第7話 倦怠期
モヤモヤした状態で気持ちも冷め切って1週間が経った。
同棲とは本当こんな時最悪だ。
バッサリと切りたくても切れない。
今までにしたこともない自炊も掃除も毎日欠かさずしながら謝るリー。
気持ちが冷め切っているのに、勝手に尻にひかれている彼が哀れに思えてきて一言。
「ごめんだけど、本当気持ち冷め切っちゃってるから何しても好きになれない。本当に別れてください。」
リーは「俺の事好きにならなくていいから、別れるのだけはやめて欲しい。本当にキヨが居なきゃ生きていけない。俺は今までキヨみたいな真面目で正しい道に導いてくれる人が周りにいなかった。だから、クズな俺だったけど、本当心入れ替えて、真っ当なちゃんとした人間に変わるから。契約期間残ってる半年間だけでもお願いします。」
毎日の土下座の成果は凄かった。
初めは渋々しょうがないから半年後には別れようで頭が一杯だった。
1カ月、2カ月、と時間が経つにつれて気持ちが変わっていた。
とっても優しくて、四六時中私をどうにかしてでも好かれようと必死な彼を見ると、何時しか私の方が申し訳ない気持ちになっていて。
本当にあんな犯罪を犯した奴なのかと疑うほどに。
心の傷は消えるわけが無くて、彼の好意が後ろめたく感じる度に浮かぶ動画のシーン。あんな動画や彼の悪事が知らなければ、幸せだったのかな?と毎日悪夢のように涙が出てきた。
その上に私は海外に一人、一人に慣れていた私がリーという存在が知らないうちに心の拠り所になっていた事を諭された気分だった。
リーは趣味の一番合う友達であり、同居人。人と人の情は本当に恐ろしいもので近くにいて時間を共にすればするほど、大切な人へと変わっているものだ。
この時初めて、一人でいた頃とは違い、誰かと一緒にいる事で初めて「寂しい」が生まれるんだと知った。
海外生活が長くて、離れるという事に慣れていた私が、初めて一人になるのが怖くなった。だから狂ってはいるけれど、依存するくらいここまで私を好きになってくれる人って出会えないかもしれない。
ある意味リーは私が逃してはいけない大切な人なのかもと真面じゃない判断をしてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます