七不思議に導かれて
すいむ
七不思議への誘《いざな》い
私は友人の大都会から引越してきた宮島美貴さんに話しかけられた。
「この学校にはどんな怪談があるのか知ってる?」
美貴は好奇心旺盛な性格で自分の事なんか関係なしに家庭の事情でこの地方に引っ越してきたに関わらず、それはそれとしてこの地方の特有の事を調べたり、美味しいものを探したり生活を楽しもうしていた。
ただし、数学の成績は放り投げている状態たが。
確かにこの高校はお社があり、祠サイズではなく社殿と有難そうな岩のみがあり、他の御稲荷さんとかの摂社末社が祀られてないという場所だ。
私にはその由縁来歴は知らないが、近くの町の神社を管理する人が稀に点検に来たり、在校生の中にその神社の関係者、あるいはその本家の山の社の一族が居たらその人が管理しているらしい事は聞いたことがある。
この学校には他ではあまりない施設があるだけあってそれに関する怪談があってもおかしくないだろう。
「うーん、何かしらありそうだけどわからないなぁ」
私はそう答えた。
「そっかーまぁ、忍、勉強や雑事で忙しいもんねー」
ゴメン、ゴメンと軽く美貴に言われた。
「二人共何の話をしてるの?」
眼鏡をかけたミディアムの長さの髪を揺らす眠たげな女の子、友人の斉木桃香さんが話しかけてきた。
「えっとねー、この学校怪談無いかなーってきいたの」
美貴さんは軽い感じに答えた。
私は、この学校の怪談は知らないんだよね、桃香は知ってる?と聞く。
すると桃香は人差し指を顎のあたりに添えて上を向きながら喋りだした。
「んー、パパから何個か聞いたことあるけど、確か七不思議って言ってたんだよね、なのにパパ全部は喋ってなかったな」
聞いたことがある、と桃香は答えた。
「それって全部聞いたら呪われるからってヤツじゃ……?それ大丈夫?」
美貴は大当たりを引いたかのような驚きをしたあと、話を聞いてと胡乱気な顔をしていた。
「いや、そんな感じではなかった気がする。かなり面白がってた、内容もそんなに恐ろしいお化けは居なかったはず」
思い出しながら桃香は言った。
「へー、じゃあ、それ回ってみない?わかってるヤツだけでも」
美貴はそう提案し、二人を見た。
「私はいいよー、てか私が居ないと成立しないし」
良いよー、と笑いながら桃香さんは賛成した。
「私は今日は予備校があるから……ゴメン」
私はゴメンムリとそう返した。
すると美貴に両肩を掴まれてこう言われる。
「いや、別の日にして行こっか。いつなら空いてる?」
「え、いや……」
「息抜きも大事だよー、まぁ美貴は勉強しないと駄目だけど」
桃香も美貴の援護をしつつ毒づいた。
「え!? あー、うん……少しは」
不意討ちを受けた美貴は少し萎んだ。
「えーと、いつならOK? 私達は放課後なら空けられるからさー」
すぐ気を取り直した美貴は私に訊いてきた。
「じゃ、じゃあ……明日の放課後にでも」
「じゃあ、明日は学校探索だー!!」
私の言葉を聞いて美貴は直ぐ様そう言って教室を走って出ていった。
「え、男子小学生?」
「どれだけ楽しみにしてるんだろう……」
桃香は呆れ半分笑い、私は明日急用入ったらどうしようと若干不安になった。
「まぁ、明日のために私もパパから色々訊いておくよ」
じゃあまたねぇ、と言って桃も教室を出ていった。
「私も予備校に行かないと」
今日済ませられる用事は全て終わらせるために私も教室から出て予備校に向かうべく学校から出た。
誰も居なくなった筈の1年生教室の階の廊下を最上級生を表す制服の緑ネクタイの髪の長い女子が歩いて行く。
この階には別校舎の渡り廊下もなければ上級生が利用する施設も無い。
用事のある先生も生徒も居なくなっているにも関わらずゆったりとスカートを揺らし歩いていった。
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