ヴァルキリー防衛隊

みゅうた

第1話 王宮騎士団入団試験

「おはようルイリィ!今日は良い天気だね♪」


「相変わらずお前は呑気だなぁ…」


「今日の騎士採用試験の試験官任されたんだって?」


「ああ…僕の眼鏡にかなうやつがいるかなぁ」


ルイリィはファルデアン王国の王宮騎士団に所属する騎士で容姿端麗な姿にファンが多い


「ルイリィ様よ!今日も素敵ね〜」


「お隣にいるのはレナード様だわ!今日も凛々しいわね」


ルイリィの隣にいるのは同じく王宮騎士団に所属する戦士でルイリィとは幼馴染でもある


試験会場に着くと馴染みの顔ぶれが並んでる


「あらルイリィ…今日は大役を任されたのね…」


「リルヴェアか…騎士団長の命令だからね…仕方ないよ」


話しかけて来たのはリルヴェア…彼女も騎士団の一員で武闘家である


この騎士団に所属する若者の半数はルイリィの幼馴染である


「お?セージム!もし怪我人が出た時は頼むぞ」


「おいおい…怪我人出すつもり満々かよ!全く〜」


法術薬士という特殊な肩書きのセージムは主に回復を得意としている


「ロディも試験官の代役か?」


「ルイリィ…お前もか…全く親父が手加減出来ないからって俺に白羽の矢が刺さったのさ…迷惑な話だろ?」


ロディはパラディンで攻撃だけではなく回復もこなす万能タイプだ


「ルイリィ…相手を怪我させないようにしなさいよ?」


「アルティマは見学か?」


「魔法ぶっ放しても良いけどこの場所が吹き飛ぶからやめとくさ」


アルティマは賢者で法術も魔法も得意としている。マジックマスターとも言われている


「ドラグナーも試験官か…手加減しろよ?」


「お前に言われたく無い…さっさと配置につけよ」



今日は王宮騎士団の入団試験の日


ルイリィ達は試験官として志願者と戦うのだ


「僕の相手はあいつか…なんだか他の奴と雰囲気が違うな」


ルイリィの相手である志願者は軽装の男で何やら異様な雰囲気を醸し出していた



「では採用試験を始める!急所攻撃並びに刃のついた武器の使用を禁ずる」


騎士団長リンダルトの合図で試験が始まった


「お前…名前は?」


「…バルクレオだ。参る!」


バルクレオと名乗った男は素早い動きでルイリィの懐に入ると顔に向かって攻撃を繰り出した


咄嗟に避けたルイリィだったが頬から血が滴った


「あっ!あいつ武器を隠し持ってますよ!失格じゃ…」


「あーっ!ルイリィ様のお綺麗な顔に傷が!!」



ルイリィは頬を伝う血を拭うと相手を睨みこう言った


「随分と舐めた真似してくれるね…」


バルクレオはニヤリと笑うと更に攻撃して来た


激しい攻撃を寸前でかわすルイリィの服が切られて胸元が顕になる


次の瞬間バルクレオの動きが止まった


「なん…だと?!」


ルイリィは一瞬の隙をついてバルクレオの溝落ちに拳をくらわせた


バルクレオはその場に倒れ込んだ。どうやら気絶したようだ



「大丈夫かルイリィ…あーあ…隊服が」


「特別に作ってもらったやつなのに…誰か代わりの隊服を!」


セージムが飛んできてルイリィに話しかけた


「ルイリィの綺麗な顔に傷が…ジッとして」


セージムは回復魔法をかけた


ルイリィは切られた隊服を脱ぎ捨てる


上半身が顕になったルイリィの肉体は男性のものでなく女性そのものだった


「ルイリィ様…早くこれを着てください…」


そう言ったのはルイリィの信者とも言えるランドルという隊員だった



騎士団長リンダルトがルイリィの元へ駆け寄った


「大丈夫か?」


「はい…団長…この男の処分はどうしましょう?」


リンダルトはルイリィの眼をジッと見つめた


「フッ…お前の部隊で話し合って決めるんだな…とは言え既に気持ちは決まっているようだが」


「良いのですか?」


「お前がそのつもりなら大丈夫だろ」


ルイリィはリンダルトの後ろ姿を見送ると頭を下げた



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