第44配信 バニーメイデン②
ブラチラもパンチラも見れないままゲーム開始から二時間が経過し皆の心が折れそうになっていた。そんな時ガブリエールの頑張りが功を奏し衣織からチェキの提案がされた。
苦労が報われテンションが上がるガブリエールとガブリス。俺も衣織のパンチラを拝めるとあって嬉しい限りだ。
配信者、リスナー共にゲーム登場人物の下着を見る為に必死になっている姿はとてもじゃないが家族には見せられない。
『はぁ、はぁ、ようやく衣織ちゃんのチェキですね。どんなパンツ穿いてるんだろ? はぁ……はぁ……』
写真撮影モードに入るとガブリエールは息を荒げて衣織に様々なポーズ指示をしていく。端から見たら変態みたいに怪しいけれど彼女はチャンネル登録者数が百万人を超える人気のVTuberだ。
皆が期待する中、衣織に前屈みのポーズをさせるとある事実が判明する。
それはメイド服の胸元が全然露出しないのでパイチラどころかブラチラの可能性ゼロという悲しいお知らせだった。
そして何より皆の心を折ったのは何とかロングスカートからチラ見できたパンツが色気のない布面積が多いスポーツタイプだった事だ。
『……健全なショーツですね』
コメント
:そんな、ここまで来て……こんな……
:セクシーとはほど遠いパンツ
:これが二時間パンツ断食をした我々への答えなのか
:せめて……せめて……もう少しだけ布面積が少なかったら良かったのに
:贅沢は言いません。もうちょい尻肉がパンツからはみ出る映像が欲しかったです
:人はそれを贅沢って言うんやで
:もうガブリエール軍団のライフはゼロよ
ワンユウ:良い尻してるなぁ
:なんやて!?
:確かによく見ると肉付きの良い尻だ
:あれはいい尻だ
:おっぱい星人のワンユウが尻に言及するなんて今までには無かった事だ
:本当にこの一週間でナニがあったんだ、ワンユウ!?
:ワンユウはおっぱい星人でドSで声フェチで尻フェチ
:フェチだらけの只のどスケベやんけ
『ワンユウさん、本当にこの一週間で何があったんですか!? 私たち四年の付き合いですけど、今まで一度もワンユウさんから女性のお尻に対するコメントなんて聞いたことないですよ!』
:「俺のフェティシズムを配信で公表するのは止めて貰えないですかね!?」
衣織の健全なパンツによって一度は心が折れたものの、彼女の尻自体に興味を抱く者が続出し乗り越えられた。そして何度目かのチェキの際に事件は起こった。
『あれ? 衣織ちゃんのメイド服から白い帯みたいな物が出てますね? 引っ張ることが出来るみたい』
コメント欄は引っ張るの一択で埋め尽くされガブリエールは息を呑んで白い帯を引っ張る選択肢を選ぶ。
するとイベントシーンに突入し白帯を引っ張るにつれて衣織の胸部が肥大化していくのが見えた。最初は絶壁だったそこに突然巨大な山が二つ出現した。
メイド服は内側から隆起した山によって幾つものボタンが弾け飛び近くに立っていた優に直撃した。
衣織:キャアアアアアアア!! だ、ダメェェェェェェェェ!!!
優:な、なんじゃこりゃあああああああああ!!
ブチ、ブチブチ、バァァァァァァァァァン!!!(ボタンが吹っ飛ぶ音)
優:アウチッ!!
衣織:優さん、ごめんなさい! 怪我していないですか!?
優:オレは大丈夫……ってデッカ!!
衣織:……実は私、自分の胸がコンプレックスで今までさらしを巻いて仕事をしていたんです
この瞬間ガブリス共が吠えた。俺も吠えた。まさかまさかの巨乳キャラ、しかも他のヒロインを一回りも二回りも圧倒する爆乳の持ち主だったのだ。
そしてこのイベントを契機に衣織のターンが始まった。
衣織:ど、どうですか。この新しいメイド服……
優:……凄い可愛いよ、衣織さん(胸の谷間すんご! スカートも超ミニで少しでも屈んだらパンツが丸見えじゃないか!)
