短歌4首【第2回カクヨム短歌コンテスト用】

久里 琳

式までの日数かぞえる指に目に触れるものみな花束のよう


しきまでの 日数ひかずかぞえる ゆびに れるものみな 花束はなたばのよう




朝、カーテンのすきまから入る光で部屋はほの明るい。

その光を待っていたように自然と目が覚める。

春眠、暁を覚えず――誰が言ったか知らないけれど、そんなのは嘘だと思う。

また一日近づいた。カレンダーをたしかめる。

それから机に目を向ける。

小学校からずっと使っている机。の上のちいさな箱。の中に収まっている指環。

中学のときに裁縫にはまって買ってもらったミシン。

高校の親友たちとの写真。

カーテンをあける。

窓の外、遠くに電車の走るのが見える。すこし遅れて音がとどく。

受験勉強していたころはうるさくって呪っていた。

子供のころは子守歌がわりだった。

巣立ちの日まで、ほんのあとすこし。


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