カオスの日常

天川裕司

カオスの日常

タイトル:(仮)カオスの日常



▼登場人物

●駒田華菜(こまだ かな):女性。25歳。独身OL。パニック障害。

●加藤絵里奈(かとう えりな):女性。26歳。華菜の友達。

●岡野哲司(おかの てつじ):男性。50歳。心療内科の主治医。また児童保護施設も運営している。

●藤田秋絵(ふじた あきえ):女性。48歳。心療内科の女医。岡野の右腕的存在。本編では「女医」と記載。

●川端良成(かわばた よしなり):男性。45歳。通り魔。


▼場所設定

●心療内科:少し小規模で一般的なイメージでお願いします。

●児童保護施設:都内にある大きな施設のイメージ。地下室もある。

●街中:会社の帰り道などこちらも一般的なイメージで。


NAは駒田華菜でよろしくお願い致します。

(イントロ+メインシナリオ+解説:ト書き・記号含む=3578字)



イントロ〜


皆さんこんにちは。

皆さんは心療内科に通った事はありますか?

または児童保護施設に行った事などありますか?

例えば日本にもこういった施設が存在し、

これらの施設は主に医療福祉施設として分類されます。

今回はその心療内科に通院していた

ある女性にまつわる意味怖エピソード。



メインシナリオ〜


私の名前は駒田華菜。

今年25歳になる独身OLで、今は都内に住んでいる。


実は先日に、私はパニック障害にかかってしまい、

最寄りの心療内科に通っているところ。


心療内科は通常、総合病院には設置されていないので、

探すのに少し苦労したがあってよかった。


またそこに一緒に通っていた友達がいて、

彼女とも出会えてよかった。


彼女の名前は加藤絵里奈といい、

私が働いてる会社の提携先にいた社員。

実はその心療内科も彼女に紹介されて知ったもので、

この状態になる前に彼女と知り合えてよかった。


その心療内科はとても評判が良く、

なんと彼女も私と同じパニック障害にかかっていたのだが、

そこに通う内にすっかり治り、

今では社会生活を普通に過ごす事ができている。


私もそんな彼女を見習う形でそこに通い始めたのだ。


ト書き〈心療内科〉


女医「駒田さ〜ん、どうぞ」


華菜「あ、はい」


診察中でも、そこの心療内科の主治医・岡野さんは

とても親身に悩みを聞いてくれ、治療してくれる。


岡野「そうですか。ではこのお薬を試してみましょうか?」


心療内科でもらう薬といっても、個人的に

合うか合わないかは使ってみなければ分からず、

その辺りも経過を見ながら先生と一緒に相談し

今後の成り行きを決めていく。


私はそこでもらう薬を服用しながら

心身的な不安や苦しみは少しずつ軽減されていったが、

何か最近、別の悩みが出始めたのだ。


それは「最近誰かに付けられている?」

と言ったストーカー紛いによる被害。


実際そのストーカーをはっきり

見た訳じゃないからよく分からなかったが、

でも女ながらその辺の事は何となく分かるのだ。


ト書き〈別日〉


そしてその事も先生に相談してみた。


岡野「ええ?そうなんですか?」


先生は少し驚いたようにそれを聞いたが、

おそらくパニック症により敏感になった心が

幻覚のようなものをもたらし、それで勘違いさせるように、

「不安や恐怖を心に植え付けているのだろう」

と説明してくれ、次はその辺りの治療もし始めてくれた。


岡野「こちらは気分を落ち着かせてくれるお薬です。とりあえず2週間ほど試してみて、効果が出ればその後も暫く続けていきましょう」


華菜「はい、有難うございます」


まぁ最初のお薬が効いたのもあり、

私は先生の言う事を信用してその計画に従った。


ト書き〈悩み〉


しかしその後も「誰かに見られてる・付けられてる」

と言った感覚は変わらずあり、

特に会社帰りなどで夜道を歩いている時、

極度の不安に陥ってしまう事もあり、

それが元でまたパニックを引き起こしかけると言う

嫌な展開になってしまった。


岡野「ちゃんと効果が出るまでにもう少し時間がかかるかもしれませんね」


先生はそう言うが結構辛い。


ト書き〈心療内科:営業時間が終わり女医と2人きり〉


岡野「駒田さんは今何回目だ?」


女医「ええと、2回目ですね」


岡野「そうか、じゃ、あと1回ぐらいだな」


ト書き〈後日〉


それから数週間後。

私はまた心療内科へ行き、新しい薬をもらう。


でもそのお薬を飲み始めてから効果てきめんだったのか。

れいのストーカーされてる感覚がすっかり消えたのだ。


華菜「先生、有難うございます!先生の治療とお薬のお陰で、私すっかり以前の感覚を取り戻したんです」


岡野「そうですか、それはよかったです。でもまだ油断しちゃいけませんよ?こう言うのは心の病気なので、今後の生活改善も含め、もう少し治療をちゃんと進めていく必要がありますからね」


華菜「はい分かってます♪」


この病院は信用できる。

私の心の中にすっかり安心が芽生え、

「通うな」と言われても、私はここに絶対通うだろう。


と、同時に私は絵里奈にも感謝していた。


(回想シーンのイメージ)