衣織:優さんのお陰で前向きになれました。これからはありのままの自分で頑張っていきたいと思います
優:眼鏡も取ったんだね(うわぁ、大きくて可愛い目してる。凄い美人だ)
生まれ変わった衣織は新しいメイド服に身を包み、ビン底眼鏡からコンタクトに変更し美しい目元を解禁、髪型はお団子ヘアーからルーズサイドテールに変更、爆乳解禁により魅惑の谷間見放題、ミニスカートの内側には結構際どいパンツを穿くようになった。
今までの俺たちの頑張りに応えてくれる全身センシティブバニーメイドが降臨した。
コメント欄が歓喜の舞でお祭り状態になる一方、俺はニュー衣織の姿に目が釘付けになりコメントを打てずにいた。
「……何か、ますます太田さんにそっくりになった気がする。髪型もスタイルもほぼ同じじゃないか」
そう言えばガブリエールの声がさっきから聞こえない。何かトラブルでもあったのか?
『すぅーはぁー、すぅーはぁー、すぅーはぁー……』
:「ガブ、大丈夫!? 随分と深呼吸繰り返してるけど、体調が悪いのか?」
『だ、大丈夫です。衣織ちゃんの急激な変化に驚いただけなので……。――何でこんな……偶然にしたって……』
最後の方は小声だったので聞き取れ無かったけどガブリエールはニュー衣織の姿に動揺しているみたいだ。同じ巨乳同士何か思うところでもあったのだろうか?
自分をさらけ出した衣織の快進撃は凄まじいものだった。これまで以上に仕事を頑張る彼女は焦ってミスと言う名のドジを連発。
客の優とぶつかって何故かシック〇ナインの体位で倒れ込み、優の目の前には衣織のショーツ――黒のTバックが視界を占拠する。
コメント
:WOW!!
:Tバック!? しかも黒!?
:このゲームTバックなんて実装してたのか!?
:他の子はTバックなんて穿いてなかったぞ!!
:つまりこれは衣織ちゃん専用下着ってことなのか?
:そして伝説が始まった……
:さらしを墓地に送りTバックを召喚、出でよアルティメットバニーメイド衣織!!
:その効果、全ての敵は萌え! 〇ぬ!!
:うわぁぁぁぁぁぁぁ!! 萌えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!
:萌え尽きたぜぇ、真っ白によぅ
:普通にぶつかったのに、倒れたら何でシッ〇スナインになってるんだよwww
:由緒正しいラッキースケベイベントで草
:こんなんリアルじゃあり得ないよなw
:女性が倒れた瞬間Tバック見せつけるなんて、現実でこんなんあったら確実に痴女やろw
:いやー衣織ちゃんがこれ程の実力を隠し持っていたなんて気が付かなかったわ
:ガブちゃんが浮気をせずにせっせと衣織ちゃんの好感度を上げていたお陰だな
:それに最初に衣織ちゃんに興味を持ったワンユウのお陰でもある
:ありがとうガブちゃん、ありがとうワンユウ。お陰で素晴らしい目の保養になっている
ワンユウ:俺も衣織ちゃんがこれ程とは予想していなかったよ
震える手で何とかコメントを打つ。
まるで数日前の自分の姿を見せられているような気分だ。あの時はこんな格好で倒れはしなかったけど、それ以外は既視感MAX。
皆が言うように、こんなの現実ではあり得ないと思うよな。でもあったんだよ。俺が実際に経験したんだよ。倒れた女性がT バック丸見え子になってたんだよ!
きっとガブリエールもこんなんあり得ないって笑って――。
『あわわわわわ……!! 痴女……ち……じょ……ぐふっ、ごふっ、かふっ……!!』
:「ちょ、本当に大丈夫か!? 変な咳してるけど今日は調子が悪いんじゃ……」
『いえ、本当に体調は問題ないんです。転んでこんな状況になるなんて思いもしなかったので驚いてしまって……。――これ、あの時と同じ状況……なんでぇ?』
笑うどころかガブリエールの様子が変だ。最後の方は小声で何か言っていたみたいだがよくは聞こえない。さすがにガブリス全員が心配するが彼女は大丈夫と言ってゲームを続行した。
衣織のターンはまだ終わらない――。
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