第65話ユキメとJK

次の日


学校から帰ってきたら珍しくパパもママもいて腰抜かしそうだった。


今日ってもしかして地球最後の日とかじゃないよね…?


なんだか怖くて自分の部屋に閉じ籠っちゃったけどよかったかな。


「木葉ー。入るわよ」


「ユキメ?どうしたの?」


「なんであんた帰ってきて早々に部屋に篭ってんのよ。父親しょげてるわよ?」


「しょげさせとけば?それにこんな長い時間2人がいるのって初めてで…正直怖い。」


「怖い?変なの。それより聞きたいことがあるのよ。」


スゥーとノックもしないで普通に入ってきたユキメが私の隣に座る。


それよりって。自分から聞いてきたのにね。

聞きたいことって言うのも珍しいな。


本当に今日はなにかの前触れなのかも。


「なに。変な事じゃなければ答えるよ。」


「あらそう。それじゃぁ率直に聞くわよ。イツキの申し入れ、どう思ってんの」


昨日聞いてたな。申し入れって多分だけど里に来て欲しいってやつでしょ?


盗み聞きの上手だこと。


「どうもなにも。迷ってる」


「何によ」


「鬼は約束を守るって言ってるけど。そうまでして守る必要もないし。本当に私が傍にいていいのかなとか。」


「ふぅん?」


そうだよ。だって口約束だよ?


守ろうとしたってだけでいいでしょ。あんなに躍起にならなくてもさ。


「どう考えても私が先に死ぬし。一時の感情で婚期逃すのもねぇ。」


「…じゃぁあんたが嫁になりなさいよ。」


「はぁ?なんでそうなる。」


さも当然みたいに言うけどさ。

さっきの話聞いてた?確実に私が先に死ぬって言ってるじゃん。

しかも長くても100年生きられるかどうか。


そんな相手と結婚してその先どうするのよ。


「イツキがあんたに惚れてるのは流石に分かるでしょ?」


「いつからかは知らないけどね。つい最近かな。」


「ほんと図太い神経してるわよね。あんただってイツキの事嫌ってないじゃない。」


「…まぁ。」


「先に死ぬとかそんなのイツキにとったらどうでもいい事よ?むしろその気もない相手と結婚しなくちゃいけない方がダメージ大きいわ。」


「…。」


「あんたは?ここで折れてイツキが好きでも無い妖怪と結ばれて、心から祝えるの」


それはムリかな。なんだかモヤッとする。

せめて好き同士なら拍手くらいしてやれるけど。


「祝えないなぁ。」


「ならいいじゃない。高校出たらそのまま嫁に来なさいよ。」


「でもそれは鬼が望んでいた場合ね。とくに告白されたわけでもないし約束守るってだけでそこまで望んでないかも知れないし。」


「じゃぁちゃんと告白すれば嫁に来るのね。」


うっ。なんかそう言われると重みが増すな。


あの鬼が言えるのか知らないけど。

ていうかそもそもそこまで望んでない可能性だってあるわけで。


なんでこんなにグイグイこれるのか…


「あの鬼が告白なんてできるわけないよ。だってへっぴり腰だから。」


「否定できない…。いいわ、だったらちゃんと告白させてあげる。その代わりOK出すのよ。」


「YESかハイか…。今日はかなりやる気だね。隕石でも落ちてくるんじゃない?」


「違うわよバーカ。見てるとあんたらじれったいのよ。まったく世話の焼ける」


謝礼は受け付けるわよって言って出ていっちゃった…。


ちゃっかりしてるよなぁ。ほんと。

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