第15話 可愛い可愛い愛猫みにゃんの華麗なジャンプが、綺麗なお姉さんを呆然とさせた話

 これはまぁ17年くらい前の話かな。


 飼っていた愛猫みにゃんが元気いっぱいのヤンチャ盛りだった頃のことさ。


 俺と妻マキが車にみにゃんを乗せて出かけたんだけどね。


 ドライブがてら、途中で買い物したりファミレスでご飯食べたり、まぁいろいろ2人と一匹で日中あちこち郊外の方を走ってゆるゆる楽しんだ訳さ。

 

 夜、家に帰る途中で、マキが書店に寄りたいと言うんで、通りがかりのTSUTAYAに車をとめたのさ。


 で、マキが書店の中を覗いている間、俺はみにゃんにリードを着けて散歩させることにした。


 リードは、2メートルくらいのやつに、さらに伸縮リール式のを繋いで装着した。…犬と違って猫は気まぐれ不規則な行動をするからね。


 書店前の駐車場の片隅には散歩に好都合なちょっとした芝地があったんで、しばらくそこでみにゃんを遊ばせた。


 みにゃんは芝草の匂いをクンカクンカ嗅いだり、芝地の周りをてぷてぷ歩いたりして可愛さを振りまいていたよ。


 まわりの人とか女子学生らしき娘っ子たちが、

 「や〜ん、にゃんこ〜!…かわいい〜!」

 などと足を止めて囁いたりしてた。


 やがて、

 (マキはまだ店の中かなぁ…?)

 などと思い始めた時、芝生の中に大きなバッタがぴょーんと跳ねるのを見た。

 そしたらみにゃんはたちまち興味しんしん!

 ソソソっとバッタに近づいて行った。

 バッタは芝生の真ん中で止まり、みにゃんもその後ろで止まり、小首をかしげながらバッタをジッと凝視していた。


 「あら〜!…猫ちゃん、可愛い〜!お散歩してるの〜?」

 するとその時、書店から20代後半くらいの綺麗なお姉さんが出て来て、みにゃんの前にしゃがんだのよ。

 一応飼い主の俺にもにこやかな笑顔を見せてね。


 そしたらみにゃんがチョチョイとバッタに手を出したその時、いきなりバッタがぴょーんとお姉さんの顔へ飛んで行ったのさ。


 「キャーッ!」

 お姉さんは驚いて顔をそむけ、尻もちをついて間一髪でバッタを避け、バッタはそのままお姉さんの上を飛んで行った。

 そしたらみにゃんがバッタを追ってジャンプし、何とお姉さんの額を踏み台にしてさらに華麗な跳躍を見せたのさ。

 みにゃんの行動に合わせて、俺も慌ててお姉さんの脇を走ってみにゃんを追う形になった。何しろリードを持ってるからね。

 …その時後ろを振り向いたらお姉さんはまだ尻もちをついたまま呆然としていた。


 いや〜!

 綺麗なお姉さんからの華麗なジャンプ。…カッコ良かったぜ、みにゃん!



 というお話でした。




 第15話   完

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る