盗聴アプリ

第1話 どうして電話に出てくれないの？

　このアプリは無料のお試し版です。

　不特定のスマホの電源を自由にオン・オフ出来ます。

　電話機能をコントロールし、相手に知られずに会話を盗聴することが出来ます。

　有料版では、指定した電話番号へのアクセスが可能ですが、無料版では出来ません。

　有料版をご希望の方は、個人情報の提示が必要となります。

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　無料版のアプリを起動した。

　アプリ側が勝手に選択した電話番号につながった。相手の電話番号は表示されない。

　全く知らない他人の会話。胸が高鳴る。

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「ずっと来てくれないのね。もう飽きたってこと？」

「会社には電話しないって約束だろ」

「あなたのスマホに電話しても出ないじゃない」

「もうすぐ会議だから切るよ」

「会社の女性にいろいろ教えてもらったわよ」

「・・・・」

「小平市に住んでるんだね」

「えっ・・・・」

　・・・・沈黙。

「瑠美ちゃん、かわいいわね。３歳だって？」

「おまえ、まさか・・・」

　・・・・沈黙。

「いそがしそうだから、また電話するわ」

「ちょ、ちょっと待て。おまえ、変な事考えてんじゃないだろうな」

　・・・・沈黙。

「もし、考えてたら・・・、どうするつもり？」

「警察に電話する」

「そお・・、じゃあすれば」

　・・・・沈黙。

「た、頼むから家族には手を出さないでくれ」

「じゃあ、いつ来てくれる？」

「来週の月曜日・・。夕方７時」

　　・・・・沈黙。

「ずっと来なかったから忘れちゃったみたいね」

「な、何を？」

「うちの店、月曜は定休日。火曜日の夕方７時に予約入れとくわね。ウナギの特上ね。会社の人は、何人連れて来てくれるの？　課長さん・・」