毒の反哺
いしも・ともり
第1話 田嶋美月
2018年6月2日㈯、親友の
私は
とろくて、人と話すのが苦手で地味な私と、美人で活発で華のある由奈。対照的な二人が親友であることに、まわりはいつも不思議がった。私にとって、由奈は「憧れ」の存在だった。
そんな由奈が
『そんなわけない!』私は心で叫んだ。翌6月3日は、由奈の誕生日で、一緒に祝う約束をしていたのだ。10時オープンのカラオケBOXのフリータイムを予約して、誕生日ケーキとお昼ご飯を持ち込んで、20時まで歌いまくろう、しゃべりまくろうと約束していた。それなのに、自殺なんてするわけがない。誰かにこのことを伝えたい、捜査のやり直しをしてほしい、そう思うのに、意気地なしの私の足は震えるばかりで動かなかった。きっと逆の立場だったら、警察に乗り込んででも、捜査のやり直しを
そもそも、まだ由奈の死を現実のものとして受け入れられなかった。由奈のお葬式なのに隣には由奈がいて、『同級生が死ぬなんてありえないよね。』ってこそこそ耳打ちしている気がする。ひょっこり現れて、『ドッキリでした!』なんて言われる気がする。だから、
肩を寄せ合ってしくしくと泣いている女子生徒たち、無表情で参列する関係者たち、そして校長先生、担任の田中先生、
由奈は母親と二人暮らしで、家へ行った時に何度か会ったことがある。由奈は母親似で、二人とも美人だが、母親はどこか暗く影がある人で、正直苦手だった。今日は、いつにも増して暗くひどくやつれて見えた。
私と同じように一人で
最後の見送りとなり、茶碗を割る音がむなしく響き渡る。由奈の母親はずっと気丈に振る舞っていたが、この瞬間泣き崩れた。
「私のせいだ――。私が由奈を――」
母親の親族らしい人が抱き起こし、
***
どうやって帰ってきたのか記憶もなく、制服のままベッドに横たわる。ドアの閉まる音が、より部屋の静けさ引き立てた。由奈はこの世から本当にいなくなったのか……。仰向けのまま、ポケットから取り出したスマホのフォトアプリをスクロールする。二人で撮った
「由奈、どうして……。なんで死んじゃったの?」
笑顔の由奈は当然、何も答えてくれない。『ん?気のせいか?』
スマホの中の由奈の眼が一瞬、瞬きをしたように見えた。『そんなわけないか。』
次の瞬間、私は無意識にガバッと起き上がっていた。由奈の口がパクパク動いている。
スマホのマナーモードを解除する。
「美月!?」
「きゃっ!」
思わず、スマホを放り投げてしまう。
「美月、聞こえる?あれ?真っ暗になっちゃった。」
画面が下向きに落ちたスマホから、由奈の声が聞こえる。
「ゆ、由奈?」
恐る恐るスマホを拾いあげた。
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