後天的貞操逆転世界の異端者〜ある日突然貞操観念が完全に逆転した世界でなぜか元のままだった俺、ギラギラした美少女達からロックオンされてしまう〜
第30話 マジで女騎士を犯そうとするオークにしか見えないから
第30話 マジで女騎士を犯そうとするオークにしか見えないから
「……そういう訳だから別に雨宮先生には襲われてないぞ」
「ああ、神に誓ってそんな事はしてないからな」
「本当ですか? まさか、潤の弱みを握って口止めしてたりしないですよ?」
流石に雨宮先生に申し訳なくなった俺は誤解を解くために玲奈に事情を説明したわけだがそれでもすんなりと信じてはくれそうにない。
「頼む、信じてくれ」
「うーん、教師である雨宮先生が生徒の潤を家に連れ込んだ時点で信頼出来る要素が無いんですよね」
「あれはどちらかというと私の家に沢城が上がってきたという方が正しいんだが。そもそも何で芦田は私と沢城しか知らないはずのこの間の日曜日の事を知ってるんだ?」
「あっ、ごめんなさい。俺がうっかり口を滑らせました、ちなみに一年の叶瀬にもバレてます」
「勘弁してくれ……」
雨宮先生は顔を押さえながら弱々しくそうつぶやいた。貞操逆転する前なら間違いなく俺が吊し上げられていたため危なかったなどと考えてしまった事は内緒だ。
「そう言えば玲奈は何で保健室に来たんだ? パッと見どこも怪我してなさそうだけど」
「ああ、潤が指を押さえながら出て行ったから適当な理由で体育館から抜け出して心配で追いかけてきたんだ」
「いやいや、ちゃんと授業くらい受けろよ」
「保健室でサボろうとしていた沢城がそれを言っても説得力ないんだが」
俺の言葉を聞いた雨宮先生は呆れ顔でそう突っ込んできた。すると玲奈はニヤニヤし始める。あっ、これ絶対ろくな事を考えていないやつだ。
「保健室でサボるって事はやっぱりエロ漫画みたいな展開を狙ってたの?」
「そんな訳ないだろ、昼休みに玲奈と叶瀬に付き合わされたせいで疲れたから純粋に休みたかったんだよ」
「本当かな? 実は養護教諭の先生とあんな事やこんな事をしたかったんじゃない?」
「なあ、養護教諭の先生って全員四十代って知ってて言ってる?」
玲奈の脳内は相変わらずピンク色らしい。貞操逆転する前の普通のスポーツ少女だった玲奈はもうどこにもいないようだ。そんな事を考えていると雨宮先生がこっそりと保健室から出ていこうとしている姿が目に入ってくる。
「あっ、雨宮先生。勝手にどこへ行こうとしてるんですか?」
「い、いや。そろそろ職員室に戻らないと不味くてな」
「まだ完全に容疑が晴れてないのに逃げようとするってやっぱり何かやましい事があるんじゃ……」
「……もう許して」
玲奈の猛攻により雨宮先生のライフはとっくにゼロのようで完全に燃え尽きる寸前だった。これ以上は流石に可哀想なので俺は助け舟を出す。
「雨宮先生がムンクの叫びみたいになってるからこのくらいで勘弁してやれ」
「ムンクの叫びには全然似てないと思うけど、雨宮先生のリアクションは堪能出来たしこれくらいで我慢するよ」
「やっと解放される……」
そう言葉を漏らした雨宮先生は完全に疲れ切っていた。せっかくの授業の無い比較的ゆとりのある時間にこんな事に巻き込まれて踏んだり蹴ったりに違いない。
「私は職員室へ戻るが沢城と芦田はちゃんと体育の授業を受けろよ」
疲労困憊状態の雨宮先生はそう言い残して保健室から去って行った。本当はもう少しサボりたかったが玲奈と二人きりで保健室にいると面倒な事になりそうなのでそろそろ体育館に戻る事にする。
「じゃあ俺達も体育館に戻ろうか」
「えー、せっかく保健室に来たんだからベッドで休んでから戻ろうよ」
「突き指したくらいでベッドを使って休むのはいくらなんでも大袈裟過ぎるって」
「ほんの少しだけ、少しだけでいいからさ」
そう口にした玲奈の目は血走っていたため従うのは不味い気しかしない。下手したらここで十七年間守ってきた童貞を奪われる可能性すらある。
「飢えた肉食獣みたいな目をしてる奴の言う事なんて聞くわけないだろ」
「可愛い幼馴染に向かってそれはいくら何でも酷くない?」
「そう思うなら一回そこの鏡で自分がどんな顔をしてるか見てみろって。マジで女騎士を犯そうとするオークにしか見えないから」
あっ、でも今の世界ならむしろ女騎士が雄のオークを犯す側か。そんな俺の言葉を聞いた玲奈は鏡で自分の顔を見て固まる。
「……想像してた以上に女騎士を犯そうとするオークみたいな表情だったから自分でもドン引きなんだけど」
「俺だから良いけどマジで他の男子には同じような事をするなよ、幼馴染が性犯罪者として捕まるとか悲し過ぎるからな」
「うん、本当に注意するよ」
これには流石の玲奈でも反省をしたらしい。冗談抜きで貞操逆転した今の世の中なら普通にセクハラで捕まるからな。
すっかり玲奈も大人しくなったため俺達は保健室を出て体育館へと戻る。ちなみに一緒のタイミングで戻ると有らぬ疑いをかけられる可能性があったため時間をずらした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます