第十六章 ただいま

「え?わしがボーイスカウトのリーダー?」


北西はこくりとうなずいた。


「はい、我々リーダーは子供たちを守らなければなりません。君は強力な魔法を使え、頭もいいと聞いている」

「う~む」


 わしは正直悩んでいた。今、わしは老衰を使いこなすためにいる。どうせあと少しで学校に戻る予定じゃ。学校とリーダーの両立は厳しいぞい。


「お話は大変ありがたいのじゃが、わしはあと11日で学校に戻らんといけんのじゃ。わしを待ってくれている者たちがいるんじゃ」


わしは素直にそう言った。


「そうですか・・・では時々顔を見せに来てもらえませんか?子供たちはあなたといろいろ話したいそうなので」


 そういいながら子供たちを見ていた。その目はまるで本当の自分の子供を見ているかのように見えた。


「わかりました」


こうしてわしは北西とボーイスカウトの少年たちと別れた。


——こういうのもたまには悪くないのう。今度、また会いにいってやるかのう。



◆ 大場 美紀 ◆

「はぁ~~~・・・・・・」

「どうしたの?溜息なんかついて・・・」

「次射がいないから暇なのよ~」


 校長が2週間待つといって11日が経った。もうすぐ帰ってこないと強制退学になってしまう。私は数週間前から次射を落とすのに必死だったからちょっと暇になってきた。


「お~い、みんな席につけ」


そうこうしていると伊勢盆がやってきた。私たちは席につく。


「よし、お前たちにいい知らせがある」


なんだろう・・・お金でもくれるのかな?まぁそんなことないのね~


「まぁそれは放課後に話すか。まだ来ていないみたいだしな」


——来てない?人が来るのかな?それとも物が来ていないのかな?

放課後に何があるのか気になりすぎてその日の授業は全く集中できなかった。


そして迎えた昼休憩・・・

昼休憩中も放課後のことが気になりすぎて手が進まなかった。


「美紀ちゃん!」

「うわぁ!」


後ろから急に小鮒さんが脅かしてきた。


「もう!脅かさないでよ!!」

「いやぁ~なんか考え事してそうだったから気になっちゃって・・・ん?」


私はふと教室の扉のほうを見たが何もいなかった。


「どうしたの?美紀ちゃん」

「あぁ、ごめん。何でもないよ」


——今何か見えたような気が・・・


————放課後————

「よし、全員そろっているな」


 ついに放課後になった。クラスのみんな待ちきれないのか、「なんなんですか~!?」や「誰か転校してくるの~!?」「黒速はどうなってんだよ~!」などの声があがっている。


「静かにしろ!すまないな、入れ」


そういうと教室の扉が開いた。そこにはよく見たことがある人がいる。

黒髪に180cmを超える身長、そして整った顔。


「おい、あれって!!」

「本当だ!!」


私は立ち上がって彼を見た。そして満面の笑みを見せた。


「・・・おかえり」


私の幼馴染、黒速次射がこの県立魔法高等学校に帰ってきた。


「・・・ただいま」

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