第143話襲撃29


 -皇居ー


 天海が出した鯨が粉々に砕かれた頃、皇居の地下に本物の九尾が現れた。


「ここが最後の封印の地ね。」


 そう話す九尾の目の前には大きな池がありその池を覗き込むと底の方にキラリと光るものがあった。


「あれね。」


 光っているものを取ろうとする九尾だったが


 バチン!


 と池の水に触れた瞬間手を弾かれてしまった。


「っと、やっぱりそう簡単にはいかないわよね。」


 そう言いながら九尾は懐から何か袋のようなものをだすとその袋の中身を池の中に落としていった。


「戦場でまれにできる人の憎しみと血の結晶である【血石】(けっせき)これがあればこの量あればいかに清められた水だとしても…。」


 池の中に落とされていった血石は暫くすると溶けていき石からは赤黒い人間のようなものが何体も出てきては池の水を赤黒く染めていった。

 すべての血石が溶ける頃には綺麗であった池の水はまるで血の池のようになっていた。そんな中池の中にあった光るものはまるで生きているかのように光が点滅をしだした。


「あぁ!もうすぐ八岐大蛇が復活するわ!」


 九尾は待ちきれず池の中に飛び込むと光るものを拾い池から出た。

 池から出た九尾の手には透明な水晶のようなものがありその中には小さな蛇が入っていた。


「今その中からだしますね。」


 そう言うと九尾は狐火をだし石を熱しだした。


 ゴー!

 ピシッ!


 暫くすると石からそう音がなり石が割れた。


「八岐大蛇様!」


 そう話し掛ける九尾だったが長年の封印のせいで力が弱まった八岐大蛇は


「シャ、シャーーー…。」


 と力弱く鳴くことしかできなかった。


「お任せください。すべての封印を解きこの場に持って参りました。」


 そう言うと再び懐に手をいれると八つの包みを取り出す九尾。包みを開けると八つの干からびた小さな頭が出てきた。


「どうぞ!八岐大蛇様!」


 九尾が八つの干からびた頭を差し出すとそのうちの一つを


「シャーーー。」


 と鳴き


 バクン!


 と飲み込んだ。すると、


 ニョキニョキ


 と頭を食べた頭の隣からもう一つ頭が生えた。


「おぉ!残りもどうぞ!」


 と九尾が残りの頭も差し出すとどんどん取り込みその度に頭もどんどんと生えていった。

 そして遂に最後の頭を食べると、


 ドクン!


 と言う音と共に


 ゴゴゴゴ!


 と地鳴りが始まり八岐大蛇もどんどん大きなりだしその内洞窟一杯に大きくなると


「シャーーー!!!」


 と言う鳴き声と共に洞窟を突き破り更に大きくなりながら遂に地上に姿を表した。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 地鳴りがし封印が解けたことを察した天海が皇居側をみていると皇居から九つの蛇の頭が飛び出てきた。


「不味いわね。」

「天海様!」


 天海が八岐大蛇を見ていると遠くから和尚がやってきた。和尚の後ろには行方が分からなくなっていた術士達が付いてきていた。


「封印が解かれてしまったのですか!?」

「えぇ。私達が戦っていたのは偽物だったのよ。」

「なんと…。」

「その術士達は?」

「あぁ!どうやら囚われていたらしく妖怪どもの盾として使われてました。まぁその妖怪どもは八岐大蛇が復活すると我先にと八岐大蛇の元にいきましたがね。なので急ぎ解放して天海様と合流したと言うわけです。」

「なるほどね。じゃあ急いで八岐大蛇の元に行くわよ!絶対にここでやつを倒さなければ日本は終わります!」

「「「「「「「「ハッ!」」」」」」」」


 こうして天海と和尚と捕まっていた術士達は八岐大蛇の元に急ぎ向かうのだった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「なあ?なんか地面揺れてないか?」

「だよな。しかもなんかすごい叫び声聞こえねぇか?」

「確かに。」


 雨女から逃げた月兎達はまだ地中を進んでいた。


「もうそろそろ上に出てもいいんじゃないか?」


 ある程度進んだ後そう術士のうちの一人が言い出したので上に上がることにした月兎達。暫くすると


「そろそろ外だ!行くぞ!」


 ボコ!


 と外に出たのだったがそんな月兎達の前には今正に封印が解かれた八岐大蛇と復活させた九尾がいるのだった。


「た、退避~~~~~!!!!」

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