異世界で生き延びよう
千代子 あめ
異世界に慣れよう
第1話 不思議な出来事
目が覚めたら夜空が見えた。いやまぁ、みんなはそうなんだとしか思わないだろう。だけど、これはおかしい、おかしいことなのだ。
こんな、たっだ広くて建物の一つ見当たらない草原に来た覚えなんて全くないのだから。
ぼんやりと窓越しに空を眺める。太陽の光が降っていて目がチカチカする。
遠くから鐘の音が聞こえた気がした。
ハッとして周りを見てみると、人影が全くないことに気づく。
あぁ、確か5時間目の授業は変更があって音楽……つまり移動教室だ。
「あぁっ」
急いで教科書、ノート、ファイルをロッカーにとりに行く。よし、これで準備はできた。
急いで音楽室に
って筆箱忘れてるっ。
筆箱を取りに行きながら、ぽつりと呟く。
「どうせ遅れちゃうんだからもう急がなくていいや」
なんかあるよね、こういう諦め的なの。
はぁーあ、中学生になってから、物事が上手くいかない。
友達もできなし、課題は家においてきちゃうし、自分が日直ってこと最後まで気づかなかったりするし。
特に今日はお弁当忘れた上に、授業遅刻!
不味いなぁ、自分の将来が不安だよ。
そう思っていると、廊下の横に長くてとても綺麗な銀髪を垂らした、変わったワンピースを着た年上らしき女性が下を向いてたたずんでいるのに気づいた。
「あの、大丈夫ですか?」
私が話しかけると、彼女は恐る恐るといった風に顔を上げて、
「ええぇ、大丈夫」
と綺麗な声で言った。
それを見て私は驚いてしまった。
なぜなら、彼女が人外じみた美貌をもっていたからだ。
さっき思った通りの綺麗な白銀の髪に色白の肌、夜色の瑠璃の瞳に、整ったという言葉では言い表せないほど綺麗な顔の持ち主だった。同じ人間だとは思えないほどに
少しの沈黙の後、途切れた会話をつづける。
「あの、ここの生徒じゃないでしょう。どうしてこんな所に?」
彼女は制服こそ着ていないが大人には見えない、なにより、こんな容姿をしていたらすぐ噂になるはずだ。私みたいに。
「分からない、だけど、しなければいけないことは分かる」
意味が分からない、彼女は何を言っているのだろう。いや、迷子ってことかもしれない、だったら可愛いな。
彼女のことを全然知らないのをいいことにそんなことを考える。
っと次の瞬間、私の居た場所が光に包まれた。
「なにっこれ」
眩しすぎて薄目で周りを見るが光と彼女しか見えない。というかそれ以外ないのかもしれない。
眩しすぎる光に包まれ、私は意識を放した。
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