、色々な着ぐるみ持ってるんだよ〜えへへ、また見せてあげるね〜」


 バク?獏あーたしか夢を食べるんだっけ、なるほどデバフの種類でアーティファクトが変わるということか、念のためにどんな能力があるのか知っておかないと


「ネム他の着ぐるみは、どんな能力があるんだってもう寝てるし、ていうかどうやって寝ながら歩けるんだ?」


 幸せそうな寝顔をしているネムを呆れた顔で一瞥し先を急いだ、しばらく廃墟の通りを歩いていると前方に巨大なビルが見えてきた。ここまでウォーカーには遭遇していない、やはりおかしいヨミやアインが索敵しウォーカーに遭遇しない道を選んで進んでいるが全く襲撃を仕掛けてこない、まるでこちらの存在を無視しているようだ。最初のステルス系ウォーカーはこちらを遠く離れたところから感知して狙撃してきていた、少なくとも感知能力が高いウォーカーがいるのは間違いない、それでもこの廃墟に到着してから一度も襲撃されていないんだ。やはり罠か?


「少尉前方の巨大ビルから反応があります、あれ?周囲のウォーカーがどんどん離れて行っています、今なら安全に接触出来ます急ぎましょう」


 やばい気持ち悪い、すでにこの状況が気持ち悪い、見たくない物を無理やり見せられるような感覚だが確認しない訳にもいかない。どうする?アインだけを向かわせるか?だがなにかあったら1人で対処出来ないだろう、やはり全員で行くべきか。


「ああ今がベストだろう、全員周辺に注意しろ!ヨミは異変があったらすぐにほうこくしろ」


 巨大なビルの前までくると全員が足を止めた、ビルの前は大きな広場になっていた昔は緑豊かな場所だったのだろう樹木が多く植えられていたのが分かる、今は木が枯れ生い茂る葉はない広場の中心には噴水だったのだろうか?瓦礫だけが残っている


「ヨミ反応はどの辺りだ?」


 ヨミが指を広場の中心へと向ける、全員が頷き合い慎重な足取りで中心へと向けて歩き出した、突然歩いていた部隊メンバーが足を止める、どうしたんだ?と思っていると


「ちょっとあんたは待ってなさい!私達だけで確認してくるわ!大丈夫なにかあったらすぐに戻ってくるわ!そうねネム!一緒に待って少尉を守ってあげなさい」


 ニルが突然勝手なことを言いだした、俺は理由が分からず勝手なことを言うなと叱責しようとしたのだが彼女いや彼女達の表情がこれまでになく真剣であり固い決意のようなものを感じ強く拒絶することが出来なかった。渋々引き下がると彼女たちが中心へと向かうのを見送った


 遠目から彼女達が中心へと到着したのが分かった、なにやら瓦礫を退かしているようだしばらくその作業をしていると彼女たちが突然瓦礫があった場所から距離を取った、なんだ?と思い注意深く見ていると瓦礫が合った場所に1人の人物が地面から立ち上がった


 良かった無事なレイブンがいたのだと俺はほっと胸を撫で下ろした、その時とても強い突風が吹き土埃が舞い上がり眼を開けておくことが出来なかったようやく風が収まり再び目を開くと俺は理解出来なかった


 巨大なビルがまるで断ち切られたかのように綺麗に縦に切り裂かれ、周囲にあった枯れ木も全て根元に近いところから鋭利な刃物で切られていた、そして、先程の風によってなにかが腐ったような匂いが漂い、空からそれが落ちてきた


 それが落ちてきた時、俺は認識出来なかったなにか瓦礫でも飛んできたのだと思った。だけど、俺と眼があったんだ、何個も何個も、俺と眼があったんだ、瓦礫だと思ったのは全部身体の一部だった


 吐き気を我慢できずその場にしゃがみ込み全て吐きだした、ようやく気持ちが落ち着いてきたところでニル、アイン、ヨミ、ネムが無事なのか心配になり彼女達に視線を向けた、ネムは俺のすぐそばに居たはずだと周囲を見渡すと彼女は俺の前方に居た彼女のすぐそばに行き大丈夫か?と尋ねて彼女の身体を見て血の気が引いた全身傷だらけだ


「しょうい〜ネム頑張ってしょうい守ったよ!えらい?いっぱい自分に治癒使っちゃったごめんね〜ってみんなに伝えて〜」


 彼女はその場で地面に倒れてしまった、慌てて彼女の息を確かめるとどうやら眠ってしまったようだ。俺の前方で自身を盾にして守ってくれたらしいネムの頭を撫でてやるとニル、アイン、ヨミが戻ってきた


「少尉!早くこの場から逃げますよ!ネム!ネム?あ〜魔力切れですか?完璧に寝ていますね、アイン、ネムを担いで下さい。ニルは殿を任せましたよ」


「ヨミ!いったいなにがあったんだ?さっきの俺達が探しにきた生き残りじゃないのか?」


 せっかく発見した生き残りを置いていくのか?と俺が疑問をぶつけると、ニル、アイン、ヨミが苦い顔をし、ニルが呟いた


「あれは、レイブンじゃないわ変異体ネレイス・・・化け物よ」

 






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