後天的貞操逆転世界の異端者〜ある日突然貞操観念が完全に逆転した世界でなぜか元のままだった俺、ギラギラした美少女達からロックオンされてしまう〜
第7話 エッチする時の身長差って二十二センチがベストらしいですよ
第7話 エッチする時の身長差って二十二センチがベストらしいですよ
杜の街テラスへと到着した俺は玲奈と叶瀬のショッピングに付き合わされていた。もう既に結構長い時間拘束されているため疲れて来ている。
「よし、じゃあ次は服を見に行こうか」
「なあ、一応聞くんだけどまだショッピングを続ける気か……? もう十分見て回ったと思うんだけど」
「勿論続けますよ。まだまだこれからですし、私達も満足してないんですから」
俺はあからさまに帰りたいオーラを出していたが二人は取り合ってくれなかった。貞操逆転しても女子の買い物好きに関しては全く変わっていないため本当に面倒だ。間違いなく長時間コースになるだろう。
それから俺達は服屋を何軒も回り始める。玲奈と叶瀬に散々付き合わされた挙句着せ替え人形にまでされて余計に疲れた事は言うまでもない。
「ねえねえ、華菜ちゃんと双子コーデしてみたんだけど潤的にはどっちが似合ってると思う? やっぱり身長が高くてスタイルの良い私の方だよね」
「何言ってるんですか、小柄で可愛らしいキュートなこの私の方に決まってますよ」
「え、えっと……」
「あっ、二人とも似合ってるとかってありきたりな事を言って逃げようとするのは無しだから」
「ちゃんと答えてくれるまで家には帰しませんよ」
玲奈と叶瀬は再び俺に二択で迫ってきた。だからどっちを選んでも面倒な事になる未来しか見えない選択肢を出してくるなよ。ストレスで俺を禿げさせる気か。
ちなみに身長が百六十八センチある玲奈と百五十センチの叶瀬では同じ服を着ていても全然印象が違った。玲奈は大人びて見えるが叶瀬は可愛らしく見える。
「うーん、二人とも似合ってると思うけど……でも強いて言うのであれば玲奈の方かな」
「ありがとう、潤ならそう言ってくれると思ったよ」
「ちょっと先輩、何で私じゃないんですか」
しばらくの間迷ってそう答えたわけだが案の定叶瀬が文句を言い始めてしまう。
「あくまで個人的な意見にはなるけどその服はどっちかと言うと身長の高い方が似合ってる気がしてさ」
「先輩は背の低い女子の良さを全く分かっていないからそういう事を言えるんです」
俺の説明を聞いた叶瀬は突然そんな事を言い始めた。
「背の低い女子の良さ?」
「いいですか、私くらいの身長の女の子はほとんどの男子より低いので常に上目遣いになるんですよ。どう考えても無駄に大きい女子よりもお得に決まってるじゃないですか」
叶瀬は低身長のメリットについてを語り始める。だがそれを玲奈がただ黙って聞いているはずがなかった。
「それは違うと思うな、やっぱり男子は背の高い女子の方が好きだと思うんだよね。ほら、目線の高さが同じくらいになるから嬉しいと思うし」
「でも身長差があった方が彼氏と並んで歩いた時に映えますよね?」
「彼氏と身長差がない方が服とか交換できるから良いと思うけど?」
最初は軽くマウントを取り合う二人だったがだんだんとヒートアップし始める。
「エッチする時の身長差って二十二センチがベストらしいですよ。あっ、まさに私と先輩の事ですね」
「身長差があるとエッチの時にキスしにくいって知ってた? 私と潤は四センチ差だからその辺は全く心配ないんだけど」
とんでもない事を口走っている二人に俺は頭が痛くなった。二人とも処女のはずなのにまるで経験したことがあるかのように話すのは何なのだろうか。
そもそも勝手に俺を彼氏扱いして話を進めるな。てか、女子が軽々しくエッチって言葉を連呼するなよ。あっ、でも貞操逆転してるから別に良いのか。
いや、流石に貞操逆転前でも店の中でエッチを連呼する男子はいなかったからやっぱダメだわ。俺は一人でそんなボケとツッコミをしながら二人をなだめ始める。
「二人ともそろそろ落ち着け、わざわざ言わなくても知ってるとは思うけどここ店の中だからな。てか、多分これ以上騒ぐと間違いなく出禁にされるぞ」
「うっ、それは困る」
「私もここにはまた来たいので出禁になるのは嫌です」
俺の言葉を聞いた玲奈と叶瀬はようやくクールダウンしてくれた。玲奈も叶瀬も以前までは人前でエッチなんて言葉絶対に口にしなかったため、これも貞操逆転の影響だろう。
「ひとまずここから移動しよう、さっきからあまりにも悪目立ちし過ぎたせいで周りからめちゃくちゃ見られてるし」
「……そうですね」
「……うん、早く離れよう」
我に返って猛烈に恥ずかしくなってきたらしい二人は弱々しい声でそうつぶやいた。それから二人は大急ぎで試着していた服を脱ぎ、そのまま服屋から離脱する。
「もうさっきみたいな事になるのだけはマジで辞めてくれよ」
「もう流石にしないよ。ねっ、華菜ちゃん」
「はい、十分懲りました」
玲奈も叶瀬も反省しているような表情を浮かべていた。巻き添えで俺まで出禁にされたら堪ったものではないためこれ以上は言うまでもなくマジで勘弁してほしい。
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