ぶいなろっ!!~デビュー3分で前世バレする伝説を作ったVTuber。そんな推しライバーの俺に対する距離感がバグっている件。俺はいちリスナーであって配信者ではない!~
第89配信 パリオカートぶいなろっ!!杯⑨
第89配信 パリオカートぶいなろっ!!杯⑨
コースアウトしたクロウを尻目にガブリエール、アマテラス、エルル、ユニの四名がイキナ山の最難関である五連ヘアピンカーブに突入した。
急カーブが苦手な大型車のアマテラスはスピンを防ぐために減速し、残り三人は一つ目の急カーブをドリフトで難なく曲がりきると猛スピードで直進して二つ目のヘアピンを曲がる。
ここでドリフト性能ダントツのエルル操る素パリオがガブを抜いて一位に躍り出る。エルルの尻に吸い付くように後ろを走っていたユニだったがドリフト怪物の動きをコピー仕切れずにスピンした挙げ句にコースアウトし崖下に落ちてしまった。
『アイル・ビー・バァァァァァァァァック!!』
『ユニ選手、崖下に落下! 往年の名台詞と共に力尽きたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
『いや、あれはまた戻って来るよって言う粘着気質的な意味でしょ。まだロリの追っかけを諦めていないみたいねぇ。手遅れになる前にそろそろ病院に連れて行こうかしら?』
『そんなしょうもないやり取りをしているうちにエルル選手がヘアピンカーブでガブリエール選手を抜いて一位に浮上。しかしガブリエール選手必死に食らいつく! 天使とエルフの前代未聞のガチンコバトルだーーーーーー!!』
『抜いて……食らいつく……ガチンコ……何とは言わないけどエッチな感じがするわぁ』
『うちのエロシスターが妄想を楽しむ中、トップを争う二人は真剣だーーーーー! と言いながらもワタシも同じフレーズをエロく思っていた次第!!』
もうダメだ、この事務所。司会者二人の頭の中は常にピンク色。他に司会が出来る人間が居るのかと言われると結局皆ピンク脳だから居ない訳で……まあ、ぶいなろっ!!リスナーはこれを観に来ているので解釈一致な訳で。
『ふふふ、先に行かせて貰うよ。こっちは峠で距離を稼がないと登りで皆に追いつかれちゃうからね』
『エルル先輩、速っ! それにドリフト凄い綺麗……』
エルルの芸術的なドリフトを間近で見たガブは目をキラキラさせて魅入っている。
その直後、ガブはエルルのドリフトを真似て不完全ながらも成功させてしまう。五連ヘアピンの残りのカーブを曲がる度にドリフトの精度が上がり皆から驚嘆の声が上がった。
『……!? 警官パリオでそんなドリフトを決めて来るなんて……やるね。これは本当に面白いレースになりそうだ』
『ガブリエール選手、エルル選手に食らいついていく! ユニほどの変態ではないのに何という執念! 彼女の中の何がそこまで彼女を駆り立てるのかぁぁぁぁぁぁぁ!!』
『ガブちゃんの執念深さはぶいなろっ!!……いいえ、VTuberの中でもトップクラスよ。四年かけて推しのリスナーさんを発見しゲットした強者だもの。面構えが違うわぁ』
『観てますか、ワンユウさん、使徒さん! 皆が授けてくれた作戦で私は今これだけやれてます!! 優勝して
コメント
ワンユウ:ガブ、頑張れぇーーーーーーーーー!!!
:いつもは静かな総帥御自らが真っ先に檄を飛ばしてるぞ!
:遅れを取るでない皆の衆!!
:であえ! であえーーーーーーー!!
:頑張れ、ガブちゃーーーーーーーーん!!
:さすがガブちゃん、初っ端からクライマックスだぜ!
:それーーーー! 行けーーーーーー! ガブちゃーーーーん!!
:それはそれとして言葉選びが時々渋くなる。それが、ガブクオリティー
:そこでモンキーターンや!
:それはボートレースの旋回手法じゃんか
:そこでインメルマンターンだ!
:それは航空機の旋回術でごわす
:カットバックドロップターンでキメ!!
:それはエウレ〇セブンのボード技ではないですか
ワンユウ:これはカーレースだからね!? 水上走ったり空飛んだりしないからね!!
『ここでガブリエール選手を激励するガブリスのコメントが荒ぶるぅ! 応援だけで無くボケとツッコミを忘れないのもガブリスクオリティーだぁぁぁぁぁぁぁ!!』
『コメントを面白くする為ならライバーとワンユウさんをネタにするのも厭わない。恐ろしい集団だわぁ。良い意味で』
どうやら俺の存在はぶいなろっ!!メンバーに認知されているらしい。それは知っていたが、こうして実際にガブやルーシー以外のメンバーに名前を呼ばれるとびっくりする。
さて、肝心のレースなのだがここからは膠着状態に突入した。イキナ山を下山したエルルは温存しておいたスピードアップアイテムで平地エリアを爆走し、あっという間にアエギ山に到着。
ヒルクライムでエルルはペースダウンしダウンヒルに入る頃には他のメンバーも追いついてきて乱戦に突入しワチャワチャしながら下山。終始この状態が続き徐々にエルルがダウンヒルで周囲に差を付けていく流れになっていった。
そして遂にレースは終盤戦、イキナ山のダウンヒルに突入した。ここに来るまでエルルは他メンバーを引き離しトップを走る。
そこに少し遅れてガブが続き、そこから他メンバーが団子状態で急傾斜の峠をひた走る。
レースはこのまま終わるかと思いきやさすがはぶいなろっ!!メンバー、土壇場で奇跡を起こす者が現れた。
ミラクルメーカーケースその一、フェネル・ホウテンガゲキさん。この終盤まで手に入れたアイテムはパンティーのみ。このまま最後もパンティーを手に入れてパンティーコレクターになるのかと思いきやここで別のアイテムを手に入れた。
『これは!? やった……ヤッターーーーーー! パンティーじゃないアイテムをゲーーーーーーッツ!! 早速使うわよぉ。ポチッとな』
フェネルの操作キャラ女子校生は黄金色に輝くと浮いてタイヤが収納される。これはまさか――!
『フェネル選手この土壇場でレアアイテムの飛行をゲットして即使用! これは如何なるカーブも無視して最短ルートを突き進める激強アイテムだが、これを使うなら五連ヘアピンの直前がベストだったかーーーー!?』
『た、確かに……わたしったら何てミスを……。だぁーーーーー! もうこうなったらヤケクソよーーーーー!! フェネル
『少しでも前に進むために最速でかっ飛んで行くわねぇ。飛行アイテムって使用中は金色になるけど、今のフェネルの状態ってまさに非行少女ならぬ飛行少女って感じねぇ。ぷふふ』
アンナマリーのダジャレに皆が凍り付く。きっと皆同じ事を思っていたけど敢えて口にしなかったのに彼女は躊躇無くそれをやる。ウケているのは言った本人のみだ。
飛行少女フェネルは運が悪いと言うか自業自得と言うか、ヘアピンカーブをショートカットしようとした所で飛行タイムが終わり派手なコースアウトをしてしまった。
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