第24話 余話─ユーネの夢と現在のステータス─


 ──黒王丸でグランヘルムへ向かう道中


「おーいユーネ。そろそろ機嫌を直してくれないか? ターニャはたぶん挨拶でキスするタイプの人間……って寝ちゃったのか」


 ターニャと別れた後、黒王丸でグランヘルムを目指しているのだが……

 ユーネが「デレデレして! いいもん! 別にいいもん!」としばらく機嫌が悪かった。今は眠っているようで大人しい。


 そんなユーネが夢を見る。夢は朧気で所々が判然としないが──





◇◆◇◆


「そういえばビューネスは時間が戻せるんだっけ?」

「戻せるよ。でも五十年戻して百年使えなくなるから中途半端な力かなー」

「中途半端なんかじゃないって。すごい力だと思うよ」

「そうかなぁ? でも前に※※※※も言ってたじゃない? ことわりを超えた存在には効きが弱いかもしれないって。やっぱり中途半端だよぉ」

「ああ、エラーのこと? エラーは頻繁には起きないから気にしなくても平気だよ。時間を戻せるなんて僕なんかに比べたら立派な神様だ」

「そう? ※※※※も立派な神様だと思うけどなー。自分をもう一人増やせるなんて楽しそうだしね! それにもう一つ力もあるじゃない。私は一つだけだしねー」

「いやいや、自分が二人になったところでなんにもならないよ。それに僕は人間に悪影響を与えてしまう。増やしても困るだろ?」

「えー※※※※と話すの楽しいし、増えたらもっと楽しいじゃない」

「ありがとうビューネス。僕に会いに来てくれるのはビューネスくらいだよ。他の神様には嫌われてるからね」

「嫌う意味が分からないよ! ※※※※はこんなに優しいのにね」

「まあ僕は裁く側だしね。仕方ないんじゃないかな? 人間が魔人になっちゃうのも僕のせい。嫌われて当然だよ」

「※※※※のせいじゃないよ! 私も一緒になにか方法はないか考えるからくよくよしないで!」

「本当にビューネスは優しいね。さすが聖なる女神様。僕とは正反対だ……」

「まーたくよくよする! 前向きに! ね?」

「でも僕達って面白い組み合わせだよね。ビューネスは綺麗な銀髪に銀色の目を持つ光の女神様。僕は灰色がかった黒髪に、濃い灰色の目をした闇の神。なんだかオセロみたいだ」

「私は※※※※の髪の色好きだよ。綺麗な色だなーって思う」

「ははっ。ありがとうビューネス。あっ! そうだ! ビューネスにお願いがあったんだ!」

「なに? 私にできること?」

「僕がここで仲良くなった友達が死んじゃったんだ。ビューネスがいない時の唯一の話し相手だったんだけど……、生き返らせることは出来ないかな?」

「カラスのクロちゃんだっけ? 私、中途半端だからリザレクションは使えないし、時間を戻すしか……」

「ダメ……かな?」

「……分かった。※※※※の大切なお友達だもんね! 時間を戻さなきゃいけないこともそうそうないし……私に任せて!」

「ありがとうビューネス……本当に……」


 ※※※※が怪しく微笑んだ。


◇◆◇◆





 ユーネが涙を流しながら目を覚ます。目を覚ました瞬間、夢の内容は朧気となって記憶の彼方へと霧散した。

 ユーネが揺れる黒王丸の馬上で、アッシュを後ろからキュッと抱きしめる。


「おはようユーネ」

「うん……」

「まだ怒ってるのか?」

「ううん。さっきはごめんねアッシュ。アッシュがモテモテだから嫉妬しちゃって……」

「あれは……僕じゃなくてエクスルシオンがかっこよかったんじゃないかな」

「うん……」


 ユーネがアッシュを抱きしめる腕に力を込め、「どこにも行かないでね……」と、小さく呟く。そうしてそのまま背中に優しくキスをして、また眠りについた──





────現在のステータス────


【名 前】アッシュ〘ユーネ〙

【職 業】魔徒

【H P】▅▅▅▅▅▅▅▅▅▅

【M P】▅▅▅▅▅▅▅▅▅▅

【レベル】8

【体 力】SS

【魔 力】SS

【攻撃力】S

【知 力】A

【防御力】B/S(※冥府の王の軽鎧)

【素早さ】S


・術技

 魔人の目/広範囲の索敵、一度ターゲットした相手の位置を把握、サーチ効果

 魔人の爪/攻撃のリーチ上昇、防御貫通

 魔人の耳/魔人の目により補足した相手の声を聞ける

 魔人の回路/声に出さずにイメージで能力発動。魔人の目で捕捉中の相手に声を届けられる

 ロックランス/無数の石の槍で攻撃、槍の数は知力依存

 瞬影/瞬時に攻撃を加えながら相手の背後に移動、発動可能距離は素早さ依存。クールタイム30秒

 流水/相手の攻撃を受け流し、返すことも可能。ジャストタイミングで威力を上げて返せる

 ペインニードル/体から無数の光る針を出して攻撃

 デストラップ/自身から半径5mの円状の位置、麻痺効果のある棘を配置。相手が触れた棘の位置を知覚できる。

 捕食花の呪い/触れたものを小さくする呪いの液体を飛ばす。解除可能

 肉食樹の呪い/刺されたものを大きくする呪いの棘をだす。解除可能

 溶解液/装備を溶かし、防御力を下げる。ダメージ効果はほぼない

 冥府の王/冥府より武具を召喚。漆黒の馬を呼び出して使役。武具と馬は別々に呼び出しが可能


・加護

 破滅の呪い/自身の被ダメージ二倍、回避行動でステータス大幅減少、一定の被ダメージ毎にステータス大幅上昇

 嘆きの呪い/痛みの増幅、相手の術技による傷を記憶し、痛みを伴いながら闇の力で再現して発動する

 破壊する者/-


・加護(引き継ぎ)

 状態異常無効、一定時間ごとに体力回復、日に一度体力を一割残して死亡を回避、全ての魔法を範囲魔法に変換、精神汚染無効、一定時間ごとに魔力回復、日に一度全ての攻撃を一分間無効化する女神の盾を発動できる


※攻撃力や防御力は基本的に武具を装備した状態のランクが表示されるが、意識を集中することで素のランクも左側に表示される。

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