当てろ!大口高校弓道部

羽弦トリス

第1話大口高校弓道部

大口高校には、弓道部が存在する。

グラウンドは、野球部、サッカー部、ラグビー部が占領し、グラウンドの隅っこにプレハブ小屋がある。

そのプレハブ小屋は外見は悪いが、内装はキレイに掃除された思ったより広い空間。

これは、1年生部員が毎日部活終わりに掃除をするからである。

グラウンドからは、掛け声や指導の声が飛び交う中、弓道部は精神のスポーツでもあるので、静か。

2年2組の有友大輔は、職員室に入り、弓道部の鍵を取りに行き部室の射場のシャッターを開き、安土に的を並べて行き、袴に着替えた。

有友はこの弓道部の新部長である。3年生が6月の地区大会で引退するので、2年生の中で最も弓道歴が長く、2段の肩書きもあるため、有無を言わせず彼が部長となった。

プレハブ小屋は、当時は他の運動部から、「第7サティアン」と呼ばれていた。

有友が弓の弦を張っていると、二人組がやってきた。

「オイッスー、キャプテン」

「おいっ、おっぱい揉ませろや」

山崎誠と金子直樹の二人組だ。

コイツらは、弓道歴1年ちょっと。

いつも、袴に着替えてから女子部員が来るまでマンガを読んでいる。

1年の柴川さくらがやって来た。

柴川が更衣室に入ると、山崎と金子はマンガを閉じた。

そして、袴姿の柴川を見ると、

「柴川さん、オレが指導してやろう」

と山崎が言う。

「うんにゃ、オレが指導する。引っ込んでろ山崎!」

柴川は、

「私はキャプテンから指導受けたいです。だって2段ですから。それに、先輩達、ちょっと臭いです」


山崎と金子はクンクン身体の匂いをお互いに、嗅ぎあった。

「山崎、ちょっとイカくせ〜」

「な、何だと!金子!お前は、オジサンの匂いがするぞ!」

「フンッ!このチンカスが!」

「金子!これは、山崎家の宣戦布告と受け取ってもいいんだな?」

「アッ!」

「えっ!」


『キャプテンが芝川の胸に矢をツンツンしてるっ!』


「そうそう、右に集中すると上向いちゃうから、左手で弓を押すんだ。そう、握るな。押さえるんだ」


ヒュンッ!


パンッ!


「キャプテン、当たりました!やった!ありがとうございます」

「やい、有友君。ちょっと良いかな?」

「何だよ?山﨑」


「モノは相談だが、また、女子部員の指導を任命してくれないかな?」

「一度でいいんだ、キャプテン」

2人は懇願したが、

「ダメだ!お前ら、この前何したか覚えてるのか?」

「あ、あれは事故です」

「金子は勃起しながら、指導したよな?山﨑、お前は女子部員の髪の毛の匂い嗅いでいたよな?セクハラする馬鹿に誰が指導を許可するもんか!」

すると、山崎が更衣室から彼の自慢のエロ本を持ってきた。

「お奉行様、こちらで上様を買収しようか?」

「おいっ、山崎屋。お主も悪よのう。この金子誠に任せておけ」

「お奉行様、抜かりはやりやせん」


「お前ら、何してんだよ!女子のグループが来るぞ!そんなん、捨てろ!」

「この、セックスマシーンが!」

「お前ら、今日はずっと的貼りだ!」

「えぇ~」

「えぇ~」


「山崎屋、お前はいつも抜かってばかりだな?」

「な、何を〜!このクソ奉行」


2人は弓を持たせて貰えずに、穴の開いた的に新しい的が紙を糊で貼る作業をしていた。


馬鹿部員はまだまだいる。



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