絵里奈「岡野先生は長期的な視野でちゃんと見てくれるからさ、焦っちゃっダメよ。ちゃんと言うこと聞いて治療受けたら絶対治るから♪私もそうやって治ったんだから」


絵里奈は以前に私にそう言ってくれており、

それを信じて通い続けたのが良かったのだ。


そしてまた絵里奈に聞いた話だが、

岡野先生はその心療内科の他に

児童保護施設も運営されているようで、

そこではずっと昔から身寄りの無い子供達を受け入れ、

大人になるまでちゃんと保護し育てていたようだ。


中には精神疾患をきたし、

その心療内科に通っている人達もいたらしく、

先生はその両方を面倒みる形で、皆のお世話をしている。


本当に岡野先生は立派な先生だと思った。


絵里奈も私と同じように以前、

ストーカー被害に遭っていたらしいが、

私が今回受けた治療と同じ経過を踏まえ、

その悩みはすっかり改善されていたと言う。


そして私達だけじゃなく、絵里奈の友達にしても、

その心療内科に通う人達は同じ経過をもって

すべての悩みが解決されていた。


ト書き〈オチ〉


そして、それから数ヵ月後の事だった。

あの岡野先生が、通りすがりの通行人に殺されてしまった。

滅多刺しにされたらしい。


「あんなに良い先生がなぜ…?」

当然私はそう思ったが、すべては後の祭り。

先生はもう戻ってこない。


でもそれからすぐ後に、あの児童保護施設の中にある

地下室から、何人かの男性の遺体が発見された。

みんな10代から20代の青年だったらしく、

そこの施設にずっと保護されていた人達だと言う。


先生を殺した犯人が数日後に捕まった。

犯人の名前は川端良成と言い、

それまで先生とは全く無関係の人だったと言う。



解説〜


初めから少しおかしな点がありましたが、

今回の意味怖ヒントに気づかれましたか?

それでは簡単に解説します。


パニック障害にかかった華菜は

最寄りの心療内科に通い始めます。

そこは友達の絵里奈に紹介された場所。


その心療内科の主治医・岡野はとても立派な先生に見えましたが、

途中で不可解な場面がありましたね。


岡野「駒田さんは今何回目だ?」

女医「ええと、2回目ですね」

岡野「そうか、じゃ、あと1回ぐらいだな」


この女医との会話。


「何回目」と言うのは実は患者を騙した回数でした。

つまり治療計画や薬など適当なものを用意し、

その患者の悩みをワザと解決せず、

自分達の都合の良いようにコントロールしていたのです。


そしてその騙しの手口の大きなものは、

あの児童保護施設に収容していた何人かを手懐けて、

金を渡して雇う上、特に女性患者のストーカーをするようにと

命令していた事。


こんな事をした理由は、心療内科へ暫く患者を通わせ、

収益を上げる為。すべては利益の為でした。


それにストーカー被害に遭っていると言うのに

警察に通報する必要などまったく話さないまま、

「ここへ通院する事で改善して行きましょう」

等と気をそらしたのも、

警察に自分達の犯行がバレないようにする為でした。


「何回目」と聞いた回数はこのストーカーをさせた回数です。

でも余りしつこくそれを繰り返すと患者のほうで

「この病院はヤブ医者だ」

と離れて行ってしまう可能性もある為、

適当に区切りを付ける形で解決へと導いていたのです。


解決の仕方は簡単。

ストーカーを辞めさせ、雇っていた男達を殺害する事。

殺害した遺体はその施設の地下に収納する。


身寄りが無いから、関係者から疑われる事もない。

つまりここでも犯行がバレる可能性が少なく、

すべては計画的に殺人をなしていました。


だからストーカー被害にあった患者の人数分、

その保護施設の地下室にもストーカーとして

雇われた男の遺体の数があった事でしょう。

殺害理由は口封じの為。


つまりその心療内科も児童保護施設もすべてグルであり、

当然女医も従う形で組織的犯罪に及んでいたと言う事。


だから華菜を始め、その心療内科に通っていた絵里奈もその友達も、

まったく同じ経過を踏む形で悩みが解決し

社会復帰できるまでになっていました。


自分の悩みが解決されれば

その心療内科を疑う者達はおそらく少なく、

逆に感謝する者達が増えたかもしれません。

おそらくこの辺りも計画の内に入っていたのでしょう。


しかし今回のエピソードでは

2つ目の意味怖ヒントが隠されていました。


それは見ず知らずの全く無関係だった通り魔の男に

岡野が殺された事。それも滅多刺しの形で。


その犯人は川端良成という男でしたが、

彼は文字通りに岡野に対して何の怨恨もなく、

通りすがりに殺害した…と言うだけの事件でした。


つまり衝動的な事件・愉快犯の部類に含まれるでしょう。


岡野やその女医は計画的犯行を進めていましたが、

そんな計画とはまったく無縁の形で、

簡単に人を殺害する人が増えていると言う事。


こちらの方がもしかすると一般人には現実味があり、

身近な事件となる上で怖いものかもしれませんね。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=o37ZObIMxbI&t=68s

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カオスの日常 天川裕司 @tenkawayuji

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