Web小説の主人公、占ってみた! ~波乱万丈です! タロットで紹介する主人公とその物語~

琴葉 刀火

はじめに、タロットについて少しだけ解説

 タロットと物語は非常に相性がよいです。何故ならタロット自体が寓意化された物語だからです。


 タロットカードは、22枚の大アルカナと56枚の小アルカナ、計78枚からなります。


 大アルカナというのは名前の付いた絵札です。


 大アルカナには0から21の番号が振られています。


 一説には大アルカナは0番の「愚者」というまだ何物でもない主人公が様々な人や出来事(これをアルカナと言います)と出会いながら21番の「世界」というゴールを目指す旅の物語だとされています。


 また、大アルカナは、「愚者」という人の一生を表しているという人もいます。


「愚者」が生まれ(魔術師)、自我が目覚め(女教皇)、母親(女帝)と出会い、父親(皇帝)と出会い……。様々なアルカナとの出会いを経て、それぞれの結末「世界」へとたどり着くまでの過程だとされています。勿論順番通りに全てのアルカナと出会うわけではありません。アルカナとの出会いには様々な形があります。


 小アルカナは数札です。


 ワンドカップ貨幣ペンタクルワンドという4つのマーク(スートと呼びます)に分けられ、それぞれのスートごとに1から10までの数字と、従者ペイジ騎士ナイト女王クイーンキングの4種類の絵札、合計56枚からなります。


 小アルカナはトランプの元になったとされています。4つのスートにはまたそれぞれ意味があります。ファンタジー小説でおなじみの「4つのエレメント」と同じものです。


 ワンド、スペード、風のエレメント。知と理性の象徴。

 カップ、ハート、水のエレメント。愛と心の象徴。

 貨幣ペンタクル、ダイヤ、土のエレメント、幸福と価値の象徴。

 ワンド、クラブ、炎のエレメント、理想と情熱の象徴。


 これら小アルカナも大アルカナと同じく愚者が出会う出来事の象徴です。


 愚者は旅の中でこれらアルカナと出会いながら「世界」を目指します。


 つまり、78枚のアルカナは物語の中で主人公が出会う様々な出来事の寓意であるというわけです。


 アルカナとの出会いは一度ではありません。私達は何度も同じアルカナと出会い、その度に自分のたどりつくべき「世界」とは何なのかと考えます。


 例えば、大アルカナ13番目のカード「死神」。


 子供の頃、ふと「死んだらどうなるんだろう」と考えて恐ろしくなったことはありませんか? これが「死神」というアルカナとの最初の出会いです。


 どのアルカナもとても強い力を持っています。間違えた出会い方をした場合にはその人の「世界」が歪んでしまうかもしれません。でも、そこまで怖がらなくても大丈夫です。私たちは長い物語の中で同じアルカナと何度も違う形で出会います。その度に私たちの「世界」は変わります。


 この考え方を拡大解釈します。


 人生や物語全体と同じように、もっと短い時間の中にも様々なアルカナとの出会いがあると考えます。このアルカナとの出会いを虫眼鏡なり顕微鏡なりで拡大して、今どんなアルカナと出会っているのか。以前出会ったアルカナは何だったのか、この先どんなアルカナと出会うのか、これを考えるのがタロット占いです。


 アルカナを直接見ることはできないので、タロットカードとして寓意化されたものを偶然という力に頼って確認するわけです。


 さて貴方は今、どんなアルカナと出会っているでしょうか。


 また貴方のお気に入りの主人公は、貴方が作り出した主人公は、過去にどんなアルカナと出会い、この先どんなアルカナと出会うのでしょうか。


 それを元に物語を紹介するのがこのエッセイというわけです。


 前置きが長くなりました。次回からは早速、物語を紹介させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。



 尚、タロットは様々な絵柄の物が販売されておりますが、このエッセイで使うのは「ライダー版」と呼ばれるものです。小アルカナにも絵柄があり、扱いやすいタロットです。

